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5.30 掃除機の日

お掃除ロボットを買うと決めてインターネットのショップページを見ていたのに

見ているうちに物欲が無くなっていく不思議

そこにはありとあらゆるものが載っていて

お金さえあればほとんどのものを手に入れることが出来る

お掃除機ロボット一つ買うのも大変で

同じものなのに値段が違う

送料が違う

同じものだけど型が違う

そもそも作っている会社が違う

レビューの数が違って

いいという人も悪いという人もいる

その人が買った別の物が出てきたりして

もはや何を買わされそうになっているのか

ここに載っているうちどれくらいのものが

本当に自分に必要なのかすらわからなくなってくる

広くもない部屋に掃除機をかける数分を私は何に使おうとしているのだろう

もう三十分以上画面の中に脳が没入している

自分のことが不器用で真面目で損な性格だと思った

画面を閉じて机に裏返しで置くと

私は財布と鍵だけ持って部屋を出た

ただ頭のなかに詰まった商品の数々を排出するためだけの散歩

日の長い夕方はまだまだ明るくて

川面を走る風の姿を眺めながら今日はコロッケを買って帰ろうと思った

そしてやっぱり私はお掃除ロボットが欲しくて

もう一番上のやつを迷わず買おうとそう決めたら

少しだけ気持ちが楽になったのだった

5.30 掃除機の日
#小説 #掃除機の日 #お掃除ロボット #JAM365 #日めくりノベル

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