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#6 火星の人面岩

「愛ってなんだろうね」

「うーん、なんだろ。」

「loveって愛じゃん?」

「うん。たしかに。」

「でもフォーリンラブって”恋に落ちる”じゃん?」

「言われてみれば…。愛に落ちるとは言わないね」

「落ちるって主体が私で視てるとして、恋が可視化できるとして客体だとしたら、なんというか、ものすごい受動的なのよね。偶発的な出会いっていうか。」

「うーん、街行く人に恋することはできるけど、愛することはできない、みたいな?」

「まぁ、そんな感じかも。愛に持っていくには主体が能動的でないと生まれないものなんだと思うの。太宰なんかは「愛は最高の奉仕だ。
微塵も自分の満足を思ってはいけない。」っていうのよね。知らず知らずに与えたい気持ちが大きくてまたその与えることに幸せを感じるわけよ」

「奉仕行動に幸せが付随する愛ねぇ〜」

「そうそう。例えばロマンとかもさぁ、人じゃない、そのものや世界に対する愛が詰まってると思うのよねぇ〜。火星の人面岩って知ってる??」

「火星の人面岩??」

「そうそう。そのままなんだけど、火星の岩に人面型の岩が観測されたって話。英語でFace on Mars」

「そのままだね」

「ほんとに!そのままなの!結局は雲がある形に見えたり心霊写真の顔型みたいな錯覚みたいなものかもしれないけどさ、なんかそういうのがあるって信じたいじゃん?ロマン感じるじゃん?そういったロマンを感じた世界って、やっぱり近寄りたくなると思うのよね。自分から。一直線に。その世界に浸かりたくなる、無駄かも見えるかもしれない行動にさえ愛として昇華され満足しちゃうの。」

「そっか。ロマンかぁ〜。ロマン飛行したいね。」

「そうそう。しちゃお!ロマン飛行!」




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