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【読書メモ】「“ニート”って言うな!」

どうも、Cherryです。

世の学生さんは夏休み真っ只中といったところでしょうか。
私には高校生の弟がいるのですが、課題図書100冊を3年間かけて読んでいくのだそう。そのうち5冊を夏休み中に読んで、その5冊から夏休み明けにテストがあるそうなんです。

その影響もあってか、私もここ最近読書にハマっておりまして。
(学生時代は読書なんか全然しなかったのに・・・!!!)
せっかくなので、夏休みらしく、本を読んだ感想(というよりメモ)を1冊だけでもアウトプットしようと思い、記事にしてみました📚

ぜひ最後までお付き合いいただけると、大変嬉しいです🌺


★この本を読む前に思っていたこと

一言でお伝えしようとするならば、
「ニート」を勘違いしている人が多すぎる。

そう思ったケースを3つ紹介します。

①Nさん

Nさんとは、今年に入ってからnote上でよくしていただいている。
そんなNさんに1点だけ物申したいことがある。悪く言うつもりはないが、
自分のことを「ニート」だなんて思わないでほしい。言わないでほしい。
そうやって自己肯定感を下げるようなことはしないでほしい。

今年の春に大学を卒業したNさん。
彼女も就職活動があまりうまくいってなかったよう。
やっとの思いで手にした就職先も1ヶ月で辞めることに。
今は、新しい就職先を探しながら、noteで記事を書き続けている。
最終的にはライターを目指しているそう。

そもそも、新しい就職先を探している時点で「ニート」だなんて言わないはず。

②Kさん

Kさんは、学生時代のバイト先の同期である。

2年前のハロウィン。IGのストーリーで彼女はこう呟いていた。
待ち望んでいたもの(内定通知書)がやってきた!
10月まで公務員とニートとの狭間にいたと思うとゾッとするわ〜

公務員を目指して大学3年の頭から勉強を続けていたKさん。
それもあって、バイトのシフトに入ることも少なくなっていた。
(文面から見る限り)民間企業での就活もしていなかったのだそう。
それくらい公務員になりたかったんだろうな。
ちなみに、(以前の記事でも少し書きましたが)我々の代の公務員試験は延期になり、8〜9月に試験、10月に最終合格発表・内定出しのところが多かったんです。

仮に試験に落ちてしまったとしても、もう一年勉強するつもりだったのであれば、それは次の仕事への準備になるのだから、それって「ニート」って言わなくない???

③Iさん

Iさんは、学生時代のバイト先の先輩である。

3年前の大晦日。IGのフィードで彼女はこう呟いた。
「就活を乗り越え、途中ニートになるなど、色々あった年でしたが、
無事に今年を終えられてよかったです。」

大学3年の3月になると、就職活動がより一層忙しくなって、
バイトのシフトに入ることが少なくなるのが、普通ではあった。
ただ、Iさんはどんなに忙しくても、変わらぬペースでシフトに入っていた。
無事に就職活動を終えても、これでもかと言うほどのペースでシフトに入っていた。
そのせいで、金銭的な扶養の壁を越してしまいそうになって、バイトを休むことに。

一応学生の身分はあるのだから、それだけでも十分なのではないのでしょうか???「学生ニート」という言葉もあるけど、バイトばかりして、学業に支障をきたすようだと、それは本末転倒ですよ。


これ以上例を挙げるとキリがなくなってしまうので、この辺にします。


そんなこんなで「ニート」を勘違いする人の多さに辟易していた時に、こんな本と私は出会いました。


★この本を読んでいる最中に感じていたこと

この本は、本田由紀先生(東京大学教授。教育社会学者。)内藤朝雄先生(明治大学准教授。社会学者。)後藤和智さん(当時は東北大学の学生。)による共著であります。

第1部では、「ニート」という言葉が一般的なものになったことの問題点やその背景について、本田先生により論じられています。

第2部では、「ニート」言説によって憎悪が生まれる社会的なメカニズムについて、内藤先生による分析がなされています。

第3部では、多様なメディアにおける「ニート」言説を検証し、「ニート」がどのように記述され、どのような影響を及ぼしたかについての批判が、後藤さんによってなされています。


最近個人的にドンピシャな出来事が多く起こっているのですが、
本田先生がこの本で論じていることは、私が考えていることと全体的に
ドンピシャでした!
私が考えていることは、全部本田先生が論じてくださっているので、
今回は第1部に焦点を当てた上で、読書感想文&メモを公開します!

はじめに① 本田先生による最初のご挨拶。
はじめに② この文を読んだ瞬間から、ワクワクが止まりませんでした🥺
はじめに③ あえてそのまま載せてますが、試し読みのつもりでご覧いただければと思います。



1990年代にイギリスで生まれたこの言葉。
日本でも2004年から2005年にかけて使われるようになりました。
ただ、イギリスでの定義と日本での定義との間にズレもあります。
(年齢層、失業者を含むかどうか、など)

それだけでも「恐ろしいな」とは思うのですが、もっと恐ろしいのは、
一般の人が考えていることと、私および本田先生が考えていることとの
ズレがあると言うこと。


言葉で説明しづらいので、図も使って説明しますね。

①❤️:世間一般的な考え、💛:私および本田先生の考え
②「ニート」全体に敷衍される強いマイナスのイメージ

①世の中には、様々な理由があって働くことができない人がいます。
「進学準備」「留学準備」「資格取得準備」「家業手伝い」「療養中」「育児・介護」などなど。

「ニート」について。
世間一般的なイメージでは「(どのような理由であれ)学生でもなく働いてもいない状態」を示していますが、
本田先生にとっては、その状態に加えて仕事をするための具体的な行動をとっていないし、働きたいという希望もない状態」を示しています。

「ニート」って簡単そうに言う人って、だいたいこの「働いていない事情」っていうのをどうしてもスッ飛ばしてしまうので、そこは本当に気をつけた方がイイと思いました。


②「ニート」って、ネガティブなイメージとして捉えている方が多いというのは、皆さんのご周知の通りかと思いますが、

「働こうとしているか、いないか」以前に「働いているか、いないか」という材料だけで、判断している人が大変多い。
「働いていない」という事実だけで、憎悪の対象になる。

これって、若い人々がそれぞれ個別の諸事情の中で生きていること、そして最近ますます多様なライフコースを辿るようになっていることへの想像力が欠如している証拠だと思っています。


★この本を読み終えてから受けた印象

この本を読んでね、私は改めて思いました。

  1. 単に「仕事をしていなければ教育も受けていない若年層」というだけで、「ニート」と定義するのはやめて欲しいということ。

  2. このような問題は、青少年の内面の問題ではなく、社会構造の問題として議論されるべきだということ。


読む前から思っていたことではありますが、この本でも同じようなことは書かれていました。


「ニート」という言葉を平気で使うような人(極めて軽蔑し嫌悪するような感覚を持って言う人は尚更)には、是非読んでもらいたい一冊です😤



「ニート」って言うな!💢



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