よれよれってなんだ…?[VOCALOIDよれよれ曲リンクについて語るnote]

はじめに

noteではお久しぶりです。ふむじまです。
今回は、GW(5/3~5/4)でふむじまが開いたスペースで話していた曲ジャンルタグについての話が面白かったので、補足を含めながらまとめておきたいと思います。
自分の知識の浅い部分と主観的な意見が多分に含まれますので、何卒いろいろご容赦頂ければ幸いです。


VOCALOIDよれよれ曲リンクってなんだ

「VOCALOIDよれよれ曲リンク」というタグの話をします。

上記のリンクを読んでいただくのが一番わかりやすいと思うのですが、「VOCALOIDよれよれ曲リンク」はニコニコ動画内で使用されている楽曲リンクタグの名称です。

VOCALOIDよれよれ曲リンクとは、よれよれしたボカロ曲である。

サイケデリックだったり、ローファイだったり、ゴミだったり、脱力系だったり、リズムが変だったり… いろいろな味がないまぜになって、いわく言いがたい「よれよれ」した感覚をよびおこす、ボカロ音楽につけられるタグだ。え?分からないって?な~に心配はご無用、聴けば分かる。さあめくるめく不思議音楽を巡礼しよう!
2011年6月27日に投稿されたミクオリジナル曲「manhole」につけられたのが起源のようだ。 なおUTAUやCeVIOなどの合成音声全般を使用した楽曲もタグ付けの対象になっている。

VOCALOIDよれよれ曲リンクとは

ふむじまはこのよれよれ曲タグに含まれている楽曲群に好みの曲が多く、最近はかなり入り浸っています。
嬉しいことに人に強くおすすめしたくなるような超好き!な曲にも出会うことができています。なのですが、
あまりまだ人々から見つかっていない隠れた名曲、という雰囲気の曲も多くあり、せっかくなので人に布教しようと考えました。
そのとき、あることに気づいてしまいました。

「よれよれってなんだ…?」

そうなんです。人におすすめしようと思ったとき、「よれよれって何?わからん」と言われてしまい、よれよれを説明することができませんでした。自分がよれよれを理解していないのにおすすめできないじゃん、という状況が発生しました。
おすすめしないにしても、自分がこんなに好きな曲ジャンルなのに理解できてなかったのが悔しかったので、これを機会に勉強しようとなりました。
ですが、これがかなり険しい道でした。
まず上記のニコ百の記事を読んだのですが、「いろんな曲ジャンルが混ざって言い難い『よれよれ』を生み出している」と表現されています。
つまり、「聴けばわかる」の文言からもわかるように、聴けばわかる人にはわかるのですが、実は「よれよれ」という単語とタグが共にしっかりした定義付けが存在せず、言語化しづらい「よれよれ」という音楽的要素を我々がやんわり共有しているのが現状であると捉えることができます。

ということで、今回のこのnoteでは、ふむじまが感じているよれよれ曲の「よれよれ」の部分をできるだけ明確化していこうと思います。
音楽的にも曲ジャンル的にも知識がまだまだ浅いので、なんか間違ったこと言ってたらぜひ違うぞ!って言っていただけると助かります。

0.よれよれ曲入門

まあまずこのnoteを読もうかなと思ってくださった方の大半はよれよれ曲リンクの存在はご存じか、一曲ぐらいは聞いたことある曲があるかなとは思うのですが、
せっかくなのでよれよれ曲の雰囲気を知っていただきたいということで、先にリンクをいろいろ貼らせていただきます。

◎おすすめnote

こちらはB,Fさんがよれよれ曲のおすすめを大変わかりやすく楽しくまとめてくださってます!
先ほどよれよれ曲の概要について、この記事でもざっくり描かせていただきましたが、正直B,Fさんのこちらの記事のほうが格段にわかりやすいのでぜひご一読ください(横着してすみません)。

◎おすすめ曲プレイリスト

こちらはふむじまがよれよれ曲リンクを巡回していてウワーーーーーー!!!!!良い!!!!!!!!!ってなったものをまとめたプレイリストです。ふむじまと曲の趣味が合う方はかなり狂えると思います。
まだまだ網羅できていませんが、いま個人的にキているつよいボカロPがそろっているので、ぜひ聴いてよれよれに片足突っ込んでいっていただけたらと思います。

