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去る?去らない?【無料記事】

私の父親は自分達が住むのに邪魔になったという理由で10歳を越えた飼い犬を山に捨てに行った。

「ごめんな…でもオマエに嘘は付けないから、いつかは言おうと思っていたんだよ」
などと10年以上も嘘を付いていたくせに言った。
私は到底許す事など出来ず…
「オマエも俺から去るのか」
と半泣きの父に
「もぅ無理だ!!」
と言い捨てて電話を切った。
無理なものは本当に無理だった…

シゲの中学校の卒業式…
寒い体育館で父の事を考える。
考えても考えても許せる話では無かった。
進学が決まり晴れ晴れとした表情で卒業したシゲを見ながらも複雑な思いでいた。
そんな時に父から来た一通のメールには謝罪と同時に本当に私とも絶縁になってしまうのか確かめたい様な内容が書かれていた。
一生とまではいかないにしても暫くは許せそうに無い。
以前は2年も連絡しなくても放っておかれた私…
父は一人になった途端に私に依存した。
どんだけ身勝手な親だろうと思う。
そんな中で中学校を卒業したシゲ…
私達親子にどんな春がやってくるというのか…

卒業式の後も暫く父の事、ブルの事、そして出て行ったみんなの事を考えていた。
「みんなでお祝いをしよう!!」と、はしゃいでいた父…
それに対しやっぱり断わってきたみんな…
そしてその全員の犠牲となり捨てられたブル…
元々は私が飼いたいと言って飼い始めた犬だった。
遊んでばかりでろくに世話をしないまま嫁に行ってしまった私に父を責める資格があるのか…
ブルがされた様に一人置き去りにされた父の元を去る事など出来るのか…
私に今出来る事…というか、するべき事は父を責める事では無く現在自分が飼っている動物達をブルの分も大切にして寿命をまっとうさせてあげる事ではないのか…
そう思ったら自然に父へメールを打っていた。
「どうしているの?」
と…

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