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東大生の中の中

 (以下に私が書こうとしている文章は、「ひがみ」「ぐち」なので、それでもよいと思う方は、どうぞお読みください。おもしろいかどうかはまったく自信がありません。どこかに「採用」されることも想定せずに、ただ、ひがみを書くつもりです。それから繰り返しになりますが、私の書くことは、この文章に限らずすべてフィクションですよ。)

 神様(おお珍しく私の文章が「神様」というワードで始まった)はふしぎなおはからいをするもので、25年前、20歳のときに、偶然に偶然が重なって、あるX教会というところの礼拝に出ました。その教会は、初めて来た人は、礼拝の最後に名前を呼ばれて起立してみなさんの歓迎の拍手を受けるのですが(いきなり脱線その1。これは多くのプロテスタント教会がこうなっています。「そんなの嫌だなあ」と思う方には、受付で「初めての方ですか?」と聞かれても「いいえ」とお答えください。逆に「歓迎されたい」とお思いになる方は「はい!」とお答えください。もっとも規模の小さい教会(極端には「出席者数5人」の教会もあります)だと、逃げ隠れできませんけど。脱線その1おしまいです)、私が初めて行った1996年秋、最後に名前を呼ばれて立ったとき、振り返った顔のなかに、見覚えのある顔がありました。東大理科一類のときの同級生の加藤(仮名)でした。つまり加藤はクリスチャンだったのですが、そんなことも知らないのです。そのときは言葉を交わしていません。およそ2年間の「モグリ」の期間をへて、大学院入試の前日、ついに礼拝後の「お茶の時間」にデビューするぞ!と思ったとき、私を「お茶の時間」に誘ってくれたのも加藤でした(彼はなかなか教会に来ないのに、その日もたまたま来ていました)。そのまた2年後、私が生まれて初めて聖書を買うことになったときに、本屋に連れて行って教えてくれたのも彼。これをなぜ「神様のふしぎなおはからい」というかと言ったら、私は加藤とは徹底的にウマがあわなかったから!彼はおそらく私を嫌っているし、私も彼を嫌っています。そういう「敵」みたいな人も神様は使って私を導いたから「さすが神様」と思うわけです。加藤は、しばらくしたら、またこの文章に出す予定です。

 さて、X教会初来会からおよそ10年、私は大学院修士課程に行き、博士課程に行き、発達障害の二次障害たる精神障害となり、以降、研究者になれなくなり、中高の教員なんていうやりたくもない仕事に就いたらものすごく向いていなくて、日記を見ると、勤めた2006年の4月から、医師には、そんな職場は辞めろ、と何度も言われています。しかし、どうにか内定を得たばかりで見ず知らずの土地にきてがんばっている私は「勤めて1か月で辞める」などという選択肢はなく、家族のためもあり、ひたすら「給料どろぼう」を続けました。(結果的に給料どろぼうだっただけで、自分としては、このうえなくがんばっていましたよ!)そのあとも教員を辞めさせられて、ダウンと配置換えを繰り返し、ますます向いていない仕事にさせられ、今日の1年半の休職に及びます。

 私がライターとしてあるインターネット新聞(「クリスチャンプレス」)に、今年4月から連載を持っていることは何度も書いています。すみません。(脱線その2。「クリスチャンプレス」はインターネットで普通に無料で見られますので、よろしかったらお読みくださいね。リンクがはれなくてすみません。「クリスチャンプレス」で検索なさってください。「発達障害クリスチャンのつぶやき」というコラムです。だいたい4日に1度の更新で、週に1度、説教する牧師より更新頻度は高いです。この記事よりはよほどマシなのがたくさん載っています。脱線その2おしまいです。)そこで、「ライターとして食っていけばよいのでは」とお思いになるかたへの実情を話しますね。先月、おしゃべりしたある牧師さんの奥さんがライターさんで、ライターの相場を教えてくれました。だいたい駆け出しのライターだと、1文字0.3円とか0.5円ですって。その新聞社は貧乏なので、1文字0.3円としましょう。私の記事は、1本だいたい1,000文字強なので、だいたい1本300円です。そして、4日に1本、更新されても、40日で10本、つまり、40日で3,000円。だいたい月収が三千円弱。そんなんじゃ食えないわ!

