”ソッチ”、テイクアウトで
いったい、あの人はいつ休んでるんだろう?
朝から晩まで仕事してる。
多分、普通の人の倍は働いている。
それでいて、社畜に漂う悲壮感はまるでない。
むしろ、毎日が楽しそうだ。
誰よりも。
ジムにでも通っているのか(いったい、いつ?!)、
健康そうにキリッと引き締まった身体つき。
いやぁ、あの人にだけは、敵わない…
ああ成りたい様な、・・・
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いやぁ、
今日も時間を無駄にしちゃった。
まぁ、人生、たまには、こんな時もあってイイよね。
陽も落ちてきたし、ソロソロ出るか…
(へぇ、こんなシュッとした人でも、このお店に来るんだ。
時間無駄にするの、メチャいやそうな感じだけど...
やっぱり、色々あるよね、世の中・・・)
「”ソッチ”、テイクアウトで」
(ん?”ソッチ”って?)
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「ふぅ…アブナイ、アブナイ…あやうく切らすところだった」
(今日も、アイツら、あの喫茶店にいたな。時間を無駄にするなんて…)
「本当にバカな奴らだ」
(まぁ、そのおかげでオレはやっていけるんだが)
ボトルからカップに少しコーヒーを注ぎ、
一口だけ、口に含む。
少しの間、目を閉じる・・・
プッシュっ
フワッとした感覚の中で、ビールを開けた。
(オレがこんな風にくつろいでいるなんて、誰も思わないだろうな…)
“ソッチ”は周りの時間の流れを遅くする事ができる。
普通は、昼間に使って、仕事したり、トレーニングしたり、勉強したり…
まぁ、言ってみれば、コソ練みたいなモンだ。
オレは違う。
コーヒーをカップに少し残しておいて、そのまま寝るのだ。
そして、起きた時に、それを一気に飲み干す。
(我ながら、上手いことを考えた)
(時間が平等なんて、誰が言ったんだ?そんな訳、ないじゃないか)
(いや、アイツらのおかげで、こうしてられるんだから、
感謝しないと、な)
日課のトレーニングをして、
シャワーを浴び、さっぱりしたところで
もう1本、一気に流し込む。
午前3時。
(そろそろ寝るか)
・
・
・
自分には充分すぎる程の睡眠の後、
カップに残ったコーヒーを飲み干した。
(コレでうまけりゃ、文句はないんだが…まぁ、それは贅沢ってものか)
始発の電車。
(一人だけエネルギッシュな感じか(笑))
夜通し飲んでた兄ちゃん達が乗り込んでくる。
(テンション的にはこの兄ちゃん達とおんなじぐらいだな(笑))
それにしても・・・
もし、寿命が決まっているとしたら、
あのコーヒーで、オレの寿命はどうなるんだ…
最後までお読みいただき、ありがとうございました。 これからも、よろしくお願いしますっ!