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生でホルストの「惑星」を聴いた

さて、まただらだらとクラシック音楽オタク話を書くことにいたしますね。本日は珍しくこれから3つも授業が入っており、体力を温存せねばなりませんが、まあ息抜きで書きましょう。

きのう、イギリス名曲プログラムを聴きました。プログラムは以下です。

エルガー 「威風堂々」第1番
エルガー 愛のあいさつ
ヴォーンウィリアムズ グリーンスリーヴズ幻想曲
ホルスト 組曲「惑星」

いいですねえ。とくに惑星を生で聴いたことがなかったので、前から楽しみでした。いい席のチケットを取ってくださった仲間には感謝しています。

プレトークで、「惑星」で用いる種々の特殊な楽器の紹介がありました。バスフルート(アルトフルートで代用)、バスオーボエ、チェレスタ、オルガン、2台のティンパニ・・・プレトークの男性は、ホルストはこの曲を手分けして友人がオーケストレーションした話もしていましたが、もしかして、ホルストの友人たちは、おもしろがって、極端に珍しい楽器を使ったり、女声合唱も入れてみたりしたのではないか、という楽しい想像が働きました。

演奏が始まりました。威風堂々第1番は、ワセオケをはじめ、いくつかの演奏で聴いてきた作品です。プロの演奏で聴くのも初めてではありません。しかし、この作品のクライマックスで、不覚にも、木梨憲武さんが麻婆豆腐を食べている絵が思い浮かんでしまいました。かなり昔、麻婆豆腐の宣伝でこの曲が使われていたのです。これは不覚でしたね。

ストコフスキーは、この曲の録音を残していませんが、若いころ、アメリカでひんぱんに取り上げています。そして最晩年にイギリスで、スーザの「星条旗よ永遠なれ」を録音しました。若いころ、イギリスのマーチをアメリカで演奏し、最晩年にイギリスでアメリカのマーチをレコーディングしたわけでした。

ストコフスキーは、エルガーの交響曲第2番をアメリカ初演しています。いまでこそ再評価の進んでいるエルガーの交響曲第2番。いつか、いい演奏で、生で聴いてみたい曲のひとつです。ストコフスキーはエル2の録音も残しませんでした。惜しいことです。ゲロンティアスの夢は、エルガー本人の指揮でフィラデルフィア管弦楽団が上演していますので、ストコフスキーが作曲家を呼んだのかもしれないと思っています。ゲロ夢は生で聴いたことがありますので(大友直人指揮東響ほか)、これはいつか記事にするぞと。

続いて、愛のあいさつ。これは、先日、記事にしたばかりですね。2009年に聴いているのです。電話で待たされるときによく耳にします。それだけキャッチーなメロディなのですね。これを「朝のあいさつ」と言い間違えていた私の友人がいますね。

私はこれは、学生時代にフルートとピアノ版でレッスンを受けたことがあります。よく見ると、私の先生の編曲によるものでした。どうやら海外で出版されているらしい。惜しいことにその楽譜はなくした気がします。

ストコフスキーの録音はありませんね。ストコフスキーのエルガー録音で残ったものはエニグマ変奏曲(複数のライヴ録音あり)だけなのです。惜しいですね!ストコフスキーはエルガーの理解者だったのに!でも、エニグマ変奏曲はさすがの名演であり、私もよく1946年のライヴ録音および1973年のライヴ録音は、パソコンに取り込んで、授業前の時間調整音楽にしています。

そして、ヴォーンウィリアムズのグリーンスリーヴズ幻想曲。これもよかったですね。これは、東大オケのアンコールで聴いた演奏が印象に残っていますね。この話は書いたことがないでしょう。フルートソロがコンマスのヴァイオリンソロでしたが、のちにスコアにはフルートでもヴァイオリンでもいいように書いてあるらしいことを知りました。きのうの演奏はよくCDで聴くフルートソロの演奏でした。

ストコフスキーは生涯で1回、録音しています。ニューヨークフィルのモノラル録音。あと、ロンドン交響楽団のライヴ録音もあります。ストコフスキーのヴォーンウィリアムズは、交響曲第8番(BBC交響楽団ライヴ)がすばらしく、これも時間調整音楽としています。第9番のアメリカ初演ライヴもすばらしい。ヴォーンウィリアムズの8番や9番も、いつかいい演奏で生で聴きたい曲であります。

この曲(グリーンスリーヴス)も、電話で待たされるときのメロディですね。それだけキャッチーなメロディであると言えましょう。この旋律は賛美歌になっており、クリスマスあるいは年末年始の賛美歌です。クリスマスというのはキリスト教では年末年始をまたいで翌年の1月6日くらいまで続きますので、そのシーズンの賛美歌ということです。故・立花千春さんの教会におけるフルートとオルガンのコンサートで「みなさんごいっしょに歌いましょう」というのがありました。「こどもさんびか」の年末年始の歌に入っています。どうでもいいのですが、私の小さいころ、これを、グリーン・スリー・ブスと発音する子がいて、これだと緑の3人のブスになると言っていたものでした。

立花千春さんのコンサートの記事も書いたことがないでしょう。あるとき検索して、立花さんが40代で亡くなっていたのを知ったときは衝撃でした。惜しいフルーティストを亡くしたものです。いつか立花さんの記事も書きます!

