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初夏

 淡い色がだんだんと、濃淡で艶やかな情景に変わってきたと思ったら、もう初夏だった。


「日陰ができる様になった。ほら小道に入ろう」


 昨日まで、その木々に覆われた道は、雨を防ぐための傘の役割をおっていた様な気がするが、果たしてどうだったろうか。


 君と、陽を避けながら歩くこの小道は、もう随分と前から、
 陽光に照らされて、木の葉の端々からきらりと光のすじを通して、
 ふくふくと光合成をして、私たちを覆っていた様な気がする。


 一条の光輝な糸が、私たちを結ぶ。


 雨粒が二人を傘の元にくっつけていた季節は終わった。


 初夏の鮮やかな感じが、君の笑顔にとてもよく、似合っていた。

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