連作/夏の光と影法師
青色の春風に吹かれたきみは私を撫で上げ「またね」と消えた
バス停で「またね」を交わしたあの日から季節が積もって埋もれてゆく声
ラムネのビー玉は手に入らないからこそ美しいとかいう美学
“届かない” “触れられない”という美学 だってきみはかみさまだから
泡沫のきみの波紋を追いかけてふたりで光に飛び込む夏
カーテンが光を含んで連れ去ったきみの残像靡いたこころ
移りゆく季節の光に攫われて姿を消したきみの影法師
こうやって恋は曲がってゆくのかな きみとの平行線はどこまで
あの日々は嘘なんかじゃない私たちが変われどずっとそこにあるから
忘れてもいいし覚えていなくてもいいからたまには思い出してね
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