「けっこう強烈なタイプの」2024年3月11日から2024年3月18日
新しい眼鏡を買った。眼鏡についてどうでもいい思い出が一つあるので、この場に書き留めておきたい。
5年くらい前だろうか。おれはZoffで眼鏡を買った。Zoffの眼鏡なんてどれも安いのだが、その中でもわりと安いやつだった。
家に帰ると妻が「その眼鏡いいね」と褒めてくれる。値段のことを言うと、「その値段なら私も欲しいな~」と言い出した。
「眼鏡いいね」と「私も欲しいな~」の間には、普通かなり隔たりがあると思う。でも妻はぴょんと軽やかに飛び越えたのだ。
後日、妻はマジでZoffに行き、おれと同じ眼鏡を購入した。おそろいの眼鏡をかけている夫婦だ。世の中にはいろいろな夫婦がいる。……でも、おそろいの眼鏡をかけているのって……なんというか……けっこう強烈なタイプの夫婦ではないだろうか?
それから数ヶ月。おそろいの眼鏡を買ったことなんですっかり忘れておれたちは毎日を過ごしていた。
そんな時に、おれたち夫婦は、おれの妹と食事をすることになったのである。
しばらく会話をした後に妹がおずおずと口を開いた。
「ひょっとしたら、眼鏡、おそろい?」
これは恥ずかしかったですね。夫婦で眼鏡をおそろいにしていることなんて、そうそうわからない。夫婦そろって誰かに会うということがほぼないからだ。でも、そういう機会があるとあっさりとバレてしまうのだな……。
目の前にいる夫婦がおそろいの眼鏡をかけていると気づいたときの妹の気持ちを想像する。多分「ウワッ」ではないだろうか。ウワッって思うよな。いや~やっぱり恥ずかしいな。
眼鏡を買う度にこのことを思い出す。一生覚えているタイプのどうでもいい出来事かもしれない。
2024年3月11日
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