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ストコフスキー「ロンドン告別コンサート」ライヴ

早朝覚醒してしまった。眠れそうにない。だらだらクラシック音楽オタク話でも書きますか。もう少し普通の記事はさっきのがありますし、本日の夕方以降に公開されるのでももう少し普通のものがあります。これは明らかにマニア話になる予定ですので、避けていただいて大丈夫ですよ。(ご承知の通り、私の記事は玉石混交している。)

ストコフスキーのロンドン告別コンサートのライヴ録音CD。これ、いつから持っているかと言いますと、後述の通り、大学2年の夏には持っていたので、未成年のころから持っていますね。19歳から持っていたとして、29年くらい持っているCDです。大好きなCDです。1995年くらいから持っていますね。平成7年です。

ストコフスキーの「ロンドン告別コンサート」とは、実質的な引退公演です。1974年5月14日、ストコフスキー92歳。これよりストコフスキーはレコーディングのみの音楽家となり、1975年7月22日にルーアン室内管弦楽団を指揮してヴァンス(どこだ)で現われるのを例外として(それが本当の最後のストコフスキーが公然に現れた本番となったわけです)、レコード制作だけをする音楽家になりました。それは1977年、95歳で死去するまで続きました。この「好きなCD」のシリーズでも、そのストコフスキー(コンサート活動)引退後のレコーディングについてもいくつか書きました。

そのようなわけで、実質的にストコフスキーの引退公演がこれ。

とてもいい演奏会ですね!生でこれを聴いたらものすごく感動するのではないかという見事な出来栄えです!

曲目は、

クレンペラー メリー・ワルツ
ヴォーン・ウィリアムズ タリス幻想曲
ラヴェル スペイン狂詩曲
ブラームス 交響曲第4番ホ短調

ですね。

オーケストラは、ニュー・フィルハーモニア管弦楽団です。

いずれも、ストコフスキーがものすごく得意にした曲でかためられています。

すべて、ストコフスキーが生まれてから作曲された曲ばかりです。私が生まれたときには、すでにビートルズは解散していました。ストコフスキーにとって、これらの音楽は、同時代の音楽だったのだなあと。

1曲目のクレンペラーの作品は、もしかしたらクレンペラーの追悼の意味がありますかね?クレンペラーはこのオケの指揮者だったと思うので…。なぜこのCDを大学2年の夏から持っていると断言できるかと言いますと、私は大学2年の夏、東大オケの先輩から、フルート4本のための楽譜を作るように言われて、いずれもCDから採譜し、ひとつはストコフスキー編曲・指揮のチャイコフスキーの無言歌、ひとつはこのCDからこのクレンペラー作品の楽譜を作成したからです。(JASRACさんごめんなさい。これが著作権侵害だとは知りませんでした。ずっとのち、2022年の9月から私はホワイトな採譜者になりました。ゆるしてくださいね。皆さん、こうやってJASRACさんにゆるしてもらい、そのタイミングからホワイトになることは通りますよ。)

ストコフスキーの演奏は、完璧に仕上げたわけではないものの、ちゃんと聴かせるものになっているのがさすが。これはプロの技です。オケもプロの技です。さすが忙しいロンドンのオケですね。

ヴォーン・ウィリアムズのタリス幻想曲は、ストコフスキーが生涯にわたって取り上げ続けた得意中の得意の曲ですね。正式なレコーディングが生涯に2度。1952年の録音と、このライヴよりあとの1975年のステレオ再録音(「好きなCD」で取り上げたことあり。ロイヤルフィルの弦楽作品集に含まれる)。今回のようなライヴ録音まで含めると、どれほどあるかもわからないほどあるのでは。この演奏もすばらしいです。

ラヴェルのスペイン狂詩曲も得意中の得意ですね。私もこの「好きなCD」というシリーズで、この曲を取り上げるのがもう3回目である気がします(ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団ライヴと、ロンドン交響楽団でのステレオ再録音)。私が学生時代から持っているこの曲のストコフスキー指揮の録音では、1934年のレコーディングも含めて、この4種がCD化されていたと思います。いま私のパソコンに取り入れてあるのは、そのロンドン交響楽団のもののほかに、ワルシャワ国立フィルのライヴですね。15分くらいで後味すっきりにストレス解消、および時間調整にぴったりの音楽です。

プログラム後半の、ブラームスの交響曲第4番は、長いこと私のなかでブラ4の最高の演奏として君臨していた名演奏です。すばらしい。この、もたつかないブラームスがいいのです。速めのテンポであっさり進めて、流れがいいです。ストコフスキーのブラームスのよさ、何度書いても言葉で表せない。第1楽章の終わりの恒例のアッチェレランドのあとには、ブラボーが出ますね。このころのロンドンのファンでは、熱烈なストコフスキーファンがいたらしいことが感じられます(このころの一連のライヴ録音での拍手喝采ぶりからもうかがわれます)。

なお、この録音と同時進行であったと思われるビクターのブラ4の録音はぜんぜんよくないです。このころのストコフスキーにははなはだしい出来不出来がありますので、そちらを聴いてがっかりなさいませんよう。

ストコフスキーのブラ4では、あるドイツの国際的マニアは、アメリカ交響楽団ライヴ(複数ある)のうちのひとつを「最高」と言っていましたが、その意見には賛同できません。また、若いころ読んだまったく信用ならないストコフスキーの本で、全米青年交響楽団のを最高と言っている本もありましたが、論外ですね(笑)。長いこと私のなかでこのロンドン告別コンサートのライヴをもって、ストコフスキーの最高のブラ4だと思って来ましたが、いまから10年くらい前でしょうか、NBC交響楽団ライヴのCDを聴いて、そちらのほうがより上であると認識するようになりました。でも、とにかくこの演奏が極上なのは間違いないです。ストコフスキーの全盛期は、やはり壮年期である1940年代、50年代くらいだろうという気がいたしますが(そのころの鬼気迫るようなライヴ録音のかずかずがストコフスキーの真価を伝えている気がします)、この1974年の「さよならコンサート」で、これだけの名演奏を成し遂げるとは、さすがとしかいいようがないです。すごいです。

このCDも、私の宝ですね。

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