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本物に触れる時間が私にとっての非日常

「"旅"は非日常の時間」
POOLOの講義ではよくそんな言葉を聞く。

言わんとすることは分かるけれど、でも私にはまだ「旅」と「旅行」の違いが捉えられていない。私がどこかに行くことで経験してきているのは「旅行」でしかなくて。未だに自分中心で物事を考えてばかりで他者のことなんか1ミリも考えられていない。贈与の概念なんてこれっぽっちもない。

そこで考えてみた、自分にとっての非日常。「旅」を非日常の時間として考えるとするならば私にとっての非日常は舞台を観に行くことである。(思考の飛躍がすぎる)

舞台を観に行く
=劇場に出向いて作品を観る
=本物に触れられる
=ただ仕事をしたり働くだけでは味わえないこと
=非日常

ということを自分の中で仮定して今日は書いてみる。

 学生時代、演劇のサークルに入っていたことから勉強という名のもと舞台を観に行く機会が増えた。それまで全く踏み入れたことのなかった「劇場」という場所は、20歳を超えてから身近な場所となった。

私が舞台を観に行く基準は、そんなに明確に決まっているわけではない。気になったタイトルだったり役者さんだったりで決めることが多い。それこそ、前回の記事で書いた『千と千尋の神隠し』についてはその作品の持つ話題性とかネームバリューの大きさでとりあえずチケットを取ってみるか、で観劇に行っただけである。争奪戦覚悟のうえで申し込んだからまさか当たるとは思わなくて、でもすごく良い機会だった。ミュージカルでもストレートプレイでも朗読劇でもジャンルを問わず雑食だけど、でも2.5は観に行った事ないなぁ。ちなみに最近はお笑いを観に行くことにハマっている。芸術としての意味合いは違うかもしれないけれど、本物に触れるという意味としては同じ位置にいると思っている。(お笑いにハマった話は次のnoteで書きたい)

 コロナ禍でエンターテインメントの世界は一時的に止まってしまった。そこからすっかりオンライン配信も台頭してきた。その中で泣く泣く現地での観劇を諦め配信で観る作品もあった。現地と配信とそれぞれを観劇して分かったこと、舞台は劇場に観に行った方が断然面白い。(※一個人の意見なので悪しからず)

なぜなのかと考えた時に、それは劇場というある種密室の同じ空間にいるからこその生の音楽に役者の動き、衣装の色彩、場面の転換、特効、、、画面越しでも分かりはするけれどその場にいて同じ空気を吸えることや感じられることが特別というか非日常というかその感覚を味わいたいからなのだと考える。(と言っても観劇ってちょっとハードルが高いイメージあるよなぁ🤔)

 話は大学生の時にさかのぼる。まだ全然コロナ禍でも何でもなかった時、イギリスに留学をした。首都ロンドンにはウェストエンドと呼ばれる地区(ニューヨークでいうブロードウェイみたいな)がありそこにはたくさんの劇場があった。当時の私にとってワクワクが詰まった場所だった。有名どころを押さえておこうという安直な考えのもと、たくさんと言うにはおこがましいけれど多くの作品を観劇する機会を作り劇場に出向いた。

観劇することのできた作品どれもがすごかったけれど、その中で1番の衝撃を受けた作品が『The Phantom of the Opera』、オペラ座の怪人である。ちなみに、日本でこの作品を観たことはない。ロンドンで初めて観た。けれどすごく全てが綺麗で壮大で豪華だった。劇場に入って客席についた瞬間から圧倒された。没入感というものかもしれない。演出の一環で銃声が聞こえる場面があって演出だと分かっていても。あまりのリアルさに吃驚したのも覚えている。

Her Majesty's Theatre

劇場に入った時、客席の頭上にはシャンデリアが飾られていた。そして、舞台が始まってからしばらくしてそれが舞台に向かって真っすぐに落ちてくる。真っすぐに落ちて舞台にぶつかった瞬間場内が暗転してテーマ曲が流れる。開始5分10分の本当に最初のくだりだけど、それだけでもう私はオペラ座の虜になった。画面越しで観ていたとしてもちょろいオタクである私はこの世界観の虜になっていたのかもしれない。けれど劇場に出向いて観劇したからこそその世界感に没入することができた。より作品に入り込むことができてその作品が好きになったのだと思う。

 日常、という言葉にはふだんという意味があって”非”という言葉がつくことにより、反対の意味つまりふだんのものではないということになる。そもそもふだんが何だよって感じだけど今の私にとってのふだんは家にいることやシフトに合わせて派遣の仕事に行くことだ。それが舞台を観に行くということになれば、ちょっといつもよりいい服を着てメイクや髪形もいつもより頑張っちゃったりして気分をあげて出かけることができる。非日常という言葉にはそんな魔法があるのかもしれない(それはさすがに夢見過ぎ)。

 まとめると、私は舞台を観に行くことが好きでそれは私にとって非日常に飛び込む時間であるということ。今年は何本舞台を観に行くことができるかしら。いつかブロードウェイにも行きたいな。

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