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ばんそうこうよ、すまない。キミは間違っていなかった。

今日、何気なくラジオを聞いていたら、「ばんそうこう」という言葉が耳に飛び込んできた。明治時代末期から昭和にかけて活躍した文豪の小説の一節だっただろうか。

怪我をしたときにペタっと貼るアレ。アレのことを20代前半までは私も「ばんそうこう」と呼んでいた。私の家族も周りの友達もそうやって呼んでいたと思う。

ところが、今から20年ほど前に旅行で大阪に来た時のこと。何かの拍子でケガをしてしまい、駅のそばにいた私はキヨスクに行けばアレが売っているだろう、と思い店頭の店員さんに「絆創膏をください」と声をかけた。
すると、私が声をかけた50代くらいの女性の店員さんは「絆創膏って昔のテープなんじゃないの?今時そんな風には言わないよ。バンドエイドならあるけど?」といった内容のことを私に告げたのである。細かい言い回しはよく覚えていないが、咎めるような口調で言われたことは忘れられない。
今の私だったら、客にそんな言い方はしないほうがいいですよ、くらいのことは言えたかもしれないけれど、当時はそこで頭が真っ白になってしまった。
店員さんに否定されるような言葉をかけられるのもショックだったけれど、もう一つ衝撃的だったことがあった。
私が「絆創膏」とずーっと信じていたものが実は間違っていただなんて。


確かに「バンドエイド」という言葉は当時の私も聞いたことがあった。そして「バンドエイド」は「絆創膏」とほぼ同じものだという認識を持っていた。
しかし、「絆創膏」はもはや使わない言葉なのだ、とキオスクのおばちゃんは断言したのである。そして強調した。「バンドエイド」は「バンドエイド」以外の何物でもないし、「絆創膏」なんて言葉はもう使われていない、と。

それ以来、私は「絆創膏」という言葉を封印した。かれこれ20余年、もうアレのことを「バンドエイド」としか呼んでいなかった。

ところが、1か月ほど前の夕方の情報番組で、地域によってアレの呼び方が違う、ということを報じていたのだ。
そして、私の実家のある県も「絆創膏」と呼ぶ地域だったと紹介されていた。

その瞬間、「私のこの20年を返して!」という気持ちしか起こらなかった。人生の前半ずっと「ばんそうこう」と呼んでいたものをおばちゃんの一言で打ち消し、それ以来封印していたのに。

ネットでも地域によって呼び方が違うことがまとめられていた。
https://xtreeem.com/I0000159
そんなことには全く気付かずに、キヨスクで一度言われたことを頑なに信じていた私。

ばんそうこうよ、すまなかった。
これからはキミのことを自信を持って積極的に呼んでいくよ。


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