心理学的に”女を落とすテク”を考察する

今回はタイトルの通り、心理学的に”女を落とす”を考察したい。
しかし、心理学的とは言っているものの、主にはコミュニケーション理論と認知行動理論の援用だ。そしてなにより、僕が認知行動療法を教わった先生と、尊敬する(そして絶対にこのような人間になってはならないと常に思っている)先輩からの受け売りが多分に含まれている。

ちなみにタイトルでは女性という風にしているが、これは僕目線から見ただけであって”男を落とす”と言い換えていただいても差し支えない。

ちなみに僕は高スペックなので今から述べるようなテクニックは使ったことがない。どれくらい高スペックかというと、まず高学歴である。そして高学歴、最後に…………言うまでもないことだが、高学歴だ。
(こちらも言うまでもないことだが殊更に高学歴をアピールするような男とは付き合わないほうが吉であると思う)

前置きが多いが、マジレスすると自分が認知行動理論を復習するために書いた小話であるので、いざ現実場面でこのテクニックを実践されることに責任は持てないことはご了承いただきたい。また、本記事はいつもの3倍くらい長い。許して。

そして、信憑性としてもそこそこある。僕が今まで女の子に落とされてきたパターンを考えればこれが当てはまるのだ。大体は一方的な僕の勘違いだった。希死念慮が高まるね。

さて、実際の恋愛テクに入る前に少し堅苦しい用語解説と理論の説明をしなければならない。説明パートが長くなると思うが、まぁ読んでほしい。

まずは、好子と嫌子についてだ。昔は強化子と弱化子と言われていたのでこちらのほうが名前としてはわかりやすいかもしれない。
人間の行動は主にこの好子と嫌子によって概ね説明できると思う。

といっても大した用語ではない。好子は「その人が楽しい、よい、面白い」と捉えるもの。嫌子はその逆で「その人が嫌で、怖くて、気持ち悪い」と捉えるものである。僕はドリアが好きなのだが、もし勉強したすぐ後にドリア(好子)を出されるという状態を作り出されたら僕は勉強を無茶苦茶する。通称ドリ勉になるだろう。その逆もあり、勉強するたびに僕の嫌いなドリアン(嫌子)を出されたらどうだろうか。勉強をあまりしなくなってしまうであろう。ドリ勉だ。もちろんすでに察しの良い方はわかってらっしゃるかもしれないが、嫌子は罰としても機能する。悪いことしたら怒られる。この「怒られる」というのは嫌子として機能している。

要は好子と嫌子によって人間の行動はある程度決定される。何かした後に好子(まぁ簡単に褒美と言い換えてもらってもかまわない)を得ることができたら、その行動は強化されるし、逆に嫌子(罰)を与えられたらその行動は消失する。というような感じだ。

少しわかりにくかったかもしれないが、以上のことをまとめると
行動が積極的になるパターン
A. 好子が出現する場合
B. 嫌子が消失する場合
行動が消極的になるパターン
C. 嫌子が出現する場合
D. 好子が消失する場合

ただし、皆さんもわかりきっているように、いくら好子でも無限に与えられたら人間は”飽きる”。ラブライブ好きな人間に24時間ラブライブの曲を聞かせたらどうだろうか。初めは嬉々としているだろうがだんだんと嫌に……なってこなさそうだな、例が悪かった。
要はドリア好きの人間でも無限にドリアは食べられないというわけだ。

そのように、ある刺激への接触が十分である状態を飽和(ドリアに飽きた状態)、と言い、逆に刺激への接触が不十分で、制限されている状態のことを遮断(ドリアを追い求めている状態)という。
そして、この2つをうまくつかい、好子の効力を操作することを「確立操作」と呼ぶ。

さて、説明パートが長かったが、いよいよこれらを用いた恋愛テクについて説明していきたい。どうですか。わりと信憑性がありそうな気がしてきただろう。

さて、とりあえず仮想事例でも考えてみよう。
田中達也くん(14)が田中れいなちゃん(15)のことを好きだとしよう。名前に他意はない。
達也くんはいわゆるイケメンだ。顔はそうだな……松坂桃李似のサッカー少年だ。
………ここでこの事例設定がそもそも破綻していることに賢い方はお気づきだろう。

