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特別な当たり前。

子供のころ、
「ご飯を食べ終わってからお風呂に入る」
流れは当たり前のことだった。

当たり前すぎて、
見たいテレビがあるときは
「自分史上最速でお風呂を済ませる」
という謎の自分との戦いを繰り広げていた。

そんな「当たり前」が
「特別」なことに変わったのは
一人暮らしを始めて半年と経たない頃だった。

一人暮らしを始めたのは
専門学校2年生のとき。
入学と同時に一人暮らしを始めるのが
普通な中で、最初の1年は実家から
電車で通っていた。
高校時代も電車を使って通っていたこと
(トータル1時間半ぐらいはかかっていたと思う)
電車だと進学先が違う地元の友達とも
一緒に通えるということもあって、
一人暮らしデビューは1年遅れになったのだ。

当時のわたしは
ちゃんとした一人暮らし生活を
送っているつもりだった。

学校から出た課題をやり、
洗濯物はため込まず、
シャツにはアイロンをかけ、
お惣菜に頼る日もあれど基本は自炊をした。
なし崩しで半同棲状態になっていた
その時の彼氏に「いい奥さん」になる
未来を想像させるためだったかもしれない。

今思えば、とても学生らしい、
雑でケチな可愛らしい生活だった。
(悪く言ってるようだが、この生活の雰囲気も結構好きだったりする)

卒業後は、デザイン事務所に勤め、
帰宅は早くて22時。
朝日を見ながら帰宅した日も何度もあった。

帰宅してからは
「自分史上最速で寝る準備をする」
ことが習慣になり、
子供の頃当たり前だったお風呂は
簡単に済ませられるシャワーに変わった。
夜ご飯にはお菓子を食べ、
干して乾いた洗濯物は布団の上に
放り投げた。

この生活を続けているときの
わたしのお気に入りは
「実家に帰った時に入れるお風呂」だった。

実家に帰るたびに
「お風呂に入れる最高ー!幸せー!」と
ガッツポーズをしたし、
家族は一番風呂をわたしにくれた。

そんなわたしが今年から突然
「可能な限りお風呂に入ること」を
習慣にした。
面倒臭がりで飽き性なわたしだが、
「特別」と化したお風呂に入ることは
仕事後の楽しみであり、
9月になった今も続けることができている。

コロナで仕事が激減し、
帰宅時間が早まったことも
この習慣を続けさせる点においては
プラスに作用した。

一人暮らし7年目にして
「特別」をまた「当たり前」に
戻すことができた。

でも、不思議なことに
お風呂に対して「特別」という感情は
今も消えない。

素敵なことだ。
毎日「当たり前」に「特別」を実感できる。

きっとお風呂だけではない。

たくさんの「特別」を纏っているのが
日々なのだ。

そう感じることのできる
心の余裕を今日も湯船と共に。

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