見出し画像

1.20 玉の輿の日

晴れているのに雨が降る
狐の行列
今日は嫁入り

どこからともなく
雨粒のシャワーが
冷たい空気に宝石の輝き
空からのお祝いの中央を
静静と進む狐の行列

父は恐縮して
後ろの方で縮こまっている
なんだか可愛らしい人

母は堂々と誇らしげ
私の娘が一等綺麗でしょうと
ツンと鼻を上げている

前を歩く結婚相手は
好みじゃないけれどお金持ち
沢山汗をかいて
慣れない衣装に四苦八苦

私はただ静静と
可愛らしい男達に護られて
今日この日に嫁に行く

雨粒のシャワーは祝福の証
飛びきり跳ね上がる感情はなくても
静かな心が幸せを噛みしめている

お金に惹かれたわけではない
好きになってくれた人が
お金持ちだっただけ

清々しい朝
人間の目には見えない
ただ祝福の雨だけは
人間の世界にも等しく降って見えるでしょう

1.20 玉の輿の日
#小説 #玉の輿の日 #狐の嫁入り #JAM365 #日めくりノベル

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?