イケメンということはそれだけで、好子として働きうるのだ。イケメンというだけで女の子は「お近づきになりたい」という行動が強化される。イケメンが為すことはどんなことでも嫌子ではなく好子として働きうる。イケメンと会えないというだけで好子が遮断され、「会いたい…」という思いが募る…。
イケメンには勝てない。イケメンは正義なのだ。イケメンはその存在そのものの力によって確立操作を行えるのだ。僕らがどんなに一生懸命刺激を統制し、ケースフォーミュレーションし、確立操作をする努力を行っても、存在そのものが好子として機能するイケメンには勝てない。
……この世は本当にクソだということがご理解いただけた方が大勢いるだろう。

というわけで田中達也くんはフツメンであることとする。異論はないはずだ。

さて、田中達也くんはまず自分自身をれいなちゃんにとって好子であるように機能しなければならない。しかし、飽和にも注意しなければならない。
飽和することは、れいなちゃんが達也くんのことを嫌がるかも知れないし、嫌がらないまでも「恋愛関係」としては発展せずに友人に落ち着いてしまうかもしれない。

そのためには最低限身なりを整えたうえで、田中れいなちゃんと接触し、「田中達也くんといると楽しいし、いいことがある」と認知して好子として学習してもらう必要がある。「そこが一番難しいんやんけ、死ね!」という言葉が聞こえてきそうだが、あんまり強い言葉を使うと…弱く見えるぞ。

まぁ、その好子になるかどうかを見分けるためにも認知行動理論が使えるだろう。たとえば、れいなちゃんが落とした消しゴムを拾ってあげて「どうぞ!」と言った後に、「ありがとう(笑)」という反応になるか「あ、ありがとう…(消しゴムをハンカチで拭く)」という反応になるか、しっかりと見極める必要がある。これはS(刺激)に対して、O(人間)がR(どう反応するか)という機能分析という手法でよく使われる。
言うまでもないことだが、もし消しゴムを拾って後者のような反応になった場合……残念ながら達也くんはその時点ではれいなちゃんにとって嫌子でしかない、諦めることも視野に入れるべきだろう…

逆に、自分のその行動が、好子としてはたらきうると判断できたら、適度なタイミングでれいなちゃんに親切にしてあげよう。すると田中くんの親切という刺激が嬉しい刺激に代わり、自然に田中くん自身を好子として認識し……そして……二人は幸せなキスをして終了する。

話が少し飛んでしまった。さて、単純に好子として機能するようになればよいかといえば、それだけではいけない。先ほども言ったように、飽和しては結果的に達也くんは避けられてしまうようになるかもしれない。ストーカーになってはいけない。

つまり、遮断と飽和の組み合わせをうまく取り入れる必要がある。たとえば、毎日していたラインを急にぱったり止める。デートも、(もう少し一緒にいても…!)というタイミングで終える。デートが終わって、ちょうど(もっと一緒にいたかったな…)と女の子が思いそうなタイミングで連絡を入れる。
このように確立操作することで、「達也くん」という好子の効力を操作し、れいなちゃんの認知や行動をコントロールすることができる(かもしれない)。

また、物理的な面でもそうだ。隣で歩く時も微妙に距離を取ったり、逆に無茶苦茶近くにいるようにしたり、などだ。特に人間は距離感がわからなくなると、(こいつ私のこと好きなん?好きじゃないん?)とどっちかわからなくなる。そのため、その人のことを考えることが必然的に多くなってくるわけだ。
特に思考の反すう傾向が高い人は、遮断されている期間にどんどん強化されていくだろう。(今頃達也君どうしてるのかな…)←こうなればもはや勝ちです。

以上、主に確立操作に基づいて恋愛テクを考えてみた。ただ、今回は行動理論の援用は多かったものの、認知の面にはあまり触れられていない。認知行動はセットで扱って初めて最大効力を発揮する。もし興味があれば皆様勉強していただきたい。認知は行動であり、行動は認知なのだ。

最後に一つだけ。イケメンを許すな。

#エッセイ #cakesコンテスト


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