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読書の習慣を取り戻しつつある2022年。本の記録

私は小さい頃から読書が好きだった。母が近くの図書館に毎週のように連れていってくれたおかげだと思う。(当時は長崎に住んでいて、母曰く図書館のすぐ近くにあったレストランのトルコライスが美味しかったらしい。)
小学校に入学した後も、図書室に足繫く通い、『学校の怪談』や漫画伝記シリーズをよく借りて読んでいた。高学年になると『赤毛のアン』や『ハリーポッター』などにも夢中になって、下校中でも歩きながら読んでいた。

ところが中学生になると、入部した合唱部や学校の勉強でほとんど本を読む時間が無くなった。かろうじて読んだのは『トワイライト』シリーズくらいか。高校はもっと勉強に忙しく、何を読んだのかすら記憶にない。

大学入学後はキャンパス内の図書館に定期的に行っていたけれど、熱心には読んでいなかった。ただ、世界や日本のいわゆる名作呼ばれる本の面白さに目覚めたことはとても良かったと思う。

はじめは「何か本を読みたいけれど探すのが面倒だから、手っ取り早く『有名』で『世界的にも評価されている』本をとりあえず読んでおこう」という軽い気持ちだった。おそらく『雪国』や『心』あたりから手をつけたと思う。

これが私は気に入った。どんどん引き込まれた。特に川端康成の情景描写があまりにも美しすぎて、日本の四季折々の風景をここまで文字で描ききることができるのかと思った。また、夏目漱石の作品にしばしば登場する「書生さん」たちの生活も好きだった。大学に籍を置きつつ、時にはふらふらと恋や人生に悩んでいる彼らを通して、私も100年ほど前の日本社会に滑りこむことができる。


これを契機に読書が習慣化した、となれば良かったけれどそこまではなかった。その後、「読書はやっぱり大切だし、もっと定期的に読みたい…でも時間がない…」という言い訳を止めようと決心したのは、おそらく2年前くらいだった。

「日常的にもっと行いたいけれど、できていないこと。死ぬ前に後悔すること」をふと考えたときに真っ先に浮かんだのが読書だった。例えば、ひと月に2冊読んで1年で24冊、それが5年で120冊、10年で240冊…。時間の無さにかまけてほとんど読まないまま年を重ねた自分と、240冊読んだ将来の自分を想像して、人生違ってくるだろうなと、少しぞっとした。そして、「やっぱりちゃんと読もう」と気を引きしめた。


2021年からつけ始めた読書記録を振り返ると、今年は15冊ほど読んだことが分かった。1か月に2冊は読めていないけれど、毎週大学院の課題で200ページ以上の論文を読まなければならなかったことを考慮に入れると悪くないと思った。

読書記録は作者と題名とジャンルを記入するだけの簡単なリストだけれど、自分がその時はまっていたジャンルや作家が分かって面白い。ちなみに今年読んだ本はつぎの通りだった。

川内有緒『パリでメシを食う』
チャールズ・ディケンズ『クリスマスキャロル』
夏目漱石『私の個人主義』
ロイ・コダニ『サウンド・オブ・ヒロ・レイン』
ヤマザキマリ『とらわれない生き方』
原田マハ『さいはての彼女』
志賀直哉『暗夜行路』
Fスコット『グレートギャッツビー』
ピエール・ブルデュー『ディスタンクシオン上』
今村大祐『美人マインド』
中井信之『ハンサム美人なしぐさ』
古市憲寿『絶望の国の幸福な若者たち』
アガサ・クリスティー『オリエント急行殺人事件』
小林弘幸『眠れなくなるほど面白い自律神経の話』
山口周『武器になる哲学』

一年を通して読んだ本の組み合わせは(ほぼ)絶対に他の人と異なるし、去年や来年の自分とも違う。特に春先に読んだ本を今振り返ると、「あぁ、この時自分はこういうことに関心があって、面白いと感じていたのだな」と気づくことができる。ある意味、その年の自分のアイデンティティを物語っている。これが5年、10年と続いていって、本が自分の人生を導き・導かれると思うと、やっぱり読書は大切だ。

来年は月に2冊は読みたい。


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