夢日記

水の上で父と母が結婚式をした。川のせせらぎが聞こえるような小さなほとりで。微かに透明な水が流れるところに、水面上に会場をつくり結婚式を開くことになった。前日からいろんな人に陽気に知らせ豪快に声をかけあう私たち。見知らぬ人も笑顔でみんなで祝福するようにわらい、語っていた。
当日は私が今までに出会った数々の友人たち。その前にもたくさんの人に「結婚するんだってね!」と噂を聞きつけた人たちが私の前にそれはそれは優しい笑顔であらわれた。会場に入る前にそんな今まで出会ってきた人たちと顔をあわせ、手にはかかえきれない贈り物でいっぱいになっていた。私が今まで1番親友だと思えた人が照れくさそうにすばやく顔を見せないように何かを渡してきた。そして会場に入る時「今日〇〇スカートなんだろ?そんなの俺、絶対ドキドキしすぎて無理だわ」みたいなことを言っていたため幾分か前にあった時よりモノを言うようになった親友に「そんなに言われたら照れるわ」なんてことを言い返した。昔はもっと、そそっかしくてそんなにいう人じゃなかったのに。なにかが親友をほんの少しだけど成長させたのだろうと、会わない間にどんな出会いがあったのかな、なんて想像したりした。どうやら今私はズボンを着ていて後ほどドレスに着替えるらしい。
そして母はその水上の結婚式場で、新しい命を生んだ。「どうやら新しい命が生まれるらしい」というのは聞いていたがまさか今日こうやってみんな立ち会うことになるとは思わなかった。生みきった母は顔や身体は赤くしぼんだような疲れを伴った見た目をしているけど、顔の、表情が、浮かべている顔があまりにも清々しい。清々しかった。やさしさとほほえみと、なんだろう、きっと私はまだ出くわしたことがない感情だ。とにかくやさしげに包まれた希望あふれる感情を有していたようにみえる。新しく生まれた命は小さかった。もっとしわくちゃでかわいげのないイメージを思い続けていた私にとって少しおどろきだった。ちいさい。そしてかわいい。みんなが母を中心としてたくさんの会話を繰り広げていた。「あぁ、この瞬間をおさめてなくっちゃ」とスマホのカメラで動画を撮ろうとする私。母と、そして新しい命を撮ろうとする私。いつもならムービーを撮る時は会話に混ざりながら、自分も話しながら撮れるはずなのに。ただただその小さな画面に映された小さな命、そして産んだことは絶対嬉しいと思っている母。そんな光景を小さな画面に残そうとしていることに、少しこれはなにもおさめずにただ今のこの時を楽しめばいいのかな、なんて思いつつ。画面に映る新しい命が私に言葉をなくさせた。ただ、ただ、何も発することができずたたずみ、私を産む時も母はきっとこうだったんじゃないかと。ただ、ただ、何も言葉がでず、あらわすのことのできない情動、感動のようなものに立ち尽くし続けた。小さな命に目を奪われ、思いばかりがあふれ何も話すことのできない私がそこにいた。
そこで目は覚め私はなんだかドキドキしている。また少し家族と向き合えそうだ。愛と、向き合えそうだ。そんな感動を胸にかかえている。

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