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カットモデル

 以前、学生時代のバイトとして、ビラ配りをやっていたことを書きましたが(「ビラ配り」という記事です。リンクがはれなくて申し訳ございません)、そのほかに、バイトとは言わないものの、お金の節約になることをしていました。「カットモデル」です。

 これは学生寮の伝統で関係の続いていたある美容室のカットモデルで、見習いさんの練習台になる代わりに、タダで切ってもらえますというものでした。この話を聞いた多くの人が、「それは自分の思い通りの髪型にはならないのでしょう?」とおっしゃるのですが、そのようなことはありません。そもそも客の望みの髪型にすることが美容師の修行なので、こちらの言うように切ってくれます。そして、最後は先生が仕上げをしますから、まったく問題ありません。閉店後に行われるので夜遅かったことと、時間がかかることを除いて、非常によいものでした。

 ときどき、怒られます。とはいっても、私が怒られているのではなく、見習いさんが先生に怒られているのですが、まるで自分が怒られているかのように「ビクッ」とします。「ほら!このお客さんは、こういう頭の形をしているだろ!こういうときは…」と注意されているのを聞いて、なるほど自分はそういう頭の形をしているのか、と思ったり。見習いさんと親しくなったりもしました。みなさん、夢があるのです(お客さんと雑談するのも美容師さんの修行のひとつなのでしょう)。そして、どうしても、時間がかかるのは、おっかなびっくり、ちょっとずつしか切らないからです。なにしろ、髪の毛は、多く切り過ぎたら、取り返しがつかないですからね…。やはり、みなさん、年度当初の時期が最も遅く、1年たってきて年度の終わりごろにはだいぶ上達して速くなっていきます。

 私がこのカットモデルをするようになったのは、先述の通り、寮のつながりですが、曜日が、オーケストラの練習日と重なっていましたので、オーケストラをやめたのちに、加わるようになりました。しまいには代表みたくなってしまったのですが、ここで、25歳の大病が起きて、2年のブランクがあり、ここの美容院とのつながりは切れてしまいました。もともと寮の近くにあった美容院で、かなり遠くに移転してからも、交通費を出してくれてまでカットモデルを募集してくれていたのですが…。

 ちなみに、年に一度ある、ほんとうの美容師さんの試験のモデルは、決められた髪型にしてゆき、決められた通りに切られるらしいのですが、その代わり、すごい額のバイト代が出たようです。それは経験せずに終わりました。

 そののち、教会で知り合った、ある女性の美容師さん(ご主人はかなり有名らしいカリスマ美容師さん)のカットモデルになりました。とはいえ、よく考えてみると、その人は、いまさら、そんな私で練習などしなくてもいいはずで、それはたんなる私へのサービスだったと、今にして思います。

 というわけで、カットモデルというのは、ちゃんと自分の思い通りの髪型にしてもらえますし、最後は先生が仕上げをしてくれますので、どうぞ安心してなってください。おすすめの節約術です。久しぶりに、またやろうかな。どこかでカットモデルを募集してないかな。

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