 そのライターさんは、実績があるので、1本1万円の仕事を受けているそうです。しかし、その仕事が月に3本くらいしか入らないそうですので、月収3万円。これでも食えないですよね。月収三千円は食えませんけど、月収3万円も食えません。だからその旦那さんの牧師さんも「お小遣い稼ぎ程度」と言っていました。

 最近、元ホームレスさんのお話をYouTubeで見ました。そのかた、ホームレス時代は、「アルミ缶集め」で生計を立てていたそうです(そういうことをなさっているホームレスのかた、町でときどき見ますでしょ?)。そのかたがホームレスをなさっていた時代、アルミは1キロ80円だったそうです。そのかたは週に100キロのアルミ缶を集めて、すなわち週に8,000円の収入で食べていたそうです。つまり、ほぼ1日1,000円。だからやっぱり月収3万円ですね。ホームレスさんみたいに(言い方が悪かったらごめんなさいね)、家賃も、光熱費も、水道代も払っておられないかたが月3万でギリギリの生活です。(それで、袋いっぱいのアルミ缶を見て「これは3キロくらいです」とおっしゃっていました。週に100キロって、この33倍を1週間で集めていたことになります。めちゃくちゃ働いている!そして、アルミ缶とスチール缶の分別もあるし。スチール缶はお金にならないそうです。また脱線しちゃった。ようするに月収3万は食えません。)

 というわけで、ライターは食えないのです。物書きで食える人はごくごく一部ですね。

 ある人から、かなりたくさん再生されている「発達障害YouTuber」さんのYouTube収入の額も聞きました。これも(具体的な額は書きませんけど)YouTubeだけではとても食えない額でした。その人は、とりあえずYouTubeで顔と名前を覚えてもらって、主たる収入は別のことらしいですけど。(何回目かの脱線です。発達障害で、しゃべるのが苦でない人は、しばしば「発達障害YouTuber」になっておられるのです。クリスチャンのかたは「キリスト教YouTuber」「牧師YouTuber」の存在をよくご存じかもしれませんが、発達障害YouTuberとは、再生回数が桁違いです。本屋さんに発達障害の本はあふれかえっていますけれど「本屋さんにキリスト教の本があふれかえっている」のは見たことないでしょ?ですから世の需要がまったく違うのですが、その発達障害YouTuberのYouTube収入も、それだけでは食えない額でした。)

 いま、私は、傷病手当金をもらっています。2年、出ます(ほとんどの職場は1年半。私の職場は特殊。しかしもうすぐもらい終わります)。「働いていないのに給料の8割が出る」って言いますけど、もろもろ引かれて、実際には6割くらいです。私は、正社員として、月収40万弱、もらっていました。いいでしょう。でもすさまじいハラスメント職場なので、苦渋の決断ですが、辞めるしかありません。(さっき「給料どろぼう」の話をしました。さすがにそのワードそのもので叱責する人はいませんでしたが「お前いくらもらっていると思っているんだ!」というのは、それこそ毎日のように言われていましたね。「給料どろぼう!」と言われているのと同じだ。給料どろぼうしたくてしてるんじゃないよ。私なりにがんばっているのですよ。と言いたいところですが、なにせ結果が伴わなくて、仕事はめちゃくちゃ遅いし、なにをやらせてもダメだし…)その6割くらいをもらっています。「仕事をしないで6割ももらえたら、手厚いじゃないか」というのはその通りですが、じっさいにはきつい。半分強だから。とくにマンションを10年以上前に買っちゃっているので(まさかこんなことになるとは思っていないわけです)、ローンがきつい。健康に働いているとき並みのローンを払わねばならない。きつい!年金暮らしの親から金銭的援助を受けていますが、それでギリギリ。親だっていつまで生きているかわからない年齢です。「さっきのライターの件は?傷病手当金をもらいながらいかなる収入があってもならない、という原則があるはず」と思われた鋭いかたもおありでしょう。いやそもそも私の書いていることはすべてフィクションだし、それに、これはガチで原稿料なんてもらってないし!だから私、こんなに困っているのにアルバイトすらできないのですよ!どういう制度だ。

