見出し画像

iPad の Goodnotes で学生の研究発表を効果的に聞く(元教授、Goodnotes を使う。その3)定年退職59日目

前回と前々回は、iPad の Goodnotes を使って学生の原稿を修正したり、授業での使い方を紹介しました。今回は、研究室での「研究会」(実験の進捗状況の報告やディスカッション)でどのように活用していたかお話しします。なお、研究会とは別に雑誌会というものもありますが、これについてはまた別の機会に説明します。

Goodnotes (HPより)


研究会ですが、われわれの研究室では、30〜50人が入れる部屋で20人程度の学生が出席します。私は若い頃は一番前に座って聞いていましたが、最近は一番後ろに席を移しました。老眼のことを考えると前の方が良く見えるのかもしれませんが、後ろの方が全体を捉えやすく、客観的に俯瞰できる(研究では重要!)気がします。席によって意外と見え方が違うものです。


そんなこともあり、以前は、PowerPoint の資料をコピー(A4用紙に4枚ずつ)してもらい、手元に置いてその紙にメモをしながら前の方で聞いていました。ここ3年ほどは、完全に iPad の Goodnotes に切り替え、研究会が始まる直前までに資料をPDFで送ってもらうシステムに変更しました。


学生は PowerPoint を使って研究を発表しますが、私は発表の途中でも興味のある図や脚注に小さく書かれた反応条件の数値を拡大したいことがあります。そして一番の利点は、数ページ前のデータと比較をしたい時に自由に戻って確認することができることです。学生からすると、発表中の画面を見て欲しいと思っているかもしれませんが、私としてはあちこち比較したくなるわけです。


もちろん、iPad ですので自由に書き込みや消去もでき、Goodnotes を使えばデータの保存や整理も簡単です。本人の半年前の発表データとの比較ですら、個別のファイルがあるため容易に確認できます。

自由な書き込みができます(GoodnotesのHPより)


さらに、iPadの利点として(これはパソコンでも同じですが)、研究会中でもインターネットにアクセスできます。他研究室のホームページに飛んで論文を探したり、関連する事項を検索をすることも可能です。以前は記憶があやふやなことをそのまま言ってしまうこともありましたが、検索できるようになり非常に助かっています。「あのベルギーの教授の名前は?」「あの反応機構はいつ発見された?」「この反応機構に対抗する機構は?」など、すべて瞬時に探してくれます。特に最近(ずっと前から?)人の名前がでてこないことが多いので、大助かりです。


このように、さまざまな機能を駆使しながら、発表会やディスカッションを行っています。もっと有効な使い方があるかも知れません。例えば、ChatGPT の使用などです(追記参照)。研究会のスタイルがどんどんアップグレードされているような気がします。


<追記>

最近では、研究会の途中でもChatGPT などの生成AIをアイデア出しなどに利用できそうですね。ちなみに、以前90歳の私の母親に ChatGPT を教えた話を紹介しました。ChatGPT はどんどん進化しており、2週間ほど前に OpenAI 社の最新の GPT-4o (Omni) というモデルが登場し、文字だけでなく画像や音声も理解できるようになったそうです。いよいよ対話形式(会話)でAIが使えるようになり、しかも音声機能は “人間とほぼ同じ” 程度とのことで、母親用に非常に期待しています。個人的には、ChatGPTは検索よりも、相談や話し相手に最適だと思っています(偏見かも知れませんが)。若い人たちが仕事に使うのも良いですが、高齢者こそどんどん利用していくべきかも知れません。使える人と使えない人の差がどんどん広がっていく気がします。

GPT-4oの登場 (HPより)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?