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クレプト治療記その2

ご挨拶

はじめまして。コッシーと申します。
現在30歳で、妻子持ち、無職で窃盗症(クレプトマニア)の男です。

紆余曲折あって、現在人生のどん底にいると感じていますが、前向きに生きていくべく、noteで日々の思いや行動を記録していこうと思います。

どなたかの心の励みになれば幸いです。


久しぶりのクリニック

昨日、久しぶりにクリニックに行ってきました。
引越しやら子供の転園やらで、前回の通院から2ヶ月も間が空いてしまいましたので、今後は定期的に通院しなければと思っております。

前の記事ではあまり触れていませんでしたが、私は万引きを繰り返してしまう(依存してしまう)病気を抱えております。

診断名としては「病的窃盗(びょうてきせっとう)」と言い、「窃盗症」や「クレプトマニア」と言われたりもします。

クレプトマニアとは、英語の「Klepto(クレプト)=窃盗欲のある人」と「Mania(マニア)=熱狂」を繋げた言葉のようです。

今まで、自分の窃盗癖が病気であると認識していませんでしたが、2度、警察のお世話になったことで、これは異常なんだと、ようやく思えた次第です。

この病気と向き合うべく、私は依存症専門のクリニックに通っています。

最初の万引き

私が初めて万引きに手を出してしまったのは、2021年の夏でした。
今からちょうど2年前ごろです。

土曜日の夕方、散歩がてら当時2歳の子供と一緒に外出した時に、ふらっとコンビニに立ち寄り、そこで、まさかの子供の目の前で犯行に及んでしまったのです。

ゼリーとジュースでした。

お金に困っていたわけでもなく、ましてや、会社の忘年会の景品で貰ったクオカードを持っていたのにも関わらず、です。

信じられないかもしれませんが、なぜあの時犯行に及んだのか、正直記憶が定かではないんです。

犯行の引き金になったかどうかは分かりませんが、散歩に出かける前、妻と大喧嘩をしたことは覚えています。

コンビニにも、万引きをするつもりで入店したわけではないのに、気づいたら手が伸びていました・・・。

持っていたリュックにしまったのですが、なぜか緊張せずにしまうことができて、しまった後に急に胸がドキドキし始めたのを覚えています。

店を出たところで、すぐに店長さんに声を掛けられました。

頭が真っ白になりました。
終わった、、、と思いました。

ですが、その場で妻がコンビニ側に謝罪の上弁済してくれたことと、初犯であったことも踏まえ、警察署で取り調べは受けましたが、なんとコンビニ側が被害届を出さずに、厳重注意で留めて頂けたのです。

なんて情けないんだ、、、そう思いました。

妻と子供には、大変辛い思いをさせてしまいました。
子供の目の前でそういうことをするなんて、、、妻はそこが信じられないと嘆いていました。

後日、コンビニに再度謝罪に伺い、妻には、今後このようなことは2度としないと誓いました。

そう誓ったにも関わらず、、、もう一度、いや数えきれないほどの万引きをしてしまうことになります。

大きな事件

それからは、万引きをすることなく1年以上が過ぎます。

ですが昨年末、私たち家族の中で、忘れることのできない事件が起きます。

私が自殺を図りました。

詳しくは別の機会に説明しようと思いますが、仕事や家庭のストレスで精神的な限界を迎え、心の逃げ場がなくなってしまい、そうするに至ってしまいました。

平日の早朝に、家から20分ほど離れた公園で、市販の風邪薬をオーバードーズして自殺を図りました。

ですが、結果的に助かりました。
その日たまたま妻が早起きして、私の書いた遺書に気づき、すぐに警察に捜索依頼をしたとのことでした。
警察は、公園のベンチで倒れている私を発見し、すぐに救急車を手配してくれたお陰で一命を取り留めました。

また家族に迷惑を掛けてしまった、どうしようもない人間だ、消えてなくなりたい、、、そう思いながら病院のベッドで寝ていた私に、なんと妻が「私が働くから、あなたは少し休んでいて」と言ってくれたんです。

感謝と申し訳なさでいっぱいでした。
なぜこんな私に手を差し伸べてくれるのだろう、と。

そうして今年に入ってから、私は専業主夫になりました。

妻は妊娠を機に退職して以降、4年ほど仕事から遠ざかっていたのですが、何とか正社員として採用が決まりました。

妻が働いてくれて、専業主夫をやらせて貰えて、こんな恵まれた環境、文句ないでしょ、と誰もが思われると思います。

私もそう思います。
実際、仕事のストレスがなくなったので、以前より気持ちが晴れやかになったのは間違いありません。

ですが、私は変な方向に考えてしまうんですね。

せっかく妻が作ってくれた休養期間にもかかわらず、「家族のために何かしなきゃ!自分の存在価値を作らなきゃ!」そう強く思っていました。

自殺を図って消えようとしていた私ですから、妻に対して申し訳ないという思いが強く強くあって、「この家にいて良いんだ、必要な存在なんだ」ということを示したいと常に考えていました。

