『狼と香辛料』を読んだ

 久しぶりに長編小説に手を付けたので、非常にテンションが上がっています。読書感想文も久しぶりですね。早く二巻が読みたい!

手に取ったきっかけ

 先日、所用で区立図書館に行く機会がありました。昔からの癖で、この年になっても図書館を訪れた際は必ずラノベコーナーを覗いてしまうのですが、その時にふと、この『狼と香辛料』が目についたのです。
 実は前々から読んでみたかった作品の一つだったのですが、長編シリーズに新しく手を付ける勇気がなかったのと、何故か私が訪れるたびに一巻だけ貸出中になっているという謎の不運が重なり、そのまま半年ほど経ってしまいました。
 しかし今回は何と、幻の一巻(私にとっては)が置いてあったのです。最近『旅の途中』(アニメ狼と香辛料OP)のCOVERを耳にする機会があり、運命的なものを感じて、思わず二巻借りてしまいました。今もそのCOVERを聞きながら独りカタカタと打ち込んでいます。あぁ^~イナちゃんの歌声は癒されるんじゃぁ^~。
 読んだ後に改めて聞いてみると、雰囲気が素晴らしくあっているというか、悲しい歌ではないのにどこか寂しさを感じさせる曲調がぴったりですね。アニメも見たくなってきてしまった。
 ではでは早速感想にいきたいと思います。いつも通りストーリーのネタバレは極力なしで書いていきますので、最後まで是非。

ホロの魅力

 まずは本作のヒロイン、ホロの魅力から。彼女は豊作を司る狼神なのですが、ある事情から数百年過ごしてきた村を去って、偶然出会った行商人の主人公と共に旅をすることになります。ホロの本当の姿は狼なのですが、普段は耳と尻尾を持つ少女の姿に化けています。今風の言い方だと、ケモミミロリババアってやつですね。見た目も美少女で最高です。
 彼女の魅力の一つは、その老獪な話術を巧みに操り、主人公やその他人間たちを翻弄する姿です。人間とは比べ物にならないほど年を重ねているホロは、人より頭が切れるであろう商人の主人公を簡単に手玉に取ります。しかし、鬱陶しい仙人キャラというよりも、子供じみた悪戯心からそんなことをしているので、読者としては微笑ましい限りです。
 下に読んでいて面白いと思った彼女の言葉を引用してみました。

「貪欲は多くのものを失うが、禁欲が何かを生み出すということもない」

 ここの面白いところは、ホロが主人公に老婆心的助言をしているシーンでもなんでもなく、馬鹿みたいにリンゴを食べるホロを咎めた主人公への返しの一言なんですよね。下らないことでもガチガチに理論武装しちゃうところが、最高にかわいいですね。
 もう一つの魅力は、時折顔を覗かせる子供らしい一面です。実年齢はもちろんバ〇アといっても差し支えないほどなのですが、たまに少女の見た目相応な仕草だったり発言だったりをすることがあって、ギャップ萌えがあります。先程のリンゴもそうですね。こういう実年齢と見た目・振る舞いの差はやはり、ロリババアものの醍醐味といえるでしょう。
 私は本作のテーマの一つに、望郷があると考えています。旅の道中ではるか遠い故郷に思いをはせる、そんなエッセンスが多分に含まれている作品でした。例えばホロは長生きしてきているのですが、それ即ち人よりも多くを失い、多くの別れを経験してきているという事です。作中でたびたび見せる彼女のセンチメンタルな姿に、どうしても庇護欲というか、そういうものを掻き立てられてしまいます。ノスタルジーに涙する彼女は理由こそ大人びているものの、その姿は正しくか弱い少女であり、実際作中でも主人公はその姿に心を打たれてました。そんな彼女の純真さやか弱さもまた、大きな魅力に感じました。

こだわりを感じる表現の数々

 この作品の一番好きなところは、一つ一つの表現に世界観を形作るためのこだわりが詰まっている点です。例えば、基本的に主人公の主観で物語が進んでいくため、形容描写には主人公の知ってるものだけで構成されています。以下にお気に入りの部分を引用してみました。

「大木のような重量感を与える太い骨が戦士の腕のような筋肉で覆われ、(中略)肉球などその一つ一つが切り分けられていないパンの塊のように大きい。」

 こういう描写、大好きなんですよね。主人公などの作中の人物がどのように世界を見ているのかが一番身近に伝わる素晴らしい手法だと思っています。しかし、そう簡単にできるものでもないと思うので、ただただ著者の支倉さんの技量に感嘆です。
 他にもお気に入りの描写はいっぱいあるのですが、一つ一つ引用していたらキリがないので、このくらいで。

おわりに

 今回はヒロインと描写が最高に刺さった『狼と香辛料』の感想文を書き連ねてみました。ストーリーにはほぼ触れていませんが、とても面白かったので早く続きを読みたい気持ちでいっぱいです。でもやらなきゃいけないことが山積みだ……
 最後まで読んでいただきありがとうございます。私の拙い文章でこの素晴らしい作品の魅力を伝えきれているとは毛頭思っていませんので、もし少し気になった方がいたら、是非読んでみて欲しいです。

  また、もしよろしければ、コメント欄の方に文章の改善点等を指摘していただけると非常にありがたいです。よろしくお願いします。

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