哀愁の閉店ノスタルジー


高校に入ってから、僕は中学以来の友達以外と暫くは親しくはしなかった。
中学以来の友人で、特段親しかった友人の学校が、春の間は昼頃までの授業だったので、よく僕の通学時間までの数時間に遊んでいた。

非常に懐かしいのが、JR奈良駅を出てすぐに左手に曲がって数分のところにあったクレープ屋さんだ。そこはその友人に教えてもらった。名前は、ラッキーとかハッピーとかそういう、シンプルに可愛いものだった気がする。
確か、2階3階と喫茶店が入っていた細長いビルの1階だ。
何故かよく覚えているのが、何を食べていた時かは記憶にないがBUMP OF CHICKENの天体観測を初めてそこで聴いて、妙に感動したのを覚えている。
ほどなくして、この店は閉店してしまい非常に残念であった。

次によく行ったのは31アイスクリームである。
高校までは徒歩で行けたのだが、まだそのルートを知らずバスで通っていた頃。そのバス停の前にあったのがこの店だった。高天交差点すぐのところだ。
ここはやはり人気店で、その後僕もクラスの友人たちと親しくなってからもボランティア料金で食べる事が出来る日などは長蛇の列に並んだりしたものだ。
この店舗も、数年後にはたしかコンビニに変わり、今は面影もなくなっていたような記憶がある。

そしてよく待ち合わせに使ったのがかの『無印良品』である。
昔、ひがしむき商店街とさくら通りに出入口が繋がっている、特にひがしむきの中では屈指のお洒落感を漂わせていた、コトモールという建物があった。無印良品はその2階で、メインフロアといった感じだった。
1階は路面店のような造りで、全体的にコンクリート打ちっぱなしのようなシャープな印象の壁だったが、しかしマリークヮントなんかのネイルショップがあったようなやはりお洒落ゾーンだった。
無印良品など当時近所になかった身としては、何もかもが洗練されてカッコよく見えた。待ち合わせ中は、使いもしない耐熱ガラスのティーポットを眺め想いを馳せたり、お菓子売り場の芋ようかんでさえ高級に見えた(実際美味かったのでずっと再販を夢見ている)。
そんな無印良品も、ゆっくりと閉店し、やがてコトモール自体が幕を閉じた。
今はひがしむき側は大きなダイソーに姿を変えている。


おそらく、これから書いていく記事はこんなふうに変わってゆくもの・無くなったものの話ばかりになるだろう。
それでも、奈良が好きな気持ちに変わりはない。思い出に浸る場として、また、奈良に住むひとにも『そんなとこがあったなぁ』とあたたかく見守られたい。

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