波際
断崖の海岸線を散策していると、
崖と崖に囲まれた、小さな小さな浜をみつけた。
波打ち際は、狭い。
けれど、海は莫大だ。
自分が、額縁の中にいるような、
妙な疎外感と、ひどくちっぽけな感じがする――
しばらく、ぼうっとしていた。
渺茫たる、漠々たる海は、
そろそろ、夕に溶けてきた。
青の上に、紅が乗る。
波際に寄せる、白波が、
きらきらと、優しく、
わたしの足にかかる。
額縁の向こう側の、莫大な世界と、
ちっぽけなわたしが、
ようやく繋がった気がする。
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