 きのうですが、ある仲間Lさんから、「採譜(耳コピ)」の話をもらいました。あるピアノソロで、即興でいろいろ弾くのをYouTubeで生配信なさっている音楽家Fさん。なかなかすてきな曲を即興で作って弾いておられる。その採譜です。前にも書いたことで恐縮ですが、私は世の中で流れている音楽のほとんどはすべて耳だけで聴きとれていて、その気になれば、すべて楽譜に書き起こすことができます。私は、この意味で、自分より耳のいい人にお会いしたことはありません。のみならず、テレビに出ている有名作曲家とか、CDを世界発売している有名指揮者より、私のほうがずっと耳が良い、という証拠もあります。とにかくFさんのピアノ曲は、時間さえかければ(私、なにをやるのも遅いですからね!もしも私と同じくらい耳のいい人(会ったことないけど)がいて、同時に採譜したら、私はめっちゃ遅いと思います!)、すべて「完コピ」(完全な採譜)をする自信があります。

 しかし、相場の問題ね!ある町のハローワークでも言われましたけど、クラウドソーシング(特殊技能を売って歩くフリーランス)は「足元を見られる」と。つまり特殊すぎて相場がない場合。これは2か月前に実感しました。(以下の話はもしかしたら前にも書いたことのある話かもしれず恐縮です。)あるとき、ピアノの教師をしている母に「採譜」を頼まれたのです。どうやらお弟子さんのなかに、鉄道マニアのお子さんがいて、どうしてもある駅の「発車メロディ」が弾きたいという。母は私をアテにして、その「採譜」を引き受けて、私に頼みに来たのです。私は採譜しました。ちょっとたくさんの音が鳴っているので、そのお子さんがどの程度、弾けるのかもわかりませんでしたが、母の言う通り「メロディとベースラインとコードネーム」だけ採りました。上下線で、短い曲、2曲です。母は小遣いをくれると言っていましたが、さて、いくらで売るか?さんざん考えたすえ、「1,430円」と言いました。そんな短い曲2曲の楽譜が1,430円は「バカ高」かな?と思ったのです。母は「そんなんでいいの?」と言いながら2,000円をくれました。しかしよく考えてみると、その土地の最低賃金は850円くらいで(あちこちの障害者福祉に最低賃金がベタベタはってあったので覚えてしまいました。つまりその土地では少なくとも障害者求人って、最低賃金×時間、の仕事しかない)、私は少なくとも2時間以上は働いてその2曲を採ったから、1,430円は、最低賃金を割っているぞ!だから「バカ安」だったのです。これは勉強になりました。自営業って相場が難しい!この話をあるフリーランスの仕事をしている人に言ったら即座に「ゼロが1個、足りないですね」と言われました。しかし、じゃあこの楽譜は14,300円で売れるか?母は即座に「それなら買わない」と断言しました。「5,000円でも買わない」と断言しました。じゃあどうすりゃいいの?ほんとに難しいね!

