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50過ぎて夫もいるのに、犬だけ連れて誰も知らない田舎に引っ越した。

これは、3番目の夫を東京に置いて

はるか彼方の熊本県の中でも、特に田舎に属する辺鄙な盆地に引っ越した時のお話し


悟りの境地はオンナよりも尊いか

3度目の結婚生活は7年目を迎え、夫はただの同居人となっていた。

彼との間に子どもがいる訳ではなく、仲がめっちゃ悪い訳でも無かったけれど、彼はわたしのことを、いや、女性全般に興味がなくなっていた。

おっと!そう書くと、まるで性的嗜好が変わってしまったようだけど、
彼は男性が好きになった訳ではない。←期待した方スミマセン。

どうやら悟りの境地に行きたくなってしまったらしい。


スキルも資格もないと仕事もないから
起業したら夫の年収はマッハで越えた。


わたしは12年ほど前、あるきっかけでVeganになった。
今では結構ポピュラーになったけど当時はVegan人口も少なく、
かなりのマイノリティな存在だった。

3番目の夫もVeganだったのだが、彼は過去に鬱病になった時期があり
救いを求めて仏教を学んだら、鬱から脱出出来たらしい。
宗派が曹洞宗だったので精進料理に興味が湧き、そこからVeganになったとのことだった。

出逢ってからも時々は座禅に行ったりしてたけど、
やがて結婚してわたしが起業し、旅行に出ることが多くなると
寂しいからか、仕事の後や休みの度に座禅に通うようになった。

起業してみるとネットの世界は簡単にお金を稼ぐことが出来た。
あっという間に彼の月収を越え、3ヶ月で彼の年収を越えた。


結婚当初、わたしは無職だった。

だから、夫に生活費を貰って暮らしていた。
専業主婦にも飽きてきたので、どっかでパートでもしようかと探すも
「資格無し、特に目立つスキル無し」のアラフォーには何の仕事も無かった。

