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【 #ティアマトの11の怪物 】ギルタブルル:サソリ人間【9】

 ギルタブルルは獣人系の中ではちょっと特殊で、サソリがベースであるということがその名のアッカド語の意味から分かっています。
 そうすると犬や獅子といった獣の中で浮いてしまうようですが、サソリは太陽を象徴する存在であることから、天候に関する強大な力を持つという事でティアマトの怪物の中に列席させられたということが想像されます。

 ギルタブルルはティアマト、ムシュフシュに次いでそこそこに知られた怪物の一つで、その理由はなにより古代オリエントでもっとも有名な"ギルガメシュ叙事詩"に登場するからであったりします。
 他の怪物に比してギルタブルルがどのように古代の人々に扱われた資料は少ないのですが、ギルガメシュ叙事詩に出てくるおかげでまだ恵まれているとも言えます。

 ギルガメシュ叙事詩におけるギルタブルルは「サソリ人間」と訳されることが多く、マーシュの山で冥界の門を守っています。
 親友エンキドゥを失ったギルガメシュが不老不死の力を求めて旅する途中、ギルタブルルとその妻(恐らく同じサソリ人間)に近づいてきたところ、ギルタブルルはギルガメシュと話し、最後はマーシュの山を越えることを許します。
 神の体と人間の体を持つギルガメシュも恐れるほどの容貌という描写はあるのですが、具体的には書かれておらず、また、ギルガメシュとの会話は欠損が激しく、どのようなやり取りでギルタブルルを説得するに至ったのかは定かではありません。

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