 さて、そのピアニストFさんの採譜の相場です。依頼者Lさんと電話しました。私はおととし、ある教会の仲間の依頼で、久石譲さんのヴァイオリンとピアノの、3分くらいの曲を採譜したことがあります。これも「完コピ」しました。ただし、休みの丸一日(ゆうに8時間を超える)を費やしました(正確にはそれでも微妙に終わらなかった)。久石さんは、この曲の楽譜を、出回らせていないみたいなのですね。だから採譜したのです。完コピすぎて誰も弾けず、無駄になりましたけど。(採譜をしていて何が悲しいかと言ったら、せっかく採った楽譜が使われないこと!さっきの電車の発車メロディを弾きたかったお子さんは、嬉々として弾いているらしいから、少し報われました。ただし、母が採ったことになっているのがくやしいのと、あとその子が嬉々として弾いているようすが見られないのは少し悲しい。)それで、そのFさんの即興の曲は、(意外に思われるかもしれませんが)久石譲さんよりも、少なくとも使う和音の点で、少し複雑かも。(つまり「採りがいがある」。繰り返しますが、Fさんの曲を完コピするのは自信たっぷりでできますよ!)そして、Lさんに依頼されたのは、その1時間くらいの即興演奏のなかの、45分くらいからの3分くらいの音楽。つまり、これは全集中しても、とても8時間じゃ終わらない!(また脱線。そのピアニストFさんもわりと不遇だね。ファン100人くらいらしいです。これ、どう聴いても、たとえば倉〇ゆう〇さんとかよりFさんのほうがよっぽど才能があるのに。脱線終わり。)で、もうひとつの目安です。去年の6月ごろ、すでに私は休職をしていましたが、本気で、ある採譜の求人に応募しようとしていました。そのころ練習用に採譜した、かなり複雑な和音が使ってあるジャズがあります。6分中、5分くらい採って未完でしたが、あとから聴いてみると、われながら「大の大人が本気を出すとすごいな」という、ものすごい完コピでした。先日のパソコンの故障で、すべては消えてなくなりましたけどね。まあいいや。(また脱線です。その採譜の会社は、1次選考で落とされました。完璧に採ったのに、なぜ?じつはその会社は、私を落とすメールの最後に「研修生になりませんか?」という文面をつけていました。つまりこれは全員に同じメールを送っているのであって、これは「絶対にアイドルになれないアイドル養成所」みたいなものだ。ひでえ。まあオレがいま20代の健常者だったら、バイトでもしながら研修生になったかもしれないけど、オレは46歳の発達障害者だからね!脱線終わり!)とにかく、その複雑なジャズを採るのに、5分の曲で、1か月近くかかった記憶がある!まあFさんの曲はそこまで複雑ではない。そのインチキ採譜会社の1次選考さえ、もっとずっとシンプルな曲の、1分ずつが2曲で、2週間の期限で、私は細部まできっちり見直して完コピし、1週間で仕上げたけど。だからFさんのピアノ曲3分は、1日8時間働いて、4日くらいか?あるいはその倍かかるとして8日くらいか?

 そこで、相場の話です。きのう依頼者Lさんと話していて、それぐらいの時間がかかると申し上げました。そして、まったくテキトーな相場ですが、以下の話を出しました。私のオンラインの友人で、あるクラシック音楽マニアさんがいます。もう仮名がアルファベットばかりでは覚えきれないと思いますので、この人は仮に「キンモクセイさん」とお呼びしましょう。キンモクセイさんは、英語が得意です。私は、ある歴史的な指揮者が、英語で、あるマニアックなクラシック音楽の解説をしている音源の、文字起こしと和訳を、気軽に頼みました。それは12分くらいかかる音源でした。キンモクセイさんは、一応バージョン0.1はできました、まだ細かいところで迷いはあるけど、といって完成させ、ちょっとこれは他人に気安く頼む仕事じゃないですよ!っていうことを書いてこられ、「英語文字起こし+和訳」の相場を、リンクをはって、教えてくれました。1分いくらいくら(1分、って、仕事をした時間ではなくてその録音の長さです)、だからその12倍、そして内容の専門性が高いと2割増しや5割増しで、今回はめちゃくちゃ専門性が高いから(「歴史的指揮者によるマニアックなクラシック音楽の解説」)5割増しで、「この仕事は45,000円する!」と結論しました。そしてその人はこれに15時間かかったということで、15で割ると、時給3,000円。まあ専門的な仕事としては妥当かな、私が職場でもらっている賃金の時給より安いけど、って言っていました。

 ここからテキトーに試算してみました。時給3,000円として、1日に8時間としたら、1日で24,000円。まあ簡単に25,000円としましょう。それで上のように4日かかれば10万円、8日かかれば20万ですね、と依頼者Lさんにはお答えしました。Lさんはちょっと驚かれ、せいぜい2、3万かと思っていました、これは5万でも「お友だち価格」ですね、とおっしゃり、このFさんのピアノ即興曲採譜の話はなくなりかけました。しかし、もったいない話!私は、時間こそかかるかもしれないけどFさんのピアノ曲はすべて完コピできる自信があるし、「ピアノ採譜」は得意ジャンルだし(ギターやドラムの楽譜の書き方を知らないんですよね、ずっとクラシック畑だったから)、だいいちさっきの価格は超テキトーだし!っていうことで、引き続きこの可能性は探ることにしたつもりです。Lさんが言うには、かなり「細い線」ですけど。

 (余談。じつはいくら専門的とはいえ、「英語の文字起こしと和訳」のできる人は世の中にたくさんいます。いっぽうで、Fさんのピアノ曲を耳だけで完コピできる人はめったにいない!だからもっと高くてもいいくらいですが、まあ、そうはいかないね…)

