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50.今日も私はお金に抱かれる

朝と晩、窓を開けると入ってくる風は
少し秋めいてきた。

しかし、太陽が出ている間はまだまだ暑い。
マスクをしていると顔から噴き出す汗がもどかしく、
煩わしい。

何もする気が起きなくなる。

これがお金が関わるデートの予定があると、自分の脱力感に蓋をし
責任感を背負って、地下鉄に駆け込む力に変わる。

どんなに暑くても、雨が降っていようと、
台風のような強風に飛ばされようと、私は待ち合わせ場所へ向かう。

お金が発生すると、そこには責任が生まれるからだ。

そして、雑踏と汗のにおいを纏ったままの体で、
そこにいるのが誰かもわからないくらい暗くされた部屋のベッドの上で、
本当はどこのだれかわからない男性に抱かれる。

かわいいね
きれいだね
好きだよ
愛してる

すべての言葉に信憑性はない。
ここはあくまでも幻の世界で確約のない関係。

人間は体に悪いと言われても、甘いお菓子を食べたがる。
この関係はそれに似ている。

食べた時の満足感はあるが、たくさん食べると体に毒である。
人間が生きる上では必要不可欠ではないのに、
欲求に負けて食べてしまう。

私はあなたに必要不可欠な存在ではない。
あくまでも3時のおやつである。

なくなってもあなたは死なない。
むしろなくしたほうが、あなたは健康になるかもしれない。

ここには真実など何もないの。
真っ白なホイップクリームのような
フワフワして甘いだけの泡みたいなもの。

だから、もうその手を放してほしい。

もう私は疲れてしまったようだ。

白いゼラニウム、
私はあなたの愛を信じない。

信じているのは、お金だけ。

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