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南の海の人

青い海と白い砂浜が似合う人がいる。
そう伝えると、
海は自分を形成する一部だと言った。


その人は、南の太陽に似た輝きを放つ
地平線の向こうの朝日の黄味がかったオレンジ色。
星の出ない夜の闇に響く、浜に打ち寄せる波の様でもあり、
海岸の岩に打ち付ける波でもある。


そして時折、都会のコンクリートを叩くような金属音がする。
それが波の音と相まって、不思議な音楽を作り出している。
砂浜を踏みしめる音、打ち寄せる波の音、そこに異質な金属音。
それらが作り出すハーモニーには、未だ終わりが見えない。
完成途中の魅力。


またある時は、雲母のように剥離する。
鮮やかに剥がれ落ち、また新たな形を見せる。
傷付きバラバラと落ちたかけらは、
いずれも鋭利で美しい。


様々な葛藤をその体内に押し込んで、じっくり熟成させたのだろう。
鋭利の内側からふんわりと悲しみにも似た清廉さを聞く。


艶やかな光を宿す黒曜石を思わせる瞳からあふれ出る熱が全身に満ちる
それは直ちに整然と美しい化学式に姿を変え
魔法陣の幾何学文様をその表面に作り出す。


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Photo and Arts by Maiumi



※この記事に掲載した写真は本人の使用許可を得ています。

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