 じつは、Lさんは、ツイッター時代に知り合った、音楽仲間でキリスト教仲間です。とても仲良くなり、とっくにツイッターをやめた現在も、会ったことこそないもののリアル友だちです。名前も住所も電話番号も知っています。どれほど助けていただいているかわかりません。そのかたは、私と同じように、やはり月収40万くらいだった時期もあるのですが、うつ病をきっかけに、生活保護まで行かれ、いまは最低賃金プラスアルファの仕事を週に5日、一日に7時間くらいなさり、どうやら生活保護時代よりも少しだけよい生活水準で暮らしておられるそうです。私がLさんに出会った頃は、Lさんは生活保護でした。私は、(実際に対面したことがないとはいえ)生活保護の人に出会うのははじめてでした。出会ってすぐに理解したことは「生活保護の人ってなんとなく漠然と『生活の破綻した人』っていうイメージがあったけど、実際には『生活保護というれっきとしたもので生計を立てている人』のことだ!」ということでした。Lさんは生活困窮の意味でも私の大先輩で、いろいろ制度にも福祉にも詳しいのでした。ほんとうに助けられています。今度の休みに、このたび壊れてすべて初期化された私のパソコンに、例の採譜会社に応募するために大枚をはたいて買った楽譜入力ソフトの再インストールを、全面的に教わる予定です。Lさんはきのう、「(Lさんの住む県の)隣の県は福祉が充実しているんですけど(それは私もなんとなく知っているくらい有名)、うちの県の福祉は、その半分くらいしかないです」とおっしゃり、「障害者雇用と言っても、身体(障害)ばかりでね、精神(障害)はあまりない」とおっしゃいます。私も、まだ実際に求職活動をしていないので実感としてはわかないのですが、ある程度、知っていることがあります。「車いす」とかの人であれば、もし空気が読めてデスクワークをばりばりこなせる人なら、バリアフリーであれば問題なく仕事ができるし。あと「耳が不自由な人」も、もしも空気が読めて仕事がばりばりできる人なら、もうその人のハンデは「電話に出られないこと」くらいであって、あとはメールも読めるし書けるし、いかに障害者枠で雇われても、ばりばり出世できることは知っています。あるいは、精神(障害)よりも知的(障害)の人のほうがまだ会社に信用される。なぜなら知的の人は、いったん仕事を覚えたら忠実に仕事をこなす人が多いのにたいし、精神の人は、朝いきなり「きょうは調子が悪いので休みます」とか言い出すので、信用されない…。とかいうことをLさんに話したらLさんは「よくご存じで」とおっしゃいました。ちなみに私(腹ぺこ)の診断名は3つ、「自閉症スペクトラム障害」と「注意欠如多動性症候群」と「統合失調症」。最後の統合失調症は精神障害ですが、1番目と2番目は発達障害です。しかし、発達障害というのは「比較的新しい概念であること」および「精神科の医師が診断すること」などにより、手帳は便宜上、「精神」になっています。はなはだ納得がいかないですけど、制度はそうなっています。私は16年、どれだけ調子が悪くても、睡眠障害で眠くても、朝は必死で起きて出勤したからね!と言っても今度は「16年も1か所に正社員として勤めるだけの能力のある人」というふうに障害者手帳や障害年金を出す側からは評価されるので、この16年のがんばりは、むしろ、あだとなる皮肉!「2年半勤めた」でさえもマイナス評価らしいからね!16年も勤めたらどれだけマイナスになるの!?

