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11 新装開店!Ristorante della Musica

 私たち音楽の教員をシェフと考えると、年間指導計画は大きなメニュー表です。さらに指導要領と教科書=食材、生徒=シェフと共に食事するお客様・仲間と考えてみると、年間指導計画を立てることは、年に一度の新装開店の準備です。なかでも、指導事項と教科書掲載曲を選び組み合わせて、どんな料理(題材)へと仕上げるか?はシェフの腕の見せ所です。逆に、どんなに美味しい料理でも、(生徒の実態を顧みない)シェフの独りよがりや、(題材の系統性を無視した)デザートの後の肉料理ではいけません。また、下ごしらえとして、じっくりと食材を煮込むこと(教材研究)も必要です。
そして、料理を提供する際は、何よりお客様の反応が気になります。生徒が授業を楽しんでいるかだけでなく、血となり肉となっているか、つまり指導事項を身につけているかどうかをリサーチして、調理方法や味付けの見直し(評価に基づく授業改善)をする必要があります。

これは、現行の高等学校学習指導要領が実施される年、某音楽教育雑誌に寄せた原稿の序文です。「年間指導計画」が特集のテーマで、結果的にこの部分はボツにしましたが、常々、料理と授業は似ていると考えています。

どんなに一流のシェフでも、お客さんがいなければシェフとしての仕事はできないように、どんなに優れた教師でも、子どもたちがいなければ授業は成り立ちません。また、時として子どもたちから「△△先生の授業は分かりやすい」とか「○○先生の授業は面白い!」とか、いわゆる「口コミ」的な声を聞くこともあります。

ボツにはしたものの、「教師=シェフ」「授業=料理」という考え方は学びづくりのベースとして持っていたいものだと改めて感じています。

ちなみに、掲載時のタイトルは「新装開店!Ristorante della Musica」ではなく、「座右の年間指導計画とするために」としました。


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