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DVに遭ってても逃げようとしないのは何故か?

まさかの神出現!

「お久しぶりです。お元気ですか?」

夫とは違う、優しい男の人の声だ。

「今度の日曜日に○○のイベントがあるんですけど
その後にマイミクメンバーでご飯行かないかって話があるんです。」
「良かったら、naccoさんも来ませんか?」

その穏やかな話ぶりを心地良く聴きながら

「ありがとうございます。
ちょっと夫に聞いてからお返事しますね。」

そう言って電話を切った。

夫になんて言ったらいいだろう。
大阪の、なんて言ったら絶対出してくれないよなぁ。

頭の中で、ああ言おうか、こう言おうかグルグルする。


でも、こんな地獄の毎日でも神様はいたのだ!!


「あのさー、今度の日曜日、俺出掛けるから。」

初めて夫が神に見えた!笑


「あ、そうなんだ、、分かった。」
そう言いつつ、ニヤつきそうになるのを抑える。


これは映画。世界が違うんだよね。


楽しみにしていた日曜日。

イベント会場に行くと知ってる顔が集まっていた。

イベントが終わり、マイミクさんたちと
どこに行こうかと相談していると
彼が他の男性と話しているのが目に入った。

「○○さん、ごはん行きますよ〜
良かったらそちらの方も一緒にどうですか?」

そう話しかける。

「はじめまして、佐藤と言います。
ぜひ一緒にお願いします。」

彼がのちにわたしたちが結婚するきっかけを作ってくれる人となる。


行った先は表参道のファミレスだった。
それぞれ肉無し、魚抜きなどで注文する中
○○さんのオーダーを聞いてびっくりした。

「ライスとホットコーヒーお願いします。」

「えええええ!ご飯だけ食べるの?」

彼はニコニコしながら
「ええ、お米が好きなんで。」
と言った。

変わった人だな〜、というのが彼に対する
第2の印象だった。

それぞれ食べ終えて、お茶を飲みつつ
いろんな話をする。

同じ価値観の仲間で話すってほんとに楽なんだなぁ。

いちいち顔色見なくても、反応を気にしなくても
心の中で言葉を何往復もさせなくても
誰も怒らないし、温かい目で見つめてくれる。

夢のような大阪の3日間がここにあった。


でも、この時のわたしは
この世界を映画の中の世界のように観ていた。

自分の置かれる世界とは切り離して見ていたのだ。
地獄のような毎日と天国のような今日と一緒にしてしまったら
そこに戻るのが怖くて堪らなくなるから
切り離していたのだろう。


わたしを失っていくわたし。

日常とは恐ろしいものだ。

毎日変わらぬ日々を過ごせば
何が遭っても次第に慣らされていく。

心は傷つくのを恐れるから
なるべく傷つかないように感覚を鈍くする。


殴られるたび、暴言を吐かれるたび
大きなハンマーで打たれている感覚になる。
ガンガン打たれて、ガンガン打たれて
やがてわたしはぺちゃんこになって

自分と言うものが無くなっていった。


お前は役立たずだ、粗大ゴミだ、
お前なんか死んでしまえ
生きてる価値がない。

そう言われるたびに心の細胞が失われていく。

そのうち彼の声が遠くで聞こえるようになる。
誰に向かって言っているのか、
わたしはどこにいるんだろう。


ある日、わたしを殴る手が止まった。

「痛え、お前のせいで手が腫れた。」

そう言ってその日から夫はわたしを殴るのを止めた。


だからと言って、
「やった!ラッキー!」
となんて思えない。

長年、支配されてきた生きものは
例え殴られなくなっても、その世界には変わりはない。


こんなにわたしが憎いのに
こんなに腹立つわたしなのに
クソで役立たずで粗大ゴミのわたしなのに

夫は「絶対に離婚しない」と言う。

彼と別れるには

自分が死ぬか、彼が死ぬか、

の2択しかないと思い込んでいた。



それでしか、この世界から逃れられないと本気で信じていたのだ。


続きます。



DVに遭ってる人へ、もしかしたら、と思った人へ

コロナでDV被害者が増えた。
と言うニュースを見るたび
逃げられない、と思い込んでたわたしを思い出す。

あの頃のわたしはシェルターってあるのも知らなかったし
誰かが助けてくれるなんて思えなかったし
それ以前に、この世界が異常なんだとさえわからなかった。

仲良しのママ友や、親友にさえ言えなかった。
だって、愛されてないわたしがバレるのが怖かったし
わたしに価値がないって思われたくなかったから。


夫がどんなに理不尽なことをしても

ただ、毎日嵐が来ないように
嵐が早く過ぎ去るように
それだけを祈っていた。

だから、もしこれを読んで「あれ?」と思った人がいたなら
お願いだから信じられる誰かに話してほしい。

信じられる人が周りにいなかったり
誰かに知られるのが怖かったら↓へ。。

聞いてもらうだけでいいから。
お願いします。
わたしにメッセくれても構いません。

あなたは何も悪くない。
クソでも役立たずでも粗大ゴミでもありません。
とても価値のある人です。

だから大丈夫、絶対に逃げられるから。
幸せは、必ずあるから。。。


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