 それで、さっきのキンモクセイさんの発言を思い出しましょう。時給3,000円より高い仕事をしている。この人こそネットの付き合いだけですし、それほどウマもあわないのですが、とにかく会社勤めでテレワークとかしている。(障害者求人の多くは「掃除」とか「いちごのパック詰め」とか「猫のえさの袋詰め」とかであって、テレワークじゃ成立しない仕事がほとんど。)仮に時給3,000円としましょう。1日8時間として24,000円。土日が休みみたいですので、月に22日くらい働いていますね。これを電卓で掛け算すると、月収528,000円。これ以上もらっておられるわけです。ずいぶんいいお仕事しているなあ。

 そこでさっきの、加藤ですよ。覚えておられますか。ずいぶん上のほうに書いてありますが、東大生クリスチャンの彼ですよ。

 彼は同級生だから(お互い浪人はしていないし)同い年。そして彼は東大工学部を出て院には進まず就職したので、かなり社会人経験が長い。まず彼は大手のメーカーにエンジニアとして就職し、数年後にいまの会社に転職。もちろん私のような「逃げの」転職ではなく、「収入の高くなる転職」。また大手のメーカーです。自動車とかを作っている、だれでも知っている超有名な企業のエンジニア。そして、たまたま私の故郷である地に配属されて、現在に至る。私と同い年だから今年46歳。

 で、その地に詳しい人から最近、聞きましたけど、その企業のエンジニアでその年齢なら、どれだけ少なく見積もっても、月に100万はもらっているって。

 100万!

 100万(以上)!

 ここまでの私の「ライター」だの「採譜」だのの、ちまちました話は、どこへ行ってしまったの?

 おい、その100万(以上)のうち40万をうちにまわせ。あんた60万(以上)でじゅうぶんに生計を立てられるだろ!!

 思わず乱暴な本音が出て失礼いたしました。彼は、東大の中では「中の中」でした。「下」ではない(「東大の下」ってなかなか学内では情けないのですが、くさっても東大なので、社会へ出てからはうまくやっているだろうと思います)けれども「上」でもない。彼は「中の中」でした。たとえば彼は「大学院数理科学研究科(東大数理)」は、受かることすらできないだろうし。まあジャンルが違うけど。

 彼は、われわれが学生時代の古い言葉を使うことをおゆるしいただければ、いわゆる「チャラ男」でした。いろんな話がありました。結婚してからそんな話はないだろうけど。(一般的な東大生像、あるいはクリスチャン像と違う?いやいや東大に長くいた私の実感からしても、彼みたいのがむしろ「イカとう」ですよ。「イカとう」も古い言葉?「いかにも東大」って意味ですけど…。)

 彼はクリスチャンとしてもなかなかのいんちきで、私がある年のイースターの日曜に彼に電話したら、寝ぼけた声で「あれっきょうもしかしてイースター?」とか言っているし、いまの地(私の故郷)に行ってからのまる1年以上は、まったく教会に行かなかったし。私みたく睡眠障害で行けないのではなく、まる1年、サボっただけですよ。おそらく聖書もろくに読んだことがない(ずいぶん上で、彼といっしょに生まれてはじめて聖書を買うときの話ですが、新共同訳聖書を買おうとして「旧約聖書続編つき」というものが売っているので彼に何が違うのか聞きましたけど「さあ、どっちでもいいんじゃない?」としか答えなかったし。もっともこれは世の多くのクリスチャンの平均的な姿でしょうけど)。それが彼は教会の「役員」をやっているし!ようするに牧師の人事をはじめ教会のさまざまな役割を担い、礼拝の司会や聖書朗読もしている。私はこの地の教会で、お金がなさすぎて献金を2年近く滞納しているし。いちおう牧師には事情を話してあるけど(牧師も役員会には頭が上がらないのだ)最低の教会員だし、なによりひけめがあるし。

