見出し画像

ひふみんの講演を聴いて

 ゆうべ、加藤一二三さん(以下、ひふみん)の最新の講演の動画を視聴しました。「バチカンと日本100年プロジェクト」と言われるもので、私にはどういう講演なのかはわかりませんでした。この「会の正式名称が言えない」というのは私の特性であり、学生時代から、出ているその研究集会(学会)の正式名称が何であるのかは言えないのです。最後にリンクを置きます。

 ご存知のかたも多いと思いますが、ひふみんはカトリックの信徒であり、1970年、30歳のときに洗礼を受けて信者になられました。私はあくまで将棋にまったく詳しくありませので、将棋の立ち入った話はここではできません。ひふみんの話を聴いて感じたひふみんの信仰を書きたいと思います。

 ひふみんの話は、ひとことで言って「聖書と将棋と、ときどき音楽」と言ったもので、ひふみん節が全開でした。しかもお客さんは笑いもせずに聞いておられます。ようするに支離滅裂であり、こういった話を要約するのは困難です。しかし、全体を通して伝わって来るメッセージははっきりしたものでした。

 ある声楽家が、モーツァルトとひふみんの共通点を3つ挙げたとひふみんは言っていました。1.天才である。2.名曲(名局)を残した。3.駆け引きのない人生だ。ひふみんの話を聴いて強く感じたことは、その真っ正直な生き方です。

 フランシスコ教皇(現在のローマ教皇)が、キリストを宣べ伝えるときは、抽象的にではなく実体験をもって伝えるようにと言った話を紹介していましたが、まさにひふみんはその場でそれを実行していました。将棋の人生の話で、キリストを伝えていたのです。

 また、現役引退直前に、キリスト御自身から、引退後は福音を宣べ伝えるように(布教するように)言われたと言っていましたが、これもひふみんは実行しています。現役引退後のひふみんの「伝道活動」は、将棋ファンを超えて、幅広い人によく知られています。あれはひふみんの「宣教」なのです。

 神に祈るときは、しつこく繰り返し何度でも祈れと聖書に書いてあると言っていました。これは聖書の本質的なメッセージです。ルカ福音書11章5節以下ほかたくさんの箇所参照。私の言いかたでは「あつかましさ」ですね。そして、祈るときはひとりで祈る。マタイ福音書6章6節参照。これらもひふみんは実行しています。家族が起きて来る前の朝に40分くらいは祈っているそうです。それから、あなたがたが心をひとつにして願うなら、祈りは聞かれる、キリストはうそをつかない、とも言っていました。マタイ福音書18章19節参照。

 将棋のつぎに才能があるのは「歌」だと言っていましたね!これはひふみんの歌を知るものとしては抱腹絶倒ものですが、だれも笑ったりしませんでした。本気だからです。

 音楽を聴くと将棋が強くなりますよ、とも言っていました。なぜなら、音楽は感動で、将棋も感動だから!つぎつぎと景色が変わって、緊張感があって、美しい。私は、円周率に風景の見えるサヴァン症候群のダニエル・タメット氏を思い出しました。ひふみんはやはり天才なのでしょう。

 ひふみんは聖シルベストロ教皇騎士団勲章を40代で受章しています。これはヨハネ・パウロ二世の時代にカトリック関口教会で受章したとのことですが、これは「励まし」ととらえたそうです。つまり「よくがんばりました」という意味ではなく「これからもがんばれ」という意味でとらえたとのことでした。

 とにかく、ひふみん節まるだしの支離滅裂なお話ですから、要約は困難なのです。印象に残ったエピソードをいくつか紹介するにとどめますね。

 キリストが復活したとき、マグダラのマリアに「マリア!」と呼びかけている(ヨハネ福音書20章16節参照)。これは「ひふみん!」と呼びかけられているのと同じである。イエス・キリストは、良い羊飼いであって、羊の名前を一匹、一匹、覚えているのである。私たちはキリストに一人ひとり名前を覚えられている。そういう話もしていました。同10章7節以下参照。

 キリストの誕生について。三人の博士が黄金、乳香、没薬を持ってやってきたように、たくさんの人がキリストの誕生を待望していた。だからクリスマスはおめでたい。どれだけたくさんの人が、どれだけ長いこと待っていたか、そのことを覚えるべきだという話もしていました。

 キリストは12歳のときに神殿で勉強している話があって、宣教を始めたのは30歳のときである。だから、勉強して伸びる分野に関しては勉強すべきである、という話もしていました。

 ダビデはゴリアトを倒す前に、羊飼いとしてライオンなどを追い払うことを日常的にしていた。これは何事も準備が大切だということである。少年ダビデが走ったシーンなどは描写的であって、また、一騎打ちというのは将棋に似ている、とも語っていました。

 対局の前の日はお酒を飲まないそうです。これはひふみんだけでなく、多くの棋士がそうしているとのことでした。ところが、ある対局の前の晩、眠れなくて、深夜にワインを飲んで寝たら、翌日は圧勝したということがあった。だから、日ごろの生活のリズムがあれば、一晩くらい眠れない日があってもだいじょうぶだと受験生に言いたい、というようなお話もありました。

 ひふみんの言葉からは、自分が将棋の一流であるという強いプライドが伝わってきましたが、ただし他の棋士の悪口のようなものは一切聞かれませんでした。19歳の藤井聡太さんは尊敬しているようで、よく名前が出て来ました。自分の長いこと破られなかった最年少記録を藤井さんが次々と破ったからでしょうか。「藤井さん」と呼んでいました。「さん」づけです。

 最後にひふみんは「皆さん、ぜひ聖書をお読みください」と言って、以下、旧新約聖書のあらゆるところから独自解釈をズラーッと披露して、お話はおしまいになりました。聖書の言葉がひふみんの血肉になっていることは疑いようのないことです。

 ようするに一途な人であることがよく伝わってきました!以上です。

 この動画です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?