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【ただの日記】ちょ、喫煙所いかね?

僕が大学一年の時入部した剣道部の男子の八割はタバコを吸っていた。部活が終わると道着と袴を着たまま喫煙所に行き、30人弱の男たちがタバコを片手にたむろする光景はインパクトが強かった。

そんな先輩たちの姿をかっこいいと思うのか、ストレスがやばいのか知らないが、後輩たちも続々にタバコをはじめた。

一方、僕の尊敬していた最大の実力者の先輩はタバコを吸っていなかったし、僕自身もそれを見習いタバコは吸わなかった。

そのような喫煙者まみれの剣道部だが、仲は非常に良く、週2.3で飲みに行ったり、行きつけの学校近くの個人経営のカフェでみんなで集合して話したりするのが日課だった。

仲間と話している時間自体は良いのだが、ただ、僕には若干嫌なものがあった。

タバコの煙である。

6人でカフェに入り、僕以外の5人がタバコを吸った日、家に帰ると家族に言われた一言目は「クッサ」だった。タバコの匂いは結構強烈に残るのである。着ていた服がお気に入りだったり、洗えない服を着ていた場合、喫煙者の煙は結構天敵だったりする。

街で遊んでいると、ニコ厨の喫煙者は「一旦喫煙所行こうや」と1時間に一遍くらい喫煙所に向かおうとする。いや、行かせねーよ?と僕は毎回断り無理やり禁煙させる手段に出たが、誘ってきたのが部活の先輩だった場合、「はい、喜んで」としか言えないため、渋々喫煙所に向かった。結果、お気に入りの服が臭くなったのは言うまでもない。

喫煙者と会う可能性のある日、僕は簡単に洗える服しか着ないようにしたのだが、その結果言われたことは「お前同じ服しか着ないやん」だった。
「いや、お前のせいだよ!」と迅で言い返してしまったのは良い思い出である。

総じて僕はタバコの臭いが最大の敵であり、ほんとに嫌いだった。

しかし、そんな臭いタバコにもメリットだなーと思うことが一つある。

僕の通う研究室の男の過半数はタバコを吸うため、授業の合間になるとタバコ組はみんな揃って喫煙所へと急ぐ。

最近、気づいたのだが、タバコ組は他学部の知り合いがやけに多い。また、タバコ組に入っている後輩と先輩は仲が良い。

あるいは、ニコチン依存症であろう同期と学校を一緒に歩いていると、いわゆる「よっ友」と何人も何人も遭遇する。ある時、僕が何の知り合い?と訊くと、喫煙所で話した人!っと返ってきた。

なるほど、これがタバコミュニケーションというやつか、と内心関心した。

僕の学校は喫煙所が少ないため、常連の学生が顔見知りになるケースが多いらしい。タバコがきっかけで人と繋がれるのだからタバコの副産物の力はすごいなぁと思わされる。

殊に、サラリーマンたちはタバコミュニケーションで上司と仲良くなる手法を用いるために入社と同時にタバコを始めるとの話もあるように、喫煙所でのお喋りがきっかけで仲良くなる人は非常に多いようで若干の羨ましさを最近は感じる。

しかし、僕は吸わないし、行かない。
なぜなら臭くなるからである。居酒屋とかモンジャとかも臭くはなるが、そうゆう日はそれ用の服を着れば良い話。レーヨン素材の服を着ている日に喫煙所に行けば、それはもう服が死ぬ。

そんなことを考えていた今日、喋っていた仲の良い同期から学校で言われた。
「ちょ、喫煙所行かね?」

ディズニーのキャストさんのように手を振った。
「いってらっしゃーい!」

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