 貧乏な人は努力していないって?とんでもない、私は努力してきましたよ!「給料どろぼう」だけど、いかにハラスメント上司のもとで(無駄な)努力をしてきたか。その一流エンジニアがどれほど「努力」しているか知らないけど(いや努力しているんでしょうけどね)、私も必死で努力してきた!結果に結びつかないだけで。いや結果を出せ?結果がすべて?まあそう言われたらぐうの音も出ませんけど、でも、私、いまでもすげえ努力してるよ!「1年半も仕事を休んで、ラクでいいねえ」じゃないんだよ。どれだけ必死でいろんな福祉をまわったか!どれだけいろんな制度に詳しくなったか!(また少し脱線。さっき何気なく、ある県の福祉が充実していることを「有名」と書いてしまいましたけど、「どんな都道府県の福祉が充実しているか」なんて、普通は知りませんよね。みなさん「福祉の充実している都道府県はどことどことどこですか」と問われて答えられますか?これも私がさんざん歩き回って、だんだん詳しくなってきたことのひとつですね。脱線おしまい。)去年の6月ごろ、例の採譜の求人に応募するために必死でがんばり、上述のとおり落とされたその日から、このnoteを始めて現在に至る!毎日投稿はしていないけど、「毎週投稿」ではある。遊んでいるだけではありませんぞ。そこからだんだん校正のお仕事をいただいたり連載のお仕事もいただくようになったのだから…。繰り返しますけどこれらはフィクションだし、「クリスチャンプレス」に載っているものもフィクションだしね。1本300円(500円?)くらいだろうけど。どんなへぼい牧師でも、説教1回で献金が計300円(か500円)てことはないと思うけど。でもフィクションだけどガチでお金はもらってないからね!仮にもらうとしたらそのくらいの金額だろうって話。とにかく努力しているぞ!学歴?悪いけど彼より学歴はずっと高いよ。こういう争いは極めてみにくいから仮に彼がこの記事を見ても嫌だけど、みにくい争いを書きますね。彼の最終学歴は「東京大学工学部卒」。私の最終学歴は「東京大学大学院数理科学研究科数理科学専攻博士課程単位取得退学」です。後者は、並みの東大生・東大卒でも腰を抜かすほどの高学歴です(「修了」じゃなくて「単位取得退学」なところがなかなかみっともなくて私は好き)。みにくい争い、終わり。つまり、言いたかったことは、「私は勉強においても努力していた」という、ただそれだけです。ああなんだか自分でも読み返すのが恥ずかしいくらいの落ち武者みたいな記事になってきました!

 私は、自分の故郷で次の仕事を探すなら、加藤(その彼)がエンジニアとして勤める大企業の、非正規雇用の清掃員とかになるわけです。ほんとにそういう勢いなのです。恥ずかしすぎて彼の通う教会(そこがその地で私と最もつながりのある教会ですけど。結婚式もそこで挙げた)になど行けないわ!

 私が博士課程のころもらっていた奨学金は11万9千円。よっぽどいい収入だよね!まあそのころは大げさでなく日本の将来を背負って立つ研究者の卵だったから当然なんですけど。しかも研究者になれば返さなくていいやつだったから、実質的にもらっていたのね!MITとかで大学院生に「給料」が出るっていう話を聞いたことがあるけど、それに近い。まあ、その奨学金は数年前に返すはめになったけど!それにプラスして、RAの給料(これはほんとに給料)を4、5万、もらっていたこともあるし!(RAってなかなか知らないでしょう。TAというのがティーチング・アシスタント。RAはその上で、リサーチ・アシスタント。ちなみに私は、修士課程1年のときにTAをした後輩で、東大准教授になっているのがいますよ。つまり大げさに言うと「教え子が東大生になった」レヴェルではなく「教え子が東大の先生になった」話。ああ、こんなことを書けば書くほど空しくて恥ずかしい…)

 もう書くのをやめますね。だから最初に宣言したとおり、これは「ひがみ」「ぐち」ですから、それに付き合う覚悟のかただけ、お読みくださればよかったのです。過去にもときどき一定の割合で、こういう「ぐち」記事を書いてしまっていますが、もう我ながら恥ずかしくて、自分でも読み返す気が起きないほどです(でも消さずに残っていますけど)。皆さん、これは学歴信仰の否定ではないですよ。レールから脱線しなければ、加藤(繰り返しますが仮名)のように大企業に勤めてたくさん稼ぐこともできますし、私の先輩・同輩・後輩の多くは、かなりいい大学の教授か准教授かくらいにはなっていますよ。(ある東大の先生が書いた新書に書いてありましたが、東大くらいのレヴェルの大学の先生になると「自由」と「名声」と「富」の3つがそろうって。この3つがそろう職業って、ほかになかなかないって。言われてみると確かにそうですね。)ようするに社会って、いったんレールから外れると、際限なく落ちてゆく構造になっているだけです。私の知る限り、こういう落ち方をしている東大の仲間が約2名いますが、いずれも若くして重い精神病に犯された人ですね。

 つまり、オレのことを「貧乏人は努力していない。自業自得だ」って言うな!!!ほかの貧乏人にも言うな!!!

 (以上、すべてフィクションでした!)

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