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【note71枚目】 オタク、無修整版。 #推し本

 裏ビデオなんか?

 なんとか読み切れた…!2021年初noteです。

 何らかのオタクの生態を記す作品がたくさんあるわけで。自分のオタク的立ち位置から近しい作品を「2DK系統」「トクサツガガガ系統」と勝手に分類している。審査基準は私のフィーリング。 

 前者は「描写がリアル過ぎるかつ、作者と解釈のズレが大きい」、後者は「想像に難くないけど、作者と解釈のズレが大きくない」

 本作はどちらかというと前者寄り。だから読むのが正直苦しかった。なるほど!と膝を打つ箇所があれば、思わず顔を歪めてしまう苦々しい記述が続いたり。

 実名で人物が挙げられちゃうと、他のセクションを読んでる時もその人物が浮かんできて、「この人やあの人がぷかぷか浮かんでる生活の中で、作者はこんな事を考えて、これを書いたのか…」と思うと、さらに苦々しい気持ちになった。特に『オタクのクライシス』の章は、推したちの危機、スキャンダルをオタクの真正面から記されている心地がして、浮かんでは消えるオタクの嘆き・悲しみ・怒りの変遷が言語化され、本に固定されたような気持ちに。はぁ、つらい。

 なんかつらいつらいばかりの感想だな…でも、作者がオタクを肌で体感してきたからこそのキラーフレーズもたくさん。

・ワンコインでお釣りが来る幸せの国へのチケット →チェキや生写真の値段を聞いて「えー!?高い!」って評価を受けるのもそれはそれ。貨幣と引き換えに「オタクが享受出来る幸せ」という価値と「思い出」が手に入ることはオタクの幸せなんだと思う。まぁ確かに高いけど

・インスタグラムは座ってるだけで推しの新しい写真が湧いてくるかけ流しの温泉

・自担を上げるために他担を下げる →作者が「しないようにしてること」に挙げてたけど、これは本当にそう。自分の推しを上げるために他人の推しを踏み台にすな。自分の語彙力磨いて推しを讃えろ。

 ジェンダー論とかそんな仰々しいことを論じるほど知識はないけども、確かに女性アイドルの現場に集う女オタは多いから、その逆があってもおかしい事ではない。人を応援する事に性別は関係ないし。ただ、「推しと同性だから」と少し変わった目線にいらっしゃる男オタもたまーに見受けるので、作者がそういう人として現場や、SNS(ライター業とは別のもの)で動いてなければいいなといらぬ心配をしてしまった。

 あと関西出身の方なのか、例え方や文章に「いっちょかみ」させるフレーズに親近感を覚えた。島木ジョージが胸を叩けば拍手する、推しが腰をくねらせば声を上げる。それはお決まりのセットなのだと。ストッと落ちる例えだった。