高将にぐん

BL小説家。最近はゲームの企画やったり。

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最近の記事

「カラコロ」ーー83歳の母から聞いた、戦後に遺骨として石を受け取った話

母が4歳の時、戦争が終わった。 これはそんな幼かった母が、認知症の中ぽつりぽつりと語ったことなので、時折統合性がとれていない可能性がある、そんなお話です。 ーーー 玉音放送の音はガビガビしていて、何を言っているかわからなかった。 近所のみんなで集まって「なんて言ってる?」「わかる?」などとザワザワ話しつつ、ラジオが終わったら「どうやら戦争は終わったらしい」と語り合ってぞろぞろ解散したとのこと。 母は当時、母(私の祖母)と兄(私の叔父)と栃木に疎開しており、戦火を逃れまし

    • 冬の舞踏会

      日に日に、陽が短くなっている。 霜月。朝起きても、真っ暗なことがほとんどとなった。 夏の朝のノスタルジックな匂いが好きな人は多いと思う。朝露に濡れた草を踏む、ラジオ体操の時間の匂い。それを過ぎたこの季節もまた、複雑な匂いをしているなぁと思う。しっとり濡れた枯れ葉の匂い。けれど「朝の匂い」で圧倒的に思い出すのは、やはり冬ではないかと思う。 体力的な理由からすっかり行かなくなってしまったが、私は高校時代からずっと、コミケに参加し続けていた。 コミケ当日の朝は特別だ。サークル参加な

      • 「きさらぎ駅」で思い出した。【早稲田】―【高田馬場】―【落合】―【中野】

         昨日もまた「きさらぎ駅」がトレンド入りしていたみたいですね。ホラーは大の苦手だけどこういったオカルト話は好物なので、きさらぎ駅ネタも基本食いつきがちなのですが、そこでふと、「そう言えば似たような話を20年前に聞いたなぁ」と思い出したので、とつとつながら書き出したいと思います。  時代は今から約20年前。22年前だか18年前だかその辺りは曖昧ですが、とにかく私が学生だった頃なので、大体20年くらい前。  その時友人Aは、友人Bと一緒に東京の地下鉄東西線に乗っていたそうです。

        • 三人目がいた――「総特集 三原順 少女漫画界のはみだしっ子」感想

           とある友人が言っていました。 「仕事終わって、コンビニのパスタ食べながら、グータンヌーボ見てる時が一番しあわせ」  どんだけ寂しいんだよ!とツッコむ私に応えて曰く、 「いやいや、ホントだって! テレビの中の会話に『うんうん、そうだよねー』って返事しながら見てると江角マキコと優香と私、女三人で恋バナしてるのとおんなじだって!」  当時はこの話にげらげら笑っていた私ですが、ポッドキャストを聞きながら腐女子キャスターのトークに「わかるわーそれだわー」と声に出して相槌を打ってい

        「カラコロ」ーー83歳の母から聞いた、戦後に遺骨として石を受け取った話