そこで、昔よくやっていた職種(ウエイトレス)を思い出し、
二子玉のベジレスでバイトすることにした。

が!!!いかんせん、「あの時のわたしではない!」
体力的について行けず、1ヶ月でフェイドアウトすることとなった。

週に4日ほど4時間のバイトで6万ちょいの収入に夫は

「10万稼ぐのって大変なんだよ〜」

と得意そうに言った。

そういう経緯があったので、わたしは起業後の月収を20万くらい、と
しばらくウソを吐いていた。


お金で変わってしまった、わたしたちの関係性


夫がわたしの「本当の月収」を知ったのは確定申告の時期。。。

個人事業主としての初めての申告。
わからないことも沢山あったので夫に丸投げしていた。
数字を記入してると彼の顔色がみるみる変わっていく。

「ナコちゃん、こんなに収入あったんだね。。」

「あ、ほんとだ!わかんなかった〜」←の訳ないだろ

その後、彼は無口になり、しばらく口を聞いてくれなくなった。


「あのさ、話があるんだけど」

ず〜っと無言が辛かったから、夕食の時彼に切り出してみた。

「収入が多かったの黙っててごめんね。」

そう言うと、彼はちょっと早口になって言った。

「え、そんなこと!別に怒ってないけど!
それより!!そんなにあるんなら生活費渡すの、もう少し減らしてもいいかな。最近収入が減って大変なんだよね」

彼も個人事業主だから毎月同じ額を稼ぐのは
プレッシャーだったんだな〜と反省し

「そうだったんだ、気づかなくてごめんね、どのくらい減らすの?」

そう聞くと彼は

「今の半分だと助かる。」と言った。

(え〜!半分?)そう思ったけど、とりあえずお金に困ってないし
彼の負担になるのは嫌だったので

「じゃあ、家賃は○○くんが払ってね、その他の支出、食費や光熱費、旅行代、食事代とかは全部わたしが払うから。」

その一件で、彼は一家の大黒柱というものを放棄してしまったようだった。

家賃以外、本当に一切払わなくなった。
コーヒー一杯さえも、電車に乗る時も私が切符を買うのを待っていた。

お金のことで喧嘩するのは嫌だから黙って出した。

旅行の時の小遣いも、彼の離婚した家族へのお土産も全部私持ちだった。

わたしの天国、彼の地獄。


わたしの金払いの良さが悪かったのか
月末になると彼はお金を借りるようになった。

「支払いがあるから」

個人事業主ならいろいろあるだろう。
そう思って毎月貸していた。
保険料や年金の督促状を発見し
黙って全部払っておく。

今となっては、彼の課題を奪っていたとわかるけど
あの時のわたしは彼を助けている、と信じていた。

昔からわたしは「男を甘やかす癖」がある。
友だちには、だめんず生成器とまで言われた。

生まれ持った性質としての情の深さ
幼い頃に愛されて育ったと思えなかった自己肯定感の低さ
どうしてもこういうところに出てしまっていたのだろう。

仕事はどんどん順調に行き、女子会だの、お茶会だの
高級ホテルのスイートでのイベントだの
わたしの周りは相変わらず華やかで

今日は大阪、明日は名古屋といろんなところに行きつつ
お金を稼ぐことが出来て、会う人会う人に喜ばれる。

まるで天国みたいな毎日だよねって思えた。


離れていく心、置き去りにしたわたし。


そんな楽しい毎日を過ごすわたしとは裏腹に
彼は相変わらず決まったルーティンで毎日を過ごしていた。
夫は昔で言うとアスペルガー症候群、今で言うとASDだった。

付き合ってる時に確かに不思議な人だな〜と思ってたけど
恋は盲目、それも個性とまるごと見ないようにしていた。

家にいないわたし。

一方の彼は、仕事から帰ってきて真っ暗な部屋に電気を点け
彼の理解出来ない人に囲まれて嬉しそうに笑うわたしを
SNS越しに知る。

今、こうして書くと彼の孤独がわかる。
仕事とは言え、お金を稼ぐとは言え
ふたりの時間を軽く見ていたわたし。

「一人でいるのは苦にならない。自由に出かけていいよ」

起業してセミナーなど出かけることが多くなったわたしは
彼に外出が多くなるけどいいかと聞いた。
彼がそんな風に答えたのをわたしは鵜呑みにした。

だって、その方がわたしにとって都合がいいから。。。


彼を取るか、生徒を取るのか?つまんない選択の末


そんな生活が2年くらい続いたある日。
彼が突然怒り出した。

「僕が帰る時間までにお客さんに帰ってもらって!」

その頃、自宅をサロンにしていて料理教室や起業塾、
ダイエットのコンサルなどに使っていた。

朝7時に出かけ、夕方5時半には帰宅する彼。
コンサルや塾も4時半くらいに終了設定するのだけど
たまに塾生のカミングアウトや重大な悩み相談などもあり
時間内で「帰れ!」なんて言えないことも多々あった。

最初は車の中で待ってくれていたけれど
いい加減、腹に据えかねたのか凄い勢いで怒った。

「今日はこれこれこういう訳で時間が伸びて」
そう説明してもダメだった。

「時間だから帰ってって言えばいいだけ」
そう譲らない。

彼とコンサル生のどっちが大切か
今となったら比べるものじゃないって思うけど
その当時は彼が大事だと思ってたから
時間になったら追い出すようになった。



そんなことをしていたら、誰だって離れていく。
信頼して大金を払って会いに来てくれてるのに
時間になったら「ハイさよなら」なんて
ほんと酷すぎると思う。

でも、その当時のわたしには彼しか味方がいなかった。
これについてはわたしの幼少期、そして1〜2番目の結婚生活が大いに関係するので後日書いていこうと思う。

いつしか、わたしの周りには人がいなくなっていった。
仲良くしてくれてたビジネス仲間もお客さんも
みるみるうちに少なくなった。

ますます彼に執着していき、彼は彼でわたしが家にいるのが嬉しくてたまらない様子だった。

仕事から離れ、ボーッとすることが多くなったわたしに彼は

「ゆっくり休みなよ、大丈夫だよ」と言った。

でも、だからと言って相変わらず家賃以外は出してくれない。
わたしは今までの貯金を切り崩して生活費を出し続けた。

「全然大丈夫じゃないじゃん」

日々貯金が減る恐怖。
稼がないと、なんとかして仕事をしないと!
このままではわたしはダメになってしまう。

お金が無くなる恐怖を、今までの人生で一番感じていたのがこの頃だった。

毎日、夢に出てくる。
貯金通帳の額がどんどん少なくなる夢←どんだけバカな夢見てたんだろう。笑

そんなわたしを知ってか知らずか、相変わらずのルーティンで
生活リズムを崩さない彼。

わたしだけが焦り、消耗していった。







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