1.よれよれはなにをもってしてよれよれなのか

はい、ということで本題です。導入が長くて申し訳ありません。
まず、言葉の定義付けがはっきりしていないということで、いわく言語化しがたい「よれよれ」はどのような音楽的要素を持っているのか、というところから考えることにしました。

・検索ワード「音楽 ヨレ」

最初に思い至った考えは、「ボカロに限らず、自分が知らないだけでよれよれ音楽というジャンルがそもそも存在してるんじゃない?」ということでした。
ということで、検索。
「よれよれ 音楽」
トップの検索結果は「VOCALOIDよれよれ曲リンク」のニコ百でした。
ここでこれもしかしてボカロジャンルのオリジナル的概念か…?となりました。
他にもいくつか記事は出てきましたが、基本的にボカロのよれよれタグに関して言及したものでした。
その後何個か検索ワードを変化させて調べていたところ、「ヨレ」は「グルーヴ感」である、と書いている記事が見つかりました。
でも正直、このグルーヴ感という結論が自分的にはしっくりきませんでした。この記事で書かれていたグルーヴ感というものは、音の拍をかなり少しずらして、心地いいノりやすさがある音楽の要素のことを指しているようなことでした。
しかし、自分の知っているよれよれ曲はそういったノリノリで踊りながら聴きたいようなものもありますが、そうではないもののほうが多いぐらいでした。なので、
ここでいう「ヨレ感」「グルーヴ感」といった要素は、「VOCALOIDよれよれ曲リンク」の曲に必ず含まれている要素ではない、という判断になりました。

2.音素的よれよれ

ここまで来て次に思い当たったことは、「よれよれ」を形成しているのは、曲の構成であったり、音楽ジャンルの話ではなく、曲を構成している音たちの雰囲気なのではないかということです。
ちょっと語彙力が間に合っていないせいで上手く伝えられないかもしれません。笑
ここで自分が感じているのは、「曲がよれよれしている」のではなく、「曲を構成している『音』がよれよれしている」のではないか、という点。
実際、「VOCALOIDよれよれ曲リンク」には、様々な曲ジャンルタグが付いている曲があります。むしろよれよれタグだけが付いている曲は珍しい感覚があります。
前述の部分で紹介させていただいたB,Fさんのnoteでは、下記のようにまとめていただいております。

 関連タグとしては「アンダーグラウンドボカロジャパン」「感性の反乱β」「VOCALOID幻想狂気曲リンク」(アングラ寄りの曲が知りたい方はこの辺のタグをチェックしましょう)。
 関連ジャンルとしては「ボカンビエント」「ボカイノセンス」「オルタナティブミック」が存在します。

VOCALOIDよれよれ曲のススメ【ボカロリスナー presents Advent Calender 2021】

このように、「VOCALOIDよれよれ曲リンク」は他の曲ジャンルタグと併用されるものであり、単体として機能することもありますが、楽曲のジャンルというよりは、あくまで要素、という表現が近いのではないかと感じています。

先ほど書かせていただいた、グルーヴ感などは曲ジャンルにおおきく影響する音楽的要素だと思うので、よれよれと共存していることもありつつ、必要不可欠な要素ではないという理解に落ち着いています。

ややこし~~!!書いててよくわからなくなってきました。

3.よれよれしている「音」の拡大、分解

じゃあ「曲を構成している『音』がよれよれしている」というところまで気づけたということで、音楽に対する耳の倍率を上げてみることにしました。
ここまでは曲に対して俯瞰し、「『VOCALOIDよれよれ曲リンク』がついているボカロ曲の群」として、等倍、またはそれ以下の、かなり遠目に曲たちを見ていたわけです。が、ここからはもうちょっと曲との距離を縮め、10倍100倍またはそれ以上ぐっと近づいてみていきたいと思います。
ついでといってはなんですが、せっかくなので愛も語っちゃうぞ~~!

