外山雄三を讃えて#13 チャイコフスキー「交響曲第5番」

 学生時代、1996年にはじめて外山雄三の指揮する演奏会を聴いて衝撃を受けて以来、四半世紀にわたって外山雄三を追いかけ続けております。外山雄三は極めて非凡な指揮者です。(作曲家としても非凡です。)そんな外山雄三を讃えるシリーズ、13回目になりました。今回は、演奏会の感想ではなく、最近、購入したCDを聴いての感想です。外山雄三も今年で90歳、ようやくまともな評価がされるようになってきたのか、昨年、大阪交響楽団を指揮した一連の(いわゆる「名曲の」)CDが出ました(ベートーヴェン、チャイコフスキーほか)。今回は、チャイコフスキーの「交響曲第5番」とボロディンの「だったん人の踊り」を収録した1枚を聴いた感想です。なるべく生の演奏会を聴いているように、1回限りの生を聴くようにして聴いたつもりです。

 いずれも、生では聴いたことのない演目です。チャイコフスキーの交響曲第5番は、以前、書いた、「悲愴」(「外山雄三を讃えて⑦:CDを買いました」ご参照。リンクがはれなくて申し訳ございません)のときと同様、金管のテヌート奏法がとても効いています。しかも、スコアを見ながらよく聴いてみると、第1楽章の付点のリズム、「付点八分音符+十六分音符」と「八分音符+十六分休符+十六分音符」をきちんと区別しようとする姿勢、さすが外山雄三のこだわりです(多くの場合、なんとなくノリで処理してしまう)。ちなみに序奏がとても速いのですが、これもスコアの指示(速めのテンポを要求している)だとわかります。やはり、外山雄三を印象批評してはいけませんね!そして、必ずしも、なんでも「楽譜通り」なだけじゃないところが外山雄三の特徴なので、第4楽章のアッと驚きテンポ設定もなかなか驚かせてくれます。「だったん人の踊り」もスコアを見つつの鑑賞。満足。

 今回、外山雄三のベートーヴェン交響曲全集、チャイコフスキーの3枚、が、入手できるようになったのにはわけがあります。前にも書きましたが、いま、金銭的にも極めて困窮しているわけです。で、クリスマスに洗礼を受けた仲間が、信仰告白の校正のお礼として送ってくれたお金で、ベートーヴェン交響曲全集が買えました。また、「採譜(耳コピ)」や「メロディを楽譜に起こして和音をつける」作業をやっておりまして、無料でやらせていただいておりますが、カンパをお願いしたら、応えてくださることになったりして、無事にすべて入手できそうなのです。「金銭的に困っているのにCDなんていう娯楽の品を買うなんて!」と思われたかたもあるかもしれませんが、まだ買うだけの余裕はあるし、それに、文化的な生活を送るためには、生活必需品を買うだけではなく、こういう楽しみのためのお金も使う心の余裕が必要です。とくに外山雄三は、上にも書きましたとおり、四半世紀前からのファンで、しかもこれだけまとまってCDが出たことは空前でしたので…。

 以上です!

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