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「大きな幸せ」のために「日々の幸せ」を潰さないために~孤独とオリジナリティを大切に~

理想の生活を手に入れるためには、孤独に耐え、オリジナリティを持ち続ける努力が必要となる。

(要約)生活上でも政治とか大きな話でも、「目標に向かい邁進する内に手段が目的化して、目標に不可欠な要素さえ削り取ってしまう」という話は割かし聞くが、ならどうしたらいいのか。「あいつら手段が目的化してるよ!」と批判するだけでいいのかを書きたい。

例えば、転勤族な人間が家族とかパートナーとの安定した関係を発展させるため、転勤の無い方へキャリアチェンジしようとすべく、日々勉強やら転職活動やらを地道に頑張っていたとする。

それで日々の仕事や生活も含め日常のやりくりを効率化していきたいと思うまでは正常な思考で、ただ効率化の対象を家族やパートナーとのコミュニケーションの時間にまで広げ、心の中で「邪魔な時間だな」とか思い始めたら闇に一歩踏み出しちゃってます。

関係を健やかにしていくための時間すら疎ましくなってしまっている訳ですから。キャリアチェンジの目的からしてもおかしなことになってしまっている訳です。

でも「人間の関係を良くしていく」というのは実は抽象的で想像力も必要とされるから、「キャリアチェンジ」みたいな、目標の立てやすい事柄の影に隠れて、いつの間にか忘れられてしまうこともあるかもしれません。人間疲れるほど想像力は枯渇しますし。

話を思いっきり広げて、政治の世界でも「手段が目的化」というのはありますね。寧ろ他の世界より起きやすいかもしれない。

A国は国力も貧しく民も皆貧しい(もしくは凄い格差がある)。このままでは強いB国とかにも侵略されてしまうかもしれない。「よし、国を富まして皆豊かになるぞー!!!」とか言って「国を富まして」の方にフルアクセルを踏み、見えやすい発展や数値を負いまくった結果、民に皺寄せが来て餓死の悲劇等が起き、「皆豊になるぞー!!!」の「皆」の存在自体が脅かされた、なんてことは実際にあった訳ですよね。

話を大きくし過ぎました。なるほど「手段を目的化しない方法」というのを考えないといけないのは分かります。しかし、簡単に上に挙げた例を批判できるでしょうか。

というのも、キャリアチェンジに、パートナーや家族との関係がギリギリになりながらも成功した場合、そこで一気に安定した関係や生活が望める可能性も低くない。そうなれば、ズルズル迷って行動しなかった場合よりは、少なくともマシであった、ということもありえる訳です。

A国だって、目的すら棄損しかねない発展への努力と結果が無ければ、B国に攻められたときにそこで想像を絶する大敗北と悲劇が待っていたかもしれない。もしかしたら、手をこまねいて政策論争ばかりしているよりはマシだったんじゃないか。

こういうことは言えてしまいそうです。人や他の国の状況や主義主張と比べながら何かをしているうちは。

私は数年前まで何かと制約も多く働きにくい日本の労働環境と比べる目的もあり、諸外国の労働環境を色々調べたりしていました。海外移住しようかな、と考えていた時もあります。

そう。自分の今の環境を否定して違和感を持つ自分を結果として肯定するために、比較対象として他を持ち出す。これは視野を広くするために必要ではありますが、海外の例外や問題点を見にくくしてしまい、自分がいる訳でもない環境と自己を同一化してしまい、結局自分自身に立脚する自信が持てなくなってしまいやすい。

「資本主義の狼の法則はお前は弱いから潰す、ということだ。だから我が国を猛スピードで強くして、資本主義から、お前は強い。だから用心しないといけない。そう思われるようにしないといけない」

上に書いたようなことをスターリンは言ったそうですが、資本主義を否定する社会主義国の指導者が、資本主義との比較を通し、ある面では資本主義以上に競争しまくり、国の力を押し上げたというのは皮肉なものです。

結局参照できるものが無さそうでも、「私はこうしたいな」というのを持ち続け、持ち続けるが故に孤独になったとしても、孤独は孤独で深め、オリジナルな方法を確立していくしか無いのでしょう。そして時間も含め、あらゆる資源が有限な現実に生きている以上、「これとこれは犠牲にしても仕方ない。これはここまでなら仕方ない。これは守る」というような「日常に於ける政治の計算」をするのが必要になるし、そうした試行錯誤を通じ、「他人の目や意見に振り回されない確率された自己」なるものが、ある程度は出来上がるのかな、と考えます。私はまだまだだけれど。

しかし、スターリンにしても前例の無い「社会主義国家の建設」という使命を成し遂げればいけなかった以上、単に他国との比較だけではないオリジナルな方法で国を導いたとも言えそうで、覗きたくない「禁断の問」の前にいる気持ちになります。





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