コロナ禍で戦う高齢者

外来診療をしていると多くの人と知り合う。それが医療の醍醐味であると私は思う。

新型コロナウィルス感染に対して私たち医療従事者とは別なところで戦っている患者を診察した。

「調子はどうですか? 」
「いつもと変わらないです。」

数ヶ月間以上当院に通院し、とりわけ大きな問題はなく何気ない会話をしていた彼は、その日だけはいつもと違い、何かもの言いたげな顔をしていた。

「〇〇さん、もう定年してるけど、趣味程度にどこかで何かお仕事をされているんですか?」

彼は定年をゆうに越えて、老後を過ごしているのかと思っていた。

「実は私は薬事承認の仕事をしています」

その方は再雇用され、今でも現役の時と同様に、国民の口の中に入る薬剤の薬事承認に関わる仕事に従事していた。

我々医療従事者と、それを支援する国や役所の仕事に従事する人、共通の目的は新型コロナウィルス感染症の早期収束にある。このように同じ共通の目的を持っている人間が出会うと、自然に話し込んでしまう。

1.現在の新型コロナウルス感染症に対するワクチンについて
審査しているこちら側からも10年後20年後に何が起こるのかと聞かれたらそれは私たちもわからない。

ただ、アメリカとは違い日本に関しては有効性があることと安全性があることを関しては必ずチェックし、最大限に重要視するものは安全性であることを主張していた。

アメリカは有効ではあるがそれなりの危険性があるような薬剤も承認されることがあるが日本ではそのような事は絶対にない。安全性があり、その上で有効であることが国の薬事承認の中の重要な事項であることを教えてくれた。

2.Messenger RNAワクチンから遺伝子組み換えタンパク質のワクチンへ

現在進行中の国内メーカー塩野義製薬が開発している遺伝子組み換えタンパク質によるコロナウィルスワクチンの臨床試験が進行している事は厚生労働省のホームページ上でも公表されている。

遺伝子組み換えタンパク質によるワクチンは古くからなじみのあるインフルエンザワクチンと同様の机上である。そのため安全性や副作用等に関する懸念事項もある程度臨床の医者であれば想定ができる。それだけ安全性があると言うことである。

新規の感染症に関してはMessenger RNAワクチンで取り急ぎの中が交代を作り、新規の感染症に関する情報を集め、敵の標的を見定め、それに対する抗体ができるような遺伝子組み換え蛋白を製造する
この流れが今後もスタンダードであろうと彼は言う。

3.今の感染者の急速な減少
第4波以降のこのような急速な減少は日本国民の7割以上が集団免疫を獲得したと言って良いのではないだろうか。

国は抗体検査等をする事は行っていないので何とも言えないが、このような急激な減少は日本国民の7割以上が集団免疫を獲得したと言って良いのではないだろうか。インドでは国民全員を調査したところ75%の人が答え持ってると言うことを教えてくれた

外来をしている時間も忘れ、現場で頑張る我々のような医療従事者と、膨大なデータやそれに伴う有効性、安全性等を審査し、薬事承認と言うフィールドで同じように奮闘している定年を過ぎた患者にとても励まされた。腰も曲がり、シワだらけなくちゃくちゃな顔で彼は国民のために仕事をしている。

「何につけても国産の治療薬、国産のワクチンこれが日本国における新型コロナウィルス感染症の収束には絶対必要なんです」

腰も曲がり、シワだらけなくちゃくちゃな顔の定年過ぎの彼の少年のように輝いていた。

お大事に


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