Tadashi Ohkubo

ライフワークは映画研究。How to read film?映像をどう読むかを考えてい…

Tadashi Ohkubo

ライフワークは映画研究。How to read film?映像をどう読むかを考えています。現在、あるメンタルクリニックで、患者さん対象の映画会(デイケア・プログラム)の企画と作品解説をしています。

最近の記事

『英国王のスピーチ』 メンタルクリニックの映画館

『英国王のスピーチ』 (トム・フーパ―監督、2010年) 【前口上】  今日の映画は実話に基づいたドラマです。イギリスの前女王エリザベス2世のお父さん、ジョージ6世王の物語なんですが、実はジョージ6世王は、幼い頃から吃音症コンプレックスに悩まされていた。どもりですね。  時あたかも第二次世界大戦が勃発するという時代で、国王はラジオ放送を通じて、国民の心を一つにするために国民に語りかけるという使命を負わされています。そのために彼は吃音症を克服しなければならないんですが、

    • 『ミツバチのささやき』 メンタルクリニックの映画館

      『ミツバチのささやき』 (ビクトル・エリセ監督、1973年) 【前口上】  今日は、1973年のスペイン映画、ビクトル・エリセ監督の『ミツバチのささやき』をご覧いただきます。  日本で公開されたのは、初公開から10年以上遅れて1985年だったのですが、その時、現実と幻想がないまぜになったようなみずみずしい映像とともに、長く不毛だったスペイン映画に新しい世代の映画が誕生していたんだ、とかなり話題になりました。  幼い少女を主人公にしていますが、一度観るとちょっと忘れがたい

      • 『野菊の如き君なりき』 メンタルクリニックの映画館

        『野菊の如き君なりき』 (木下恵介監督、1955年) 【前口上】  今日は、木下恵介監督の『野菊の如き君なりき』(1955)を上映します。  この会では、同じ木下恵介の『二十四の瞳』を取り上げたことがありますが、今日の作品は、『二十四の瞳』の翌年の製作です。『二十四の瞳』は、日本の庶民が戦争に否応なくのみ込まれてゆく時代に、大石先生と教え子の子供たちの姿をとおして、庶民の生き方を問うた作品でした。  私は、共通のテーマが、今日の作品にも流れていると思っております。物語こ

        • 『ケス』 メンタルクリニックの映画館

          『ケス』 (ケン・ローチ監督、 1969年) 【前口上】  今日は、1969年のイギリス映画『ケス』をご覧いただきます。  舞台はイギリスの炭坑町。主人公のビリー・キャスパーは、卒業間近の中学生です。シングルマザーの母親と、炭坑で働く兄をもち、自分も早朝の新聞配達で家計を助けている。孤独なビリーは、ある日、野原で見つけたハヤブサの巣からヒナを家に連れ帰り、調教して飼いならすことに夢中になります。  しかし、ビリーの将来には過酷な現実が待ち受けています。  イギリスを代表

        『英国王のスピーチ』 メンタルクリニックの映画館

          『スタンド・バイ・ミー』 メンタルクリニックの映画館

            『スタンド・バイ・ミー』 (ロブ・ライナー監督、1986年) 【前口上】 今日は、1986年に大ヒットしたアメリカ映画『スタンド・バイ・ミー』(監督:ロブ・ライナー)を上映します。公開当時(日本公開1987年)ご覧になった方もいらっしゃるのではないでしょうか?  舞台は、1950年代の末、アメリカ・オレゴン州の小さな町とその周辺の大森林。4人の少年たちが、好奇心から、森の奥へ“死体探し”の冒険の旅に出る―という物語です。  12歳の夏休みの経験を描いているんですが

          『スタンド・バイ・ミー』 メンタルクリニックの映画館