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1月9日

ネットカフェで一夜を過ごした。
気持ちが乗らず、なかなか個室から出ることが出来なかった。今日の宿のチェックイン時間までこのまま寝ていようかとさえ思った。時間と共に上がり続ける値段。このままではまずいと、英語の先生をしてくれているミーさんにLINEを送った。

 「私は今、岡山県のネットカフェにいるんだけど、旅の疲れからか動きたくない。暇だと、無意味なことばかり考えてしまう。私はなぜ生きているのかと。Lol」

    「まじ?」

 「暇な時間が脳にネガティブな影響を与えている。そして気づくと横になっている。今はラインしているから起きているけど。」

 「朝飯食った?とりあえず、歩いて頭をリラックスさせた方がいいかもよ。ウォーキングは考えをポジティブな方へ連れてってくれるから。」

(ミーさん、僕のクソみたいな相談に付き合わせてしまいすいませんでした。)

と、ミーさんの励ましにより何とかネットカフェを出ることができ、その辺をただブラブラと歩いた。ベンチがあったので横になり太陽の光をいっぱい浴びた。すると頭と体が徐々にほぐれていく、楽になるのを感じた。

ここでじっとしていても仕方ないので、目的地を決めることにした。撮り溜めたフィルムを現像することにし、写真屋さんへ。商店街にある写真屋さん。5代続く、100年以上の歴史があるお店。店内には先代の方と、5代目の二人。(ナルトの影響で、何代目と書くことへの違和感が凄い)現像待ちの時間、先代の方と、フィルムを買いに来たお客さんに写真の機材やフィルムを学ぶ。本当に優しい方でした。仕事中にも関わらず教えていただきありがとうございました。

出来上がった写真を確認。ダメダメですw失敗だらけ。三分の一は失敗しているかも。いい写真もあったけど、いまいち自信が持てず。
たまたま視界に入った一枚のチラシ。近くで写真展が開かれているとのことだったので、勉強がてら行ってみることにした。
青春写真教室卒業生写真展 「まだ青い」
自分達の作品展に「まだ青い」とつけるところに惹かれた。自分達に厳しいなと思った。Googleマップでないと、たどりつけないだろうなという場所にあった。当初学生さんの写真展かと思っていたが、社会人の方達中心でびっくり。作品はどれもよくて、特に「KUSUKUSU」という写真集には、良いを超え、欲しいとさえ思った。好きな作風。日常のクスクスとした瞬間を撮り溜め、それを一冊にまとめたもの。一言文も面白さに程よい味付けをしていて、なぜか悔しさすら覚えた。最高でした。自分もこんな写真が撮れたらと思います。そのことを、撮影した本人に伝えた。この展示会で作品のことをそこまで語る方も珍しいので嬉しいかったとの事。熱意が伝わってよかった。良いものは、良い。その態度で。

その場をあとにした後、またまた近くで、別の写真展がやっていたので行ってみる。そこは打って変わって、年配の方中心の写真展。作品をじっと見ているとスタッフの女性に話かけてくれた。写真について話していると、お互い好きな写真が似ている事では梨がかなり盛り上がる。おすすめの写真家や、カメラのことを教えてくれた。帰り際、「20人以上いるスタッフの中こうして出会うの凄くないでか?」
と言うと、
「絶対また会うね。どこかで会うよ。絶対。」
と言ってくれた。僕もそう思う、多分会うのだと思う。この一人旅で
「またきてね」「またおいでよ」「行ってらっしゃい」
と言うフレーズを何度か体験した。どれも再会を前提とした言葉。何かある。繋がっている。ネットカフェのあの状態はそういえばどこへ?心の奥にあったかいモノを感じ、宿へ向かう。

宿に着いた。おしゃれで和風。入口には鳥居があるのが特徴。敷地には刺繍屋さんや、アパレル系、タトゥーなど様々な職種が存在している。受付の方から宿の説明を受けた後、夜飯を食べに外へ出た。道路でかけっこをする親子がいた。脳内で藤井風の「帰ろう」が流れ始める。電灯の明かりが温かい。浸っているところに、カレーの良い匂いが流れ込む。そうなると、入るしかないのである。
そこは「ツドイバ」というシェアショップで日替わりでお店が変わるのだそう。今日は学生二人が主催しているカフェで、なんと今日が初出店。企画した学生の方がこのカフェのコンセプトを説明してくれた。
「些細なことに感動したり、ちょっと立ち止まって考えたり。そんな、自分を主役にできる時間をお届けしたいと思ってカフェを開きました。」
「嫌だなと思ったら怒っていい。よく分からなかったら共感しなくていい。空気を読んだ当たり障りのない言葉じゃなくて、自分の気持ちをまっすぐ乗せた言葉を話したい。」
「私を迎えにいく時間」
一枚の紙を渡される。そこには問いが書かれている。自分でまず考えていたけど、自然と隣の人との会話の種になり話が広がっていく。その学生二人の活動に感動。凄い。僕の隣にいた、26歳男性。2年間引きこもっていたと言っていた。僕たちこれからですね。固い握手を何度も交わした。カレー美味しかったです。
宿に戻り、シャワーを済ませ、はを磨き寝る体制を整える。受付にいた人が戻ってきた。つい話こむ。話こむ。話し込んだら面白すぎる方だった。自由な方。凄い。凄いですと本人に対し伝えていた。すいません。
「またおいでよ」
あ、まただ。流れは続く。どこまでも。今日はもう寝ます。

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