ポプテピピックから見る〈狂気〉の人類学

お久しぶりです。中々書けずに久しぶりぶりざえもんな更新になってしまった。

さて、皆様は「ポプテピピック」という漫画、またはアニメをご存じだろうか。

http://www.nicozon.net/watch/1514454446
ポプテピピック #1 「出会い」

URLを貼ったが見てほしいか、見てほしくないかと言われるとなんともいえないところである。見たところで得られるものがないかもしれない。

というようなアニメなのだ。あえて感想を言うとすれば混沌や狂気が詰まっているアニメだ、といえるのではないだろうか。

視聴した方々はご存知であるだろうが、まさしくほとんどのシーンや場面の意味が分からない。もちろん、純粋に面白いシーンは確かにある。しかし、やっぱり、何が面白くてこのアニメを見ているのだろうか……と思う自分がいる。

一方で、やはり食い入るように見てしまう自分もいることに気づく。意味が分からないのに面白いと思う自分がいるのだ。

ニコニコ動画でも基本的に話が更新されればランキングトップを取る。そのくらい人気となっている。

なぜ人気なのだろうか……自分自身の気持ちにも整理がつかない部分がある。

前置きが長くなってしまったが、今回は「ポプテピピックが流行る」ということについて見ていきたい。

タイトルを〈狂気〉の人類学と題したのも、これは心理学や社会心理学を超えた領域でなければうまく捉えられないと思ったからだ。
ちなみに筆者は人類学者ではないので人類学についてぶっちゃけよくわかっていない。人類学者に怒られるかもしれないが、正直なところ人類学って響きがかっこよいのでタイトルに入れてしまったところもある。

さて、この記事を読んでいただいている博学な方々の中には、ミシェル・フーコーの『狂気の歴史』という本をご存知の方もいるだろう。僕?もちろん読んでいない。

しかし大体の内容は拾い読みで把握している。少し内容が煩雑になるのでざっくばらんにまとめるとフーコーが言いたかったことは

社会「狂人や!やべえ!」←フーコー「いやお前らが理性的になってるからやで。理性偏重になるから、狂人ってレッテルを貼って差別せざるを得ないんやで( ͡° ͜ʖ ͡° )」

ということだ。さっぱりわからんという方のために改めて説明すると、社会は「理性こそ正義!狂人は理性によってくるべき!」という考え方をしているけれど、そもそも理性偏重になりすぎてるのも問題なんだ、もっと狂気とのバランスを取ろうよ。みんな自分の中に狂気を持っているんだから隠さずに認めていこうよということを言っていたのだ。

先ほども述べたようにポプテピピックは「狂気のアニメ」と個人的には感じている。その〈狂気〉が面白さを、人気を生んでいるのではないか。

現代社会はフーコーの言うように、理性・理屈を正義とする傾向は依然非常に高い。価値観の多様性を認めようという潮流はあるものの、やはり根幹には〈狂気〉〈よくわからないもの(混沌)〉を排斥していこうという流れは加速しているように思う。それは、昨今の理系重視やエビデンスベイスドな学問の流れを見てもわかるのではないだろうか。

しかし、生物・社会・心理すべてを見ても人類は常にバランスを持って保ってきたし、絶対に必要なことなのだ。それは中国の陰陽図やマンダラを見てもわかることであり、多少の揺れは常にあるものの、一つの絶対心理としての恒常性、バランスは必要不可欠であるということは歴史・文化が説明している。

今日のように、理性偏重でバランスが崩れた結果生まれた時代の寵児……それが「ポプテピピック」なのではないか……

ここで言いたいことはポプテピピックという作品が生まれたことが悪いということでは決してない。僕自身あのアニメは大好きだし、大好物だ。そしてこの記事はそんなアニメが生まれた要因の一考察にしか過ぎない。

ただ、ポプテピピックに魅力を感じる僕たちの文化・心理について一度立ち止まって一考する必要があるのではないか。どうしてもそう思わずをいられない。

かつてフーコーが言ったように、僕たちは自分たちの〈狂気〉の部分を認めて、狂人と共存できる道について模索する必要がある!ポプテピピックは大切なことを教えてくれているのかもしれない……。

…………なんで僕はあんなクソアニメだけでこんなに真面目に語ってしまったのだろうか……。しかし非常に楽しい……それは否定できない。

このようにある種の〈狂気〉に身を任せて文章を書くということはまた非常に楽しいものだ。皆様も、文字面に惑わされず自分の中の〈狂気〉を認め〈狂気〉に身を任せることをやってみるときっと楽しいだろう。

ただし、路上で全裸になるような、反社会的なことはやめておくに越したことはない、ということだけ締めの言葉としてお送りしたい。〈狂気〉を曝すことと〈凶器〉を晒すことを履き違えてはいけない。

#エッセイ #cakesコンテスト

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