【連載小説】パラダイス・シフト_2
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「あれは役立たずだった」
そう言って、権藤部長は大きな息を吐き出した。真っ白い煙がもわっと広がり、視界が悪くなる。
それがあまり意味をなさないとわかっているが、数秒息を止める。「……あの子ですか」
一週間前に、たったの二週間でやめた新入社員のことだ。ゴールデンウィークまで持たなかったのは史上最短記録だったらしく、同期にも上司にも、おおいに同情された。
というのも、おれが指導役だったからだ。
三年前におれを指導してくれたのが、権藤部長。そういう関係だ。
「カジ