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さんまの東大方程式

 いまからテレビに詳しくない私がテレビの話題を書きます。ちょっと時代も古いかもしれない話を書こうとしています。しかし、「東大にはある程度くわしい」私が書こうとしています。よろしければお読みくださいね。

 『さんまの東大方程式』という番組があったのです。いまもあるのか知りません。東大生をたくさんスタジオに集め、明石家さんまさんがしゃべる番組です。ご覧になったことのあるかたも多いのではないかという気がします。私が知っているくらいですから。とても変わった東大生をたくさん集めていました。確かに、東大には一定の割合で「変わった人」がおり、その割合が世間一般より高いのは確かです。しかし、あの番組ではあえてそういう「変わった東大生」を集めており、あれよりは実際の東大はもっと「普通の」人も多かったです。しかし、たしかに東大・東大院というところは、かなり「変わった人」である私もそれほど浮かないですんだので、私みたいな人間には居心地のいいところでした。私の時代にあの番組があったとして、私が出ていたかどうかは知りません。とにかく私はその番組に出ている「変わった人」である後輩たちを見ながら「きみたち研究者以外のものになったら詰むよ」と思っていたわけです。

 数年前のことになると思います。「大津くん」という人気者がいました。大津くんはいまは大学院生か、それとももう勤めているのか、知りません。これは最近のことですが、大津くんをYouTubeで見ました。「学問というのは人をおごり高ぶらせるためのものではなくて、自分の小ささを知るためのもの」と言っていました。みなさん「おお」という感じになっていました。多くのみなさんが、大津くんの天然キャラを知っていて「大津くんかわいい」と思っておられるのでしょう。そして、そんな大津くんがそのような「名言」と言うと「おお、すごい」ということになるのだと思います。ここで、皆さんが暗黙のうちに忘れている(であろう)ことを書いておきます。それは「大津くんは、とても賢い人なのだ(おそらくこれをご覧のあなたよりずっとね)」という「考えてみれば当たり前のこと」です。

 このように、人の能力というものは、一概に数値化できないものです。しかし、多くの場合、われわれは人を数値化します。学生時代は偏差値で、大人になったら年収で。しかしながら、世の中の尺度に振り回されまくった私は、いま46歳にして、ようやく「それは世間の尺度にすぎなかった」と気づかされています。私は「あいつはお勉強さえできれば、あとはなんにもできなくても大目に見られて、甘やかされて育ったのだ。だからあいつは、なんにもできないのだ」と思われ続けて仕事をしてきました。(そう面と向かって言われたことはほとんどないのですが、おそらくずっとそう思われていただろうと思います。)したがって、そのような職場でもう仕事を続行することが不可能となったわけですが、とにかくあの番組に出ている東大生諸君は、研究者以外のものになるべきではない。社会に出たら私のようなものになる。そう思ってあの番組を見ていました。

※サムネは駒場キャンパスです。東大数理は駒場にありました。ここに12年、通ったのです!

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