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時代小説のアンソロジーに載りました

毎年、各小説誌に掲載された時代小説の短編の中から「時代小説ザ・ベスト」というアンソロジーが編纂されるのですが、その2021年版に私の「ヤマトフ」を選んで頂けました。小説新潮の2020年4月号に載った作品です。

幕末に殺傷事件を起こしてロシアに逃げた橘耕斎(別名・増田耕斎)が主人公。サンクトペテルブルグでロシア外務省などに勤めて、幕府や明治政府の外交使節を、何組も迎えた人物です。日本で起こした事件をはばかって、福沢諭吉がロシアに行った際には、影のもてなしに徹したのですが、諭吉が「この気配りは、ぜったいに日本人がいる」と見抜いたそうです。岩倉使節団の時には、時代が変わったこともあって姿を表し、岩倉具視らの説得で日本に帰国しました。

もう何年も前に、懇意にしている編集者から「橘耕斎って、植松さん向きじゃない?」と勧められて、でも1冊分として書ける自信がなかったので、何年も放置していた題材でした。去年、小説新潮の編集部から原稿依頼を頂いた時に、短編ならと思い立って書いたのが「ヤマトフ」です。

「時代小説ザ・ベスト2021」は6月25日、集英社文庫から発売。924円。夏らしい爽やかなカバーになりました。たまたま私の名前が、表紙に並んだ作家の名前の真ん中に来たのが、ちょっと嬉しかったり。それに帯の言葉「旬の作家たちによる歴史・時代小説の傑作12編!」て中に入れてもらえたのは、もっと嬉しい。

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