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バリスタだから、バーテンダーもできる

インドネシアでカフェの仕事をしていたとき、同僚のバリスタがこんなことを言っていた。

「俺はバリスタだから、当然バーテンダーとしてのスキルも経験もあるよ」

日本の感覚だと、バリスタとバーテンダーは別物。
当時私もその話を聞いて少し驚いた。


もともと、エスプレッソ文化の発祥であるイタリアでは、“バール”と呼ばれる呼ばれる飲食店でエスプレッソやカフェラテを提供していた(というか、今もしている)。

この“バール”、アルファベット表記にすると“Bar”である。

朝や昼間にはコーヒーを、夜にはアルコールを提供する、イタリア人の社交場なのだそうだ。
だから、そこで働くスタッフはコーヒーの淹れ方だけでなく、アルコールについても知識が無ければならない。

そのため、バリスタ=コーヒーとアルコールの知識がある専門家という考え方をする地域もある、ということのようだ。

(ただし、イタリア語版のWikipediaには
バリスタ=純粋にコーヒーの専門家
バーテンダー・バーマン=カクテル をつくる専門家
と明記されているため、現代では分けられて考えられているらしい)

でも確かに、バリスタもバーテンダーも、一杯の飲み物をつくることへのこだわりや、所作や立ち振る舞いには通じるところがあるかもしれない。

冒頭の同僚はその両方の経験から、巧みな接客と独創的な新メニュー作成を行える人材だった。

コーヒーの道に行き詰まったときは、アルコールの勉強をすることで道が開けることもあるかもしれない。


ところで、バリスタも、バーテンダーと同じように、カウンターでお客様の話を聞いたり、「あちらのお客様からです」なんて言って粋な計らいのアシストをしたり、そんな接客があってもいいのに、と思う。
(ちょっとバーテンダーへのイメージがステレオタイプ過ぎるかもしれないが)

そういえば、東京の有名な純喫茶『さぼうる』のカウンターの内側には、お客さんのウイスキーのボトルがキープされていたっけ。

もしかしたら古き良き喫茶店には、そういう接客があったのかもしれない。


蛇足だが

バリスタの語源は"bar" + "-ista([伊]〜する人)"

バーテンダーの語源は"bar" + "tender([英]世話する人)"

らしい。
要するに、どちらも「バーで働く人」というニュアンスの言葉だということだ。※諸説あり

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