4.どの音が、なにがよれよれしているのか

ここからは完全に音楽ほぼ素人がこうなんじゃない…?と持論に近い感想のような考察をしますので、フーンまあそういう意見もあるよね、ぐらいで見ていただけると助かります。かなりビビっています。

先ほど、よれよれ曲リンクにもさまざまなジャンルの曲が属していると書かせていただきました。ここでは実際その「VOCALOIDよれよれ曲リンク」タグが付いている具体的な曲を紹介しつつ話していけたらと思います。

①アルト / サカダケイ

最初に紹介させていただくのはサカダケイさんの「アルト」という曲です。好き。
こちらは先日開催されたボカコレ2023春ルーキー参加作品で、現時点で1万再生されているので目にされている方もおられるのではないかなと思います。
この曲は、開始数秒でくぐもったオルガンのような、少しモヨモヨしたメロディから入ります。その後、明るいとも暗いとも形容しがたい、不思議な感覚になるイントロが続き、ナースロボ_タイプTのボーカルとともに曲が進行します。
凄く耳に残るボーカルのメロディラインが特徴的だと感じていますが、その後ろで曲の空気感を形成し支えている、ヤバいコード進行と転調のオケがあります。
聴いていただいた方にはなんとなく気づいていただけたかとと思いますが、そう。「言語化できないよれよれ感」が曲全体を通して浴びることができます。
この曲はよれよれした音が使われ、なかなか独特の曲の世界観を生んでいますが、それでいて全体がキャッチ―で記憶に残りやすい、かなりバランスの取れたヤバい曲です。ぜひみなさんのお気に入りにしていただきたいと思います。

②ずれ / toorot(toro)

お次はこちら。toorotさんの「ずれ」という曲です。
こちらはボカロオルタナティブ祭参加作品で、よれよれ曲リンクの他に「ボカログランジ」タグが付けられています。
この曲は、音自体もよれよれしていますが、かなり曲としての個性が強く、曲構成、音、歌詞、ボーカルの雰囲気、これらのどこをとってもよれよれしている気がします。難しい。
強いて言うなら、先ほど書かせていただいた、「グルーヴ感」の要素が含まれているように感じます。曲調?としてベースや様々な楽器の音がきれいに縦にそろっているわけではなく、ばらばらに、されど調和のとれる形で曲として完成している感じ…?
個人的にはそれぞれの楽器の音から感じるよれよれ感よりも、曲構成の部分から感じるよれよれ感のほうが強い一曲かなと思います。良い~~。

③幽霊 / inuha

続いて3曲目、inuhaさんの「幽霊」です。
この曲もよれよれ曲タグとともに、「オルタナティブミック」のタグが付けられています。
2分間という少々短めの曲ですが、聴き終わった後の衝撃と満足感は段違いだと思います。
曲調としてはバラードっぽく、夏らしい寂寥感があります。イントロから穏やかなギタ―リフが入り、ミクの切ないボーカルとともに曲が始まります。
しかし、曲の半分を過ぎるぐらいにびっくりしてひっくり返ります。初めて聴いたときウワーーーーーー!!!!!ってなりました。今もなります。
ということで、この曲はよれよれ曲のタグが付いていますが、個人的には音素的なよれよれではなく、曲構成のよれよれでタグ付けされている曲に思います。

④ごうせいおんせい / 赤坂んんん

4曲目は赤坂んんんさんの「ごうせいおんせい」です。言わずと知れたよれよれ曲の名手ですね。
合成音声たちから我々に向けてのメッセージであるという曲コンセプトと歌詞が大好きなのですが、それを体現したような、「これぞ合成音声」という音がする曲です。本当に好き。
楽曲タグに関してはよれよれ曲タグのみとなっています。
この曲はどこがよれよれと言えば、音なのかなと思います。詰めたい音をすべて詰め込んだような、曲尺の中で休憩する暇もなく流れ込んでくる音数の多さと、それぞれの音のガビガビ感?がよれよれっぽさを出しているのではないかなと思います。

いまガビガビという表現を使いましたが、よれよれ曲には音割れというか、先ほど一曲目の紹介のときも記述した「くぐもった音」もよく使われているように思います。これはよれよれっぽさの真意に近づいてきているのでは…?

