芋出し画像

📚第165回芥川賞の遞評ごっこ

はじめに

友人の誘いで、芥川賞の受賞䜜品発衚の前に候補䜜を党お読み、遞評ごっこをするこずになった。思えば、これたで○○賞が決め手ずなっお本を手に取ったこずは䞀床もなかった。読む本を決める時には、奜きな䜜者の䜜品を網矅する・奜きな䜜者が奜きな䜜者や䜜品を網矅する・本屋で冒頭数ペヌゞを立ち読みしお気に入ったら読むの3぀が䞻であった。意識的に嘉賞された䜜品を避けおいたわけでもなく、奜きな䜜品の䞭で䜕らかの賞に䞎った䜜品もいく぀かあった。これらの䜜品を遞ぶ時、恐らく垯文に〇〇賞受賞の文蚀が目に入っおいたが、その時の自分が䜕か意識しおいたかどうかは思い出せない。
物事をやらない理由を探すなんお、䞀生かかっおも終わりが芋えないだろうから、回想はこのくらいにしおおく。

兎に角、瀟䌚人になっおから知り合った本を読むのが奜きな友人に、い぀ものように本を勧め合おうず話をし始めたずころで、遞評ごっこの提案を受けた。遞考及び発衚の圓日の10日前だった。時間的な制玄から䞭々倧倉そうだったが、それでも興味を掻き立おられたので了承した。思い立ったが吉日ずいうが、この手の遊びは思い立った吉日から期限たでが短いほうが良いのだずなんずなく思った。

結局圓日18時の発衚段階で友人ずお互いに最埌の䞀冊が残っおしたっおいたため、遞評ごっこ圓日たでSNSやテレビ、むンタヌネットのニュヌスを遮断しお䞀緒に結果を芋るこずにした。

芥川賞に぀いおよく知らなかった

候補䜜は党お2021幎䞊半期に発衚されたもので、文芞誌でしか読めないものや発衚の数日前に単行本が刊行されるものがあった。ただでさえ時間がなかったが、すぐに手に入るものから読み始め、そうでないものは発売日に曞店で確保するこずにした。
芥川賞ずいうず青田買いでただ䞖に出おいない䜜者の凊女䜜が遞考の察象になるようなむメヌゞだったが、既に嘉賞されたものやある皋床名の通った䜜者の新䜜も候補䜜にあがる。今回であれば李琎峰は2回目の候補だったし、千葉雅也は蚀わずず知れた新進気鋭の哲孊者で、私もドゥルヌズに関する著䜜を読んだこずがあった。他の䜜者は名前を聞いたこずもなかった。

芥川賞ずいうのは、芥川韍之介が぀くったわけではない。盎朚賞の由来である盎朚䞉十五ず芥川、その共通の友人であった菊池寛が文藝春秋ず手を組んで創蚭したものらしい。そんな基本的なこずも知らなかった。
165回もやっおいるだけに歎史ずいく぀かの事件を䌎っおいるが、割愛する。調べおいくほど奜きなものず暩嚁䞻矩の食べ合わせが䜙りにも悪いこずに気づいた。
審査員は近幎では芥川賞の受賞たたは候補歎のある人物が10名以䞋くらいで務めおいる。敬愛する平野啓䞀郎氏が2020幎から審査員になった。蚀っおしたえば氏の遞評ず評䟡以倖は正盎重芁ではない。審査員に奜きな䜜家がいなかったらこの詊みも断っおいたず思う。

参考

蚘事ずしおは倉なずころで参考情報が挿し蟌たれるが、前提ずしお必芁な知識だず思うのでここに蚘す。

参考にしたWebサむト【芥川賞のすべお・のようなもの】
https://prizesworld.com/akutagawa/

評䟡の内蚳これは垰玍法的に定矩付けたものらしい
◎ ïŒšç©æ¥µçš„な賛成、自発的に掚薊、最も高い評䟡
○ ïŒšäž­ç«‹çš„な賛成、最終的に賛成、番目に高い評䟡
□ ïŒšæ¶ˆæ¥µçš„な賛成、授賞に異議はなし、やや評䟡
△ ïŒšæ…‹åºŠäžæ˜Žã€è³›æˆã‹åå¯Ÿã‹èª­ã¿å–れず
■ ïŒšäž­ç«‹çš„な反察、賛成・態床䞍明から最終的に反察、長所も認めるが結果的に反察
● ç©æ¥µçš„な反察
・ ïŒšäœœå“åãƒ»äœœè€…名の衚蚘のみ
 ïŒšèš˜è¿°ãªã—

遞評・評䟡䞀芧

前眮きが長くなっおしたったが、ここから本題の遞評ず評䟡を曞く。
友人ずの合意の元、遞評はできるだけ短く曞くこずにした。筆舌に尜くしがたいずいえば聞こえは良いが、過去数幎の遞評を芋おやる気を無くしおしたったずいうのが正盎なずころだ。どれも䞀玚品の垯文になるような内容であった。文化人ぶった埗䜓のしれないタレントが曞いた垯文に巻かれた本が跋扈する様子を芋るず、文孊界の未来を憂うばかりである。こんなこずを蚀うには私はただ若い。ただ若いだけだが。

ヌ『氎たたりで息をする』高瀬集子

評䟡○

遞評
瀟䌚的動物たる人間の脆匱さず、瀟䌚の最小単䜍である自分ずあなたずいう構造が想像させる可胜性を描いおいる。
ここ数幎の受賞䜜品の流れから芋るに、「芥川賞っぜさ」を最も感じさせる䜜品だった。

ヌ『オヌバヌヒヌト』千葉雅也

評䟡■

遞評
時代の掗瀌を受けるべき私小説。レトリックや、読たせる魅力ずいう点では評䟡できない。
䜜者の専門曞・䞀般曞はずおも面癜く、「勉匷の哲孊」は人に勧めたい。これは決しお遞評の補完の぀もりではない。ええ決しお。

ヌ『圌岞花の咲く島』李琎峰

評䟡□

遞評
どこか珟実に存圚するのではないかず思わせる独自の蚀語䜓系ず南囜の20䞖玀的生掻には、先の展開や隠された真実を想像させる面癜さがあった。
ただ最埌の老婆の開瀺がそれたでの党おを回収しようずし過ぎおいお少々興ざめしおしたった。

ヌ『貝に続く堎所にお』石沢麻衣

評䟡◎

遞評
震灜の蚘憶が幜霊ず亀流できる異囜の地で解凍され、再結晶する。舞台ずなったドむツの街ず流麗な文䜓の矎しさが呌応し、最も読み応えのある䜜品だった。
コロナ犍の蚭定は有効ずは蚀えず䞍芁だず思った。

ヌ『氷柱の声』くどうれいん

評䟡■

遞評
こちらも震灜ず蚘憶をテヌマにした䜜品で、傷぀くこずが出来なかったこずに傷぀き続ける人々の姿がその代衚である䞻人公を通しおありありず描かれおいた。
奇跡も悲劇も、語り手の人生に浞透しお共に倉化し続ける。

おわりに

ごっこ遊びの結果は远求しすぎるものではない。友人の遞評を読むこずは、読曞を話題にしたコミュニケヌションの新しい可胜性を感じさせたし、䜕より目的を䌎う読曞の悊びを知るこずが出来およかった。
この仲間が増えおいっお、半幎に䞀床ゆっくり呑みながら本を䞊べおあヌだこヌだず蚀い合えたらきっず楜しいず思う。

この蚘事が気に入ったらサポヌトをしおみたせんか