ですので、必要以上に掃除をしましたし、ご飯は毎日メニューを変え、必ず4品以上作り、幼稚園から帰ってきた子供を毎日どこかしら遊びに連れて行っていました。

そうやって、自分がいることの付加価値を作らなきゃ、と焦っていました。

そうやって、自分の存在価値ばかり考えていた時に、ふと思ってしまったんです。

妻が稼いでくれたお金に手を付けずに(=万引きして)美味しいものを家族に提供できたら、最高じゃん・・・

繰り返してしまう万引き

こうして私は、再び万引きをしてしまうことになります。

情けない話ですが、2年前にあれだけ辛い思いをしたにもかかわらず、その時の感情がすっぽり抜けていました。

それよりも、目の前にいる家族の笑顔をみたい、という自分勝手な考えが勝ってしまったんです。

気づけば、近所のスーパーで、お菓子をリュックに入れていました。

お金を払って買うつもりで入店したのですが、お菓子1つだけレジに通さず店を後にしました。
ドキドキして帰ったのを覚えています。

私が盗んで持って帰ったお菓子を子供が喜んで食べていました。

この文章を書いているだけでも気持ち悪くなりますが、よく子供にそんなことできたなと思います。

ですがその時は、嬉しそうな子供の顔に幸福感を覚えていました。

そうやって一度幸福感を味わってしまった私は、歯止めが利かなくなっていました。

その日を境に、万引きを繰り返すようになります。

「やってはいけないこと」という感覚が、日に日に麻痺して薄れていきました。

もし見つかってしまったら家族がどれだけ悲しむか、そんな最悪の事態を全く想像できていませんでした。

そうして万引きを繰り返していくうちに、日用品や書籍などにも手を出すようになりました。

最終的には、炊飯器や空気清浄機といった電化製品を万引きするまでに至ります。

信じられませんよね。

電化製品は、もちろんカバンやリュックには入りませんので、ケースに入った状態のまま手に持って、何食わぬ顔で店を出ていました。

お店の方も、まさかこんな大きなものを万引きしているとは思ってもいなかったと思います。

ですが、防犯カメラには、その大胆な犯行がばっちり映っているわけです。

そうやって3ヶ月ほど過ぎた火曜日の朝、警察が捜査令状をもって家宅捜索にやってきました。

令状に書かれていた窃盗物は、万引きした電化製品のうちの一つでしたが、家宅捜索をするうちに、あれもこれも余罪が出てきた、という形になります。

そうして今に至ります。

長々と書いてしまいましたが、私は一度犯した過ちを再び起こしてしまいました。

しかも、1件や2件だけでなく複数件あり、お菓子やジュースといったものだけでなく、大きくて高額な電化製品まで、です。

情けない、、だけでは言い表せない、もう、人間としてどうなの?というレベルです。

今これを書いていて思いますが、よくこの状況で、妻はまだ私と一緒にいるという決断をしてくれたな、、、と。

有難いという言葉では足りません、、、

一生をかけて彼女への感謝と、信頼を取り戻すための行動をしていかなければならないと思っています。

妻と子供と一緒に暮らせる幸せを感じながら、自分の犯した過ちと向き合い続けなければいけません。

そのためにも、クリニックに行く決断をしました。

窃盗症の治療法

私が通うクリニックでは、週2回ミーティングというものが開催されていて、窃盗癖のある(あった)患者さん達が一つの会議室に集まり、各々が窃盗の体験談や、今の心境、今後どうしていきたいか等、思い思いに語る機会が設けられています。

ミーティングでは、クリニックに所属している精神保健福祉士1名と、心理士1名が進行役として参加しており、進行役に指名された方から順番に喋っていくのですが、その際、「喋りっぱなし・聞きっぱなし」がルールとなっていて、聞き手が語り手に喋りかけたり、大きくリアクションを取るのはNGとなっています。

また、ミーティング後の患者同士の接触も原則NGです。
ミーティング内で話した内容は、その場限りで消化してください、という方針だからです。

自分の思いの丈を正直に話し、他の患者さんの様々なお話を真摯に聞くだけです。

その中で、自分の犯してしまった罪を改めて認識できたり、そもそもどうして窃盗をしてしまったのか、その原因を見つめなおすことができたり、魔が差してしまったときにどう対処すれば良いのかを学べたり、多くの気づきを得ることができるようです。

昨日のミーティングでも、色々な気づきを得ることができました。

口外NGなので、詳しい内容はお伝えできませんが、窃盗するに至ってしまう経緯は、やはり様々あるんだなと思いました。

色んなケーススタディを知ることで、自分がまた「やりたい」と思ってしまったときに、その感情を冷静に俯瞰してみることができるかもしれないと感じました。

今後も定期的に通います。

次回は再来週です。

その時、また思ったことをこちらに書こうと思います。

ありがとうございました。

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