パン屋変遷

いつも、三条通りを通る度に気になる空き物件がある。
やすらぎの道を挟んだ十字路、観光案内所から見てHoonyanbooさんの側の向かいにそこはある。昔、2階にはZEEBRA Cafeというカフェがあったのだが、そこも入る機会が無いまま店が閉まってしまった。
僕が気になるのはその下である。ブレーメンという、地元では評判が良かったらしいパン屋さんがあったのを思い出すのだ。その後なんの店も入らないことも気になる。
ブレーメンも、パンを食べたことはないが、なんとなく名前も可愛らしくいつも賑わっていたので未だに物悲しい気持ちになる。
今はJR奈良駅の改札を出てすぐ、ヴィ・ド・フランスというチェーン店のパン屋さんがあるが、かつて奈良のあのあたりの市街地には色々なパン屋さんがあったのだ。(しかしそれはそれとして僕のヴィ・ド・フランスのオススメは塩パンだ。)
パン屋さんはほとんど入ったことがないのだが、やはり景色にないと寂しくなる。
ひがしむき商店街の出口もそうだ。今コンビニになっている店舗も、昔は少し高級感(個人的な感想だが)のあるパン屋さんであった。今頃まだあれば、きっとマリトッツォが美味しかっただろう。完全にイメージだが。
ひがしむき北へ渡ると、昔は二階建てのKFCやミスタードーナツがあった。それを横目に高天交差点に向かって少し歩くと、あの近鉄沿線を利用している人なら誰しも目にしたことがあるだろうLittle Mermaidがあった。カフェスペースが広く、僕もたまに寛ぎに行った。そこが無くなった時結構な衝撃を受けた。
そして高天交差点を渡り、右手に歩いていくとなかなか強気な看板があった。「大仏あんぱん」という文字が目に入ってくるのだ。割と小さなお店だったが、これはなかなか有名だったのではないだろうか。
食べたことのある体躯のでかい男子曰く、持てばずっしりとしていて餡は普通ぐらいの甘さがぎっしり詰まっていて、なによりでかい。甘さが1人ではつらいかも、との事だった。大仏を名乗るだけある。
ここは老舗でずっと在り続けるものだと思っていたので、無くなったと気付いた時は「当たり前」が崩れたような気持ちだった。
そして、次は今まだ続けていらっしゃるのか解らない店の話だ。
やすらぎの道から下がっていき、舟橋商店街のなかにある。
たしか、「フジタ」さんだったはずだ。
舟橋は毎日のように登校で通っていたので、ずっと気になっていた。外から見える棚のパンが美味しそうなのだ。
いつもタイミングが合わず買い物出来なかったのだが、ある時、帰りが早くなってギリギリ閉店に間に合ったことがある。友人とともに、僕はフランクフルトを買った。時間的に種類は随分減っていた。
フランクフルトは、パンの生地はしっとりめ、ウィンナーは細めながら存在感があり、なにより見たところ味付けがケチャップのみという素朴な味わいだった。あれぞ町のパン屋さん!だったかもしれない。というか、舟橋商店街は殆どがそんな店だった。近年全く通る機会がないのでどう変化しているかわからないが・・・。
パンといえば、高校の給食代わりにパンが支給されていたのでそこにも関わりがある。
ずっと配給に来て下さっていたパン屋さんが閉店して、パン屋さんが変わったという噂があったが事実は解らなかった。ただ、学校の一番近所にあったパン屋さんが店を閉めていた事は確かだ。そこが配給して下さっていた店なのかはわからずじまいだったが。

こう書くと奈良県のパン需要が収束したかと思うが、そこはそうでもない。
場所が変わっただけなのだ。
所謂「中南和」と言われる地域ではまだまだ、寧ろ古今の人気のパン屋さんがまだまだ元気に営業している。ベーグルの店なんかもあり、洒落た外観の店が多い気がする。
これを書いていて、あまりパン屋さんでパンを買うことがなくなったのだが、いい店を見つけたら買ってみよう、と思った。

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