12.4 E.T.の日
肩まで布団に潜った君が出したエメラルドグリーンの指先
カーテンの隙間から降る朝の光に輝いて
白い肌がきらきらと光る
枕に流れる猫っ毛の
長い黒髪はくしゃくしゃの寝癖で
目の前で笑う顔もまだまともに目が開いていなくて猫みたい
僕はずいぶん前に目が覚めていて
彼女が起きるのを彼女の隣で待っていた
数時間ほど長かったような気もするし
あっという間の出来事だったかもしれない
寝室には時計を置かない主義なのと彼女は
僕の家なのに時計をどこかにやってしまった
それ以来僕はよく眠れるようになった
彼女がいない時だけは
彼女がいると何だか早く目が覚める
たぶん見ていたいからだと思う
僕の裸の胸板を見て
彼女はいつも不思議そうな顔をする
夢で僕は彼女のお姉さんであることが多いらしい
なにかの暗示なのかもしれないが
そうでなくても別にかまわない
彼女のレモンの香りがするお母さん指に載ったエメラルドグリーンの爪の先が
僕を誘うように二回お辞儀をした
僕は暖かな布団から腕を出して
そっと彼女の指先に
僕の人差し指を合わせた
電気でも走るのかと思ったが
特に何も起こらなかった
それでも別にかまわない
彼女が愛を受けて満足した猫みたいに
目を細めてむき出しの肩で笑うので
僕は別にいま何も起こらなくてもかまわないと思った
日曜日の昼近く
冬の太陽はもう真ん中あたりを過ぎているだろう
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