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オールドレンズ写真展「Nostalgia」

立夏を前にして既に夏の陽気であった前週から打って変わって肌寒いくらいの朝。
自転車転がすにはこれくらいが丁度良い。

神泉から淡島通りを西へ、若林のあたりでドン詰まりになり、松陰神社の脇を抜ける路地を南下。
駒留通りで右折して暫く行くと、実相院と言う寺の向かいのマンションの1階がNadar東京。

写真展は小ぢんまりした店内の左側で開催。
南向きの大きな窓から光がふんだんに入るが、スポットでも照らされており、私は晴れた日の午前中に見たが、日が落ちてから、また曇天/雨天だと、また見え方も違って来るだろう。
常に一定の環境で見られるギャラリーより、季節や天候、時間によって見え方の変わるギャラリーの方が私は好きだ。

ステートメント

現代のデジタルカメラと昔のフィルム時代のレンズを組み合わせる「オールドレンズ」という選択も、今ではすっかり写真好きの間で定着したように思います。この展示では、オールドレンズで撮影された写真を集めました。ゲスト作家として写真家・森谷修さんにもご参加いただきます。

デジタル用の高解像度レンズがあるのに、どうしてわざわざオールドレンズを使うのでしょうか?
クセのある独特な写り、特徴のあるボケ感やハレーションの入り方、キリッとしてるのにどこか柔らかさのある描写等、人それぞれにオールドレンズが好きな理由があります。
このオールドレンズ展「Nostalgia」では、デジタルカメラ+オールドレンズという組み合わせの魅力を、その写真を展示することを通して、多くの人と共有したいと思っています。デジタル時代のアナログ的楽しみ方、古いものと新しいものを組み合わせる面白さを、ぜひご覧ください。

使用されているレンズは国産一眼レフの交換レンズとライカが殆ど。
リケノン50mm/f2を使用したものが2点。

「これも『オールドレンズ』なのか」と驚くも、よくよく考えれば50年近く前のものなので、十分「オールド」ではあった。
投機筋の創り上げた富岡光学神話によって「和製ズミクロン」などと二つ名が付けられてしまった不幸もあったが、良いレンズではある。

ゲスト作家の森谷修もこのレンズでの出展。
オールドレンズと呼ばれるものは、当時の設計の限界などから来る癖も一つの味になっているが、それに振り回されて「筆に描かされる」ことがままある。
森谷は筆を筆として使っており、素描と細密画を同居させるような画面内での描き分けにレンズの癖の部分を使っていた。

趣味道楽なので、敢えて癖に振り回されて「作例」を作るのも一つのやり方ではあると思うが、作品を描く筆として、題材を盛る器として、これ見よがしではない形で使われた写真を私は見たい。

森谷の作品を含め、そう言ったものが幾つか見られたのは収穫だった。

(2024.05.03 記)

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