くる日も
世界が滅んでしまってから、ずいぶん経つが、
わたしはまだ、この自転車に乗っている。
その辺に、放ったらかしなっている、バイクや車を拝借すればいいのに、
わたしはまだ、この自転車に乗って、漕いでいる。
それには、ちょっとした理由もあって、
自転車は、燃料を必要としないので、便利だ。
というのと、
狭路もあぜ道も、大体どんな道でも走れるから。だ。
今日は、夕暮れの潮風が心地よい。
くる日もくる日も、ずうっと、自転車を漕いでいると、
毎日、見る景色が変わる。
都市部を通れば、荒廃したコンクリートを。
田舎を通れば、以前から全く変わらない自然の風景を。
海沿いを通れば、黒ずんだ漆黒の海の風を浴びる。
さて、今夜はどこまで行けるかな。
明るいうちに停まる場所を探して、
明日、漕いでゆく道を、考えよう。
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