⑤ミミズになっちまえ / なぬりそ

最後、5曲目の紹介はなぬりそさんの「ミミズになっちまえ」です。ふむじまがよれよれ曲と出会うきっかけとなった曲になります。
こちらも楽曲ジャンルタグはよれよれ曲タグのみとなっています。
曲コンセプトと歌詞が大変ヤバく、聴く前と後では世界の見え方が変わるタイプの曲です。正直、初見の時はあまりの衝撃にどういうこと?となっていましたが、今では日常的に何回も聴く本当に好きな曲です。
この曲はAメロ終わり?Bメロ?のフレーズで「この世はミミズでできている」という部分があるのですが、ここが音が細かく揺れていて、ビブラートのすごいやつみたいになっています。これが個人的にはよれよれ感を生み出している要素のひとつかと思っています。

5.結局どういうことなんだってばよ

はい。という感じで5曲紹介させていただいたわけなんですが、全部お聴きいただいた方の中で、「一貫性がない」と思われた方もおられるんじゃないでしょうか。いてほしい。
ふむじまがよれよれ曲リンクを普段聴いて感じていることなのですが、よれよれ曲タグをもう一度倍率を下げて遠くから見てみたとき、意外とそれぞれの曲の共通項が少ないことに気が付きました。
これらの曲の共通点は、「VOCALOIDよれよれ曲リンク」が付いているということそれのみです。定義がない以上、その曲によれよれを感じた誰かがタグを付けているに過ぎず、明確な基準がないことによって、「なんかよれよれしている気がする曲の集合体」になっているんです。
だからこそ、聴いていただいたように、それぞれの曲に強い個性があり、おすすめするときも相関性があまりないことから、タグとしておすすめすることが難しく、曲単品で推すのが精いっぱい、という感覚があります。

今回は自分が感じ、理解できている範囲で、各楽曲のよれよれしている部分を解説してみましたが、よれよれしている部分も曲によってさまざまだったと思います。
ここまでしてみてわかったことは、やはりよれよれをよれよれ以外の言葉で表現するのはかなり難しいということです。
いかがだったでしょうか?ダメなまとめサイトみたいな終わり方になろうとしていて危機感が出てきました。まだ終わりませんよ。

6.他がよれよれしていないのでは

これはスペースで某ボカロPさんから頂いたご意見でしっくり着たことなのですが、「よれよれ曲がよれよれしているのもそうだけど、他の曲がよれよれしていないんじゃないか?」と。

「例えばピンとした布団とかシャツに比べて、しわしわ、よれよれのものがあったとすると、ピンとしているものとよれよれしているものとして扱われる」
「じゃあ音楽も、音がよれよれしてる曲としてない曲があるとすれば、世の中の大半の曲はよれよれしていないけど、感覚的によれよれしてるなって思ったものがよれよれ曲リンクタグにあつまってるんじゃないか」

…なるほど~~!?
知見を得ました。確かにそれなら、
「よれよれ」=「?」が、「よれよれ」=「ピンとしてる音楽じゃない」になるわけです。ちょっとわかりやすくなったんじゃないですか?
そうすると、相関性がないように感じたよれよれ曲リンクの楽曲群にもまとまりが見えてきました。
ずっとよれよれという要素を持っている曲、という視点で見てきましたが、他の曲にない要素を持っている曲、という見方もできたというわけです。なるほどね~。

おわりに

さて。なんかすっごい長くなってしまいました。ここまでいかがだったでしょうか。皆さんに少しでもVOCALOIDよれよれ曲リンクのことが気になっていただけていたら幸いです。
曲を紹介したり、頭でっかちになってワード検索してみたり、いろんなことをしましたが、とりあえず本当に言いたいことはとにかく聴いてくれ、です。
人におすすめすることが難しい以上、皆さんに興味を持っていただくことでしか布教が成立しないので、ぜひ、このnoteに出会った方はこれを機に巡回していただけたらなと思います。
偉そうなことを言いつつまだ自分も全然回り切れていないので、これからも楽しく巡回していこうと思います!
最後にnote書け‼‼と言ってくださったフォロワー、スペースで知見を与えてくれた皆さん、そして日々よれよれ曲を投稿してくださるボカロPの皆さんに最大の感謝を込めて締めさせていただきます。
ありがとう~~~~~~!!!!!!!!!!!!

ド長文お付き合いいただきありがとうございました、では!



5月5日18:00ぐらい
ふむじま


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