グリーンスリーヴスを自分でやったときの話もしましょう。ある教会でのクリスマスコンサートでの出し物でした。こどもクリスマス会ですね。やはりクリスマスの出し物なのです。最初は先生に聞いて、千秋次郎(せんしゅうじろう)さんの作曲したフルートのためのグリーンスリーヴスをやろうとしましたが、これは難しすぎでした。どうにかほどほどの難易度のフルートとキーボードのためのグリーンスリーヴズの楽譜を探してやったものです。アガってしまってあまりいい出来ではなかったような・・。でも、うまかったころの話です。もうそろそろ、思い出になったかな。この日のこともいつか記事にしますよ。

ここで休憩で、休憩後にホルストの惑星でした。これは生で聴いたことがないぞ!

すばらしい演奏でした。やはりオケとしても滅多にやらない曲であるようで、入念に練習されたのでしょう、気合の入った演奏になっていました。(前半の3曲はやり慣れておられるのか、それほど練習にたくさん時間を割かなくてもできそうな感じはありました。)ホルスト以外で、こういう星をテーマにした組曲を書いた作曲家はちょっと思いつかないくらい、題材からして独創的な曲だと思いました。

この曲は最後の海王星で女声合唱が入ります。しかし、いないのです。不審に思っていましたが、水星くらいを聴いているときに思い出しました。確か、女声合唱は舞台裏で歌うとスコアに書いてあるのだったな!そうか!と思ったのですが、じつは女声合唱は出て来られました。海王星の途中で出て来て歌われたのです。オケの上の席に登場なさいました。

この曲の思い出は、35年くらい前に、中学生だったころ、家にボールト指揮のCDがあり、気に入ったということがあります。「火星」は楽譜に起こしたかと。(「採譜」ですね。いま知っている言葉で。)特徴的な和音が使われており、採譜したくなったのです。結果として、わりとシンプルな構成の和音が使われていることはよく理解できました。それは金星でも同様です。

なるべく時系列で書きますね。ストコフスキーにハマってから、ストコフスキーの惑星のCDを買いました。ロサンゼルスフィルのものです。これはあまりよくありませんでした。最初からトロンボーンの人が落ちる事故が起きています。なかなか理想の惑星のCDには出会えません。中学のときに出会ったボールト指揮のものがよいように思われました。

それからしばらく時間がたち、エルガーの威風堂々が、「あたしんち」というアニメのテーマ曲で「きてきてあたしんち~」というふうに使われたと同じころ、平原綾香さんが「ジュピター」を歌って大ヒットしました。あのころ渋谷の駅でたくさんの宣伝を見たものです。歌番組でもやっていました。ホルストの「惑星」のCDを買おうとして、モーツァルトの「ジュピター」を買ってしまう人がけっこうおられるようでした。(これに似た現象で、ルロイ・アンダーソンの「そりすべり」を買おうとしてモーツァルトの「そりすべり」を買う事故も起きていました。なにせインターネットのあまりない時代で・・・)

東京を去ったのちだと思いますが、ストコフスキーのホルストの惑星で、NBC交響楽団を指揮したライヴ録音のCDが出ました(正確には出たのは東京時代ですが、東京時代には買っていなかった)。これはホルストの自作自演についで古いくらいのかなり古い録音ですが、これは上出来なのでした!すばらしい出来です。これはあまりに上出来なので、記事を書いたことがあると思います。このほか、アメリカ交響楽団のリハーサルの録音から、ストコフスキーマニアが本番の演奏みたいに再現したものがあり、この惑星を、私はパソコンに取り込んで時間調整音楽としています。ストコフスキーに、最晩年に惑星の再録音をさせる計画があったようですが、ストコフスキーは95歳の若さで世を去りましたので、実現しませんでした。惜しいことです。

さらに時系列で言いますと、この木星の旋律は、賛美歌になっていることを知ったのでした。聖公会の聖歌でした。聖公会の聖歌のCDに入っていました。歌詞も含めてなかなかの名曲です!しかしこれは聖公会でしか賛美歌になっていないのか・・・と思っているさなか、あるプロテスタント教会の一室でのんびりしていたときに、この曲を練習するオルガンの音がするではないか!どうやらこれは結婚式を挙げる人のための練習でした。あとからオルガンの人に聞いたところによると、教会福音賛美歌とかいう賛美歌集には載っているのだとか(聖公会の聖歌とはまったく違う歌詞で)。新郎の希望で歌うことになったそうです。(私が自分の結婚式で希望の通った賛美歌は1曲だけだったぞ。まあいいですけど。)ちょっとネット検索したら、この旋律は、さまざまな歌詞がついており、賛美歌だけでも15種類くらいの歌詞があるとのこと・・・。知りませんでした。

さらに時系列で、いまの私の自宅の電話の着信メロディがこの旋律です。また電話の音楽です。ようするに名旋律は、賛美歌になったり電話の音楽になったりするのです。

それにしても、これみんなイギリスの作曲家の作品か!この日は行く途中に「本日はビートルズの日です」と書いている喫茶店の看板も見ましたが、ビートルズもイギリスのバンドですよね。イギリス人恐るべし!

松尾葉子さんの指揮は、なんと28年ぶり2回目に見たことになります。1996年、20歳のときに、ある学生オケを指揮するのを聴いて以来なのです。これもまた貴重な機会でした。オケを手堅くまとめるリーダーシップを発揮しておられました。さすがです。

アンコールは、女声合唱を含めて、いわゆるその木星の「ジュピター」のところをやってお開きでした。楽しかったです。